ときわの広場

ときわ動物病院のコミュニティ。診療のお話やしつけ教室の様子など、ざっくばらんに綴っています。

ウサギ専門診療科68 皮膚無力症(エーラス・ダンロス症候群)

2016-08-02 10:40:57 | ウサギ専門診療科
今日は皮膚無力症のお話です
エーラス・ダンロス症候群とも呼ばれます。

みるくちゃんは生後間もない頃に
畑にいたところを助けられ
現在の飼い主様に大切に人工保育で
育てられたウサギちゃんです

初めて来院された時には89gで
片手の掌に乗ってしまうほどの
小さな赤ちゃんウサギでした



飼い主様の懸命な努力の甲斐あって
すくすくと大きくなりました

ある日突然、皮膚を持っただけで
簡単に裂けてしまう事態が起こりました

病理検査の結果、皮膚無力症
(エーラス・ダンロス症候群)の可能性が高い
ことが分かりました

皮膚無力症とは、皮膚の異常な脆弱性を示す
遺伝的疾患で、皮膚の成分であるコラーゲンや
繊維の形成がうまくできず、薄くてとても弱い
皮膚になってしまう病気です

みるくちゃんの皮膚は皮膚の下の筋肉や血管が
透けて見えるほど薄いのです

残念ながら治療法はありません
とにかくケガをさせないことが大切です。

飼い主様は、みるくちゃんがケガをしないように
細心の注意を払って、環境づくりをされています。

そのおかげで生後3ヶ月が過ぎた今では
1.34kgまでになりました



本人はケガなど全く気にすることなく
元気に走り回っているそうです

そんな様子をハラハラしながらも
微笑ましく見守っている飼い主様の
大きな愛情に、みるくちゃんも
順調に育つことでと応えている気がします

治らない病気と分かった上で、そのことをしっかり
受けとめて愛情深く対応される飼い主様の寛容さは
本当に素敵だなぁと思います



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