巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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完璧なリード

2017-09-28 01:48:41 | 
いい加減くらいがちょうどいい
生真面目な君を救いたい
理想を追い求める完全主義者
99.9の先の0.1に頭を悩ますのは
無駄に思えて仕方ないね
それならば僕は大きく200を目指す
100点とろうが、赤点とろうが
きっと大勢に影響はないね
僕がなりたいのはエリートじゃなくて
皆に好かれる街の人気者だから
無駄にイケメン vs 完璧な優等生
すれ違うばかりの僕達ふたりは
難解なパズルの解を出せぬまま
僕達の武器はすべてが真反対
相手を否定ばかりしてちゃダメさ
無接点の僕達が釣り合おうという発想
頭が弱すぎる、勝ち方を知らないんだ
見え見えの負け戦なら最初から御免
お互いに突き抜けた存在
君は天へ、僕は地の果てへ
僕達はそれぞれの場で輝ける?
世の中、そう甘くはないよね
ちょっとくらいオマケしてほしいけど
儚い人生にささやかな潤いを
どうせツラいことのほうが多いんだから
もう一度最初から二人連れ立って
街を歩いたら、みんな振り返るんだ
美女と野獣じゃないけど
意外とお似合いな二人
舞台の幕がゆるりと降りるのに併せ
このまま沈めてしまおう、僕達の泥舟

他の誰でもないあなた

2017-09-27 01:00:08 | 
今日の最後に降り注ぐ
優しい星の涙
抱くように支えていたね
あなたの声が聞こえる
背中越しに私を呼び寄せるように

ずっと前だけを見つめて
もうこれ以上はないけど
あなたを包む笑顔の輪は
奇形児を穏やかに見守る
だって人間は誰も違うから

大人になった私は
夢に出てくるように
自然に微笑んでほしい
あなたが生きる世界で
違う1億個と向き合って

微かな光が放つ
12色のフレアー
混ざりながら、溶け合いながら
雪崩のように崩れ落ちる
その瞬間に腕を取って

押し合ったあの日はショータイム
ステージで叫ぶのは慣れてない
巨大なステゴザウルスくらい
私が軽く手懐けてしまうよ
放っておいて、気にしないで

一度きりの感情なのかも
私が放つあなたが好きな匂い
溶け落ちる臈纈が固まって
練り上げられた媚薬よ
今しかない、私は切羽詰まってるの

あなたを愛するほどに
その先が欲しくなる
目先のことなどいいから
永遠を映し出して

そこに未来の二人の姿があったら乾杯

大人なオトナ

2017-09-26 19:08:13 | 
遥か遠くの一点を見つめる瞳
誰も君ひとりに押し付けやしない
一緒に泥舟に乗ろうじゃないか
もはや変化は億劫だね
でも恐るには足らずってところ

優しさが足りないのかな
君ばかりじゃない
僕達みんな地球温暖化の共犯者
人間失格を地で行く子供達
臆するどころか胸を張る

夢だけで食べていけるような
幻想は持ってない
完璧な論理で説き伏せるような
理想は持ってない
愛想だけで帳尻を合わせるような
オトナの技など持ってない
僕には不要だから

重ねた唇が冷たくて
失う間際の関係が怖いね
このまま凍てつく寒さで
すべてがひび割れるこの世界

当て所なく彷徨っていいよ
僕のことなら心配しないで
いつでも呼び出せばいいさ
結末は二人とも同じだから

そろそろ夜の街へ消える時間
不毛なストレス消化タイム
明日の仕事くらい消えてくれよ

孤独を愛す厭世家

2017-09-26 00:24:58 | 
行き交う人の群れが
すーっと退いて
僕の行く手を遮るものはない
どうせこのままどこかへ
消えてしまうんだろう
君の周りを支配する空気は澱む
約束なんて記憶にないさ
僕は常に追われる身
君を構う余裕などない
早く消えてしまえ
僕も消えてやるから
何の為に出会ったのかも
もはや忘れてしまった
君の価値も僕の価値も
究極的には何もないのだから
遣り場のない優しさなんていらない
それはただの同情だよね

