ときわの広場

ときわ動物病院のコミュニティ。診療のお話やしつけ教室の様子など、ざっくばらんに綴っています。

ウサギ専門診療科77 肝膿瘍

2017-09-30 12:06:53 | ウサギ専門診療科
今日は肝臓にできた膿瘍のお話です。
膿瘍とは、被膜で覆われた膿の袋のことです。

ぷー太くんは、ホーランドロップの男の子。

優しい性格のとっても良い子です

急に食べなくなってじっと動かなくなり
慌てて病院に駆けつけると、血液検査で
肝酵素値が測定限界を超えるほどの高値で即入院
…を何度も繰り返していたそうです

当院でレントゲン検査を実施したところ
胃の横に膿瘍らしきものがあることが判明しました

しばらく経過観察をしていましたが
飼主様とのご相談の結果、外科手術になりました。

お腹を開けてみると、肝臓と十二指腸の間に膿瘍があり
丁寧に剥離して取り出しました

摘出後に半分に切り開いた膿瘍の写真です

病理検査の結果では『肝臓からできた膿瘍』
という診断でした

何らかの理由で血液に乗った細菌が
肝臓に入り込み膿瘍を形成したと思われます。

また、同時に実施した肝臓の病理検査では
慢性の肝機能障害であることが分かりました

肝臓に障害がある状態では術後の回復も時間がかかります

飼主様は入院中も足繁く面会に来られては
ぷー太くんにエールを送り続けていらっしゃいました

その温かい応援がぷー太くんに伝わって
なんとか退院できるまでに回復しました

その後、数ヶ月にわたってお薬を続けていますが
よく食べ元気にしてくれています

病気はすぐに治るものばかりではありません。
長期的なお薬が必要になることもあります。
そういう時こそ、飼主様の深い愛情が
病気を乗り越える一番のサポートになると
改めて感じました

ときわ動物病院
〒596-0823
大阪府岸和田市下松町3-4-1
072-493-6710







ウサギ専門診療科76 高齢ウサギさん

2017-06-24 15:41:33 | ウサギ専門診療科
今日は「スーパーおばあちゃん」と呼ばれている
11才9ヶ月のウサギさんのお話です

ナナちゃんはお口にできものができて、
自分で食べるのが難しくなってしまいました

それでも食欲がしっかりあるので、シリンジで流動食を
お口に入れてあげると喜んで食べてくれます

その姿がなんともかわいいんです

まるで哺乳瓶を持つように、
お手てでシリンジを持ってモグモグします





(動画をご覧になりたい方は、当院のFacebookページをご覧ください。)


飼主様はナナちゃんに毎日こうして食餌のサポートをしてあげています
ナナちゃんもごはんの時間が待ち遠しいようです

たくさんの愛情の込もった看護をしてもらって
ナナちゃんはとっても幸せそうです

飼主様とナナちゃんが過ごしてきた11年9ヶ月
という長い月日が、お二人の間に温かい絆を
作っているのが伝わってきます

そんな微笑ましい様子に、こちらも幸せな気持ちになります


ウサギさんも高齢になれば、人と同じように看護や介護が
必要になることもあります

個々の状況によってしてあげるべきことが変わりますが
愛情のこもったお世話は、ウサギさんにもきちんと伝わります。

ナナちゃんの飼主様のように、ウサギさんの病気を受け入れて
必要なサポートを献身的にされる姿は本当に素晴らしいと思います

これからも一緒に居られる時間を大切に大切に過ごしながら
更なるご長寿さん…ウルトラおばあちゃんを目指して欲しいですね


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ウサギ専門診療科75 腹壁ヘルニア

2017-05-30 15:33:40 | ウサギ専門診療科
今日は前回に引き続き、去勢手術を受けていない高齢の男の子のウサギさんがかかりやすい病気のお話です

ヘルニアとは、臓器もしくは組織が体内の裂け目を通って,本来の位置から脱出した状態をいいます
・鼠径ヘルニア
・臍ヘルニア
・椎間板ヘルニア
・横隔膜ヘルニア
・脳ヘルニア
などがあります。

