巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
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孤独を愛す厭世家

2017-09-26 00:24:58 | 
行き交う人の群れが
すーっと退いて
僕の行く手を遮るものはない
どうせこのままどこかへ
消えてしまうんだろう
君の周りを支配する空気は澱む
約束なんて記憶にないさ
僕は常に追われる身
君を構う余裕などない
早く消えてしまえ
僕も消えてやるから
何の為に出会ったのかも
もはや忘れてしまった
君の価値も僕の価値も
究極的には何もないのだから
遣り場のない優しさなんていらない
それはただの同情だよね

狂った闘犬が牙を向く
僕は無駄死にしたくないから
迷宮をひたすら逃げる
出口への最短経路はどこだ
僕はまだこの場に不慣れなんだ
頂きを目指す亡者の群れ
逃げ出そうとすると人集りができる
どうしてこううまくいかないんだ
夜空さえ望めない地下鉄の中で
僕はきゅっと身を潜める
こんなふうに小さくなって
僕らは体育座りすらできない空間の主
こうやって休んでるんだ
苦よりも楽を選ぼうか
疲労とは別次元の痛み
君は僕以上に気楽だね
何のしがらみもなく
存在感を極限まで消して
そのまま消えることさえ自由なんだ
クソみたいな人生を呪いながら
君はスーパースターを夢見るのか
いつの日か、僕はヒーローに生まれ
何もする前から運命づけられている
羨望とは別次元の感情
誰かになりたいと思ったことなどない
憧れなんて眩しいだけで
孤独も知らず誰もいらない
呑んでクダまける相手さえいれば

もう夕陽は昇らない
外は漆黒の闇が支配する
こんな夜はネオンサインに彩られた
街をふらつけばよかったんだ
嫌いな連中が山ほどいるよ
ずっと心を殺して息を潜めて
頂点と底辺を重ね合わせる
オマエが目指すその頂きは
グシャリと潰れて直線になる
誰も彼も均しく人間
世界中の三角形を潰して回る
深すぎる闇に抱かれ
水面に顔を出そうと抗う
人生なんて、日常生活なんて
いつか脆く崩れる、その瞬間に
立ち会うのは誰あろう
仁王立ちした造物主の嘲笑い

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