狂った闘犬が牙を向く
僕は無駄死にしたくないから
迷宮をひたすら逃げる
出口への最短経路はどこだ
僕はまだこの場に不慣れなんだ
頂きを目指す亡者の群れ
逃げ出そうとすると人集りができる
どうしてこううまくいかないんだ
夜空さえ望めない地下鉄の中で
僕はきゅっと身を潜める
こんなふうに小さくなって
僕らは体育座りすらできない空間の主
こうやって休んでるんだ
苦よりも楽を選ぼうか
疲労とは別次元の痛み
君は僕以上に気楽だね
何のしがらみもなく
存在感を極限まで消して
そのまま消えることさえ自由なんだ
クソみたいな人生を呪いながら
君はスーパースターを夢見るのか
いつの日か、僕はヒーローに生まれ
何もする前から運命づけられている
羨望とは別次元の感情
誰かになりたいと思ったことなどない
憧れなんて眩しいだけで
孤独も知らず誰もいらない
呑んでクダまける相手さえいれば

もう夕陽は昇らない
外は漆黒の闇が支配する
こんな夜はネオンサインに彩られた
街をふらつけばよかったんだ
嫌いな連中が山ほどいるよ
ずっと心を殺して息を潜めて
頂点と底辺を重ね合わせる
オマエが目指すその頂きは
グシャリと潰れて直線になる
誰も彼も均しく人間
世界中の三角形を潰して回る
深すぎる闇に抱かれ
水面に顔を出そうと抗う
人生なんて、日常生活なんて
いつか脆く崩れる、その瞬間に
立ち会うのは誰あろう
仁王立ちした造物主の嘲笑い

生きることに真剣なのさ

2017-09-24 23:59:25 | 
秋だね
夕陽の沈んだ空は
不気味なほど澄んでいて
暗く透明な世界を描く

人生、なんて気軽に口にするけど
僕は全身全霊をかけて今を生きる
周囲の常識は僕には当てはまらない
僕は自分に厳しくありたい、いつの時も

何もできない自分が歯痒くて
日々変わりゆく世界の行方を
見て見ぬ振りをする間に
僕の魂はどんどん衰えて
5倍の年月が経ったよ

今の目一杯なんて
何の役にも立たない
衰えた骸の搾りかす
僕がいる、生きる価値はどこへ

既成概念をぶち壊したい
世の中に蔓延る
「まあ、大丈夫だろう」
という安穏とした空気を
ブラックに一変させてしまえ

一人目はこの僕だ
処分、いや処刑しよう
この世を軽んじた咎
身に覚えがあるだろう

僕達が生きてる
生かされているこの世界
甘くみたら奈落の底に僕が落とす
誰よりも生きることに本気なんだ

どれだけの傷を負って
ここまで来たと思ってるんだ
もう消費するばかりの人生
新たな何かを生み出すことは
ヘタレな青二才の頃より
数倍難しくなってるんだ

先行く一秒一秒が逆境
乗り越えるだけでなく
交わすことを覚えろよ
それがオトナになるということ
アンタはいつか僕にそう言ったね

そんなオトナになりたくないね
魅力的じゃないんだ
一分一秒延命する人生
計算高さと浅はかさは同義

人生という幾多の瞬間と衝突を重ね
人は何を得るというんだ
「思い出」じゃない?
そんな緩い言葉で片付けるなら
オマエの人生はそこまでだね

血肉を湧き上がらせ
すべてを出し尽くせ
絶対なんてあり得ないけど
死力を尽くせ
幸せになりたいなら

いつの間にか夜が深まって
疎らになった人影を数えて
すばしこくかっぱらうように
僕はこの世を制覇する

そうさ、僕はこの世界の番人