高齢のウサギさんで診られる「腹壁ヘルニア」は、下腹部にポコンとした膨らみとして見つかります 下のお写真は、仰向けになっているウサギさんの下腹部です。


この膨らみは、膀胱とその周りの脂肪が、腹壁にできた裂け目を通り抜けて腹腔外に脱出することで生じます。多くの場合、この膨らみを手で押すとおしっこが勢いよく出てきますウサギさんの下腹部は毛で覆われていますし、仰向けに抱っこできない場合は、なかなか気付きにくいかもしれません

症状としては、以下が挙げられます
・あちこちで少しずつ排尿する
・後ろ足やお尻周りがおしっこで汚れやすい
・おしっこにたくさんの砂が混じる
   


7歳1ヶ月齢のすずまるくんは、まさにこの症状が出ていましたそこで、裂け目から膀胱をお腹の中に戻す手術をすることになりました シニアと言われる年齢ですが、すずまるくんは手術を無事に乗り切り、術後はトイレできちんとおしっこができるようになりましたよく頑張ったね!!

この病気も若くて健康なうちに去勢手術をして未然に防ぎたい病気のひとつです 去勢手術をお悩みの飼主様はぜひ一度ご相談くださいね





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ウサギ専門診療科74 精巣腫瘍

2017-05-12 20:40:57 | ウサギ専門診療科
今日は精巣腫瘍のお話です

最近、7歳以上のシニアうさぎさんが病気を抱えてご来院されることが多くなりました


去勢手術を受けていないウサギさんがかかってしまう病気のひとつに『精巣腫瘍』があります。

精巣が大きくなって、引きずるぐらいになってしまう子もいます
治療は外科手術です


お写真に向かって右側の精巣が左側よりも大きくなっているのがお分かりいただけると思います

手術は若くて元気な子に比べたら年齢を重ねている分、麻酔のリスクが上がるため
リスクをきちんと評価した上で手術を実施するかどうか決めていきます


摘出した精巣は病理検査に出して良性なのか悪性(癌)なのか判断してもらいます
悪性の場合は転移がないか、術後も定期的な経過観察が必要です。


当院では基本的には生後6ヶ月を超えたら去勢手術をおすすめしています

スプレー(おしっこ飛ばし)行動やマウンティングがある男の子は、積極的に去勢手術を受けられることが多いのですが、そうでない子に関しても病気の予防という観点から言えば、手術を受けていただくことはとても大切なことだと思っています

まだお悩み中の方はぜひ一度ご相談くだいね


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ウサギ専門診療科73 健康診断キャンペーン2016年度

2017-01-14 17:49:54 | ウサギ専門診療科
うさぎの健康診断キャンペーン
受付終了まで2週間となりました

2014年から始まった健診キャンペーン
今年度もたくさんのウサギさんに受けて
いただき、ありがとうございます

昨年度よりも血液検査の項目を増やして
バージョンアップしています

ウサギさんは1歳でヒトの20歳に相当する
と言われています
その後は1年でヒトので6~8倍のスピードで
年を取っていくのです


8歳のリュウくんは、ヒトに換算すると
60代後半です
素敵なおじぃちゃまといったところでしょうか

せめて1年に1度は、血液検査を含めた
健康診断を受けていただいて
病気の早期発見と早期治療につなげたい
という思いでキャンペーンを実施しています。

かわいい「うちの子」の健康を守って
あげられるのは飼主様しかいません

ウサギさんたちが元気で幸せに過ごせるように
ぜひこの機会をご利用くださいね

詳しい内容はコチラをご覧ください
ウサギ専門診療科


最後になりましたが
本年も大好きなウサギさんたちと
飼主様のため 少しでもお力になれるように
頑張って参りますので
どうぞよろしくお願いいたします



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