巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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愛とか恋とか

2017-05-17 22:43:33 | 
もう春とはいえまだ夜は寒いから、僕が抱き締めてあげよう

なんてくだらない台詞を真顔で言う暇があったら、うろこ状の雲を取っ払って澄み切った夜空を私に見せて

君は僕のことなんか眼中になくて、未来のこととか、夢のこととか、そんなことばかり考えているようだ

僕は愛とか恋とか随分遠ざかってしまったから、君が心から欲するものなど見えやしない

距離を縮める必要があるんだ、君のことをもっと知るために。君には僕が知らないことがたくさんある。僕が知らない君がたくさんあるんだ。君が隠し事をしている訳じゃないけど、どんなに愛し合っても他人同士に変わりないし

ほら、夜空を見上げてごらん。雲の晴れ間に綺麗な三日月が見えるよ

視線を宙に定めた君の肩に僕は優しく腕を回す。きっとこうやって僕達は距離を縮めていくんだろう。愛とか恋とかとは無関係に、少しづつ近くへ

翼をください

2017-05-17 17:58:46 | 
翼がほしい、遠い星まで飛べる翼を
僕のエンジンはどうしようもなく壊れてしまって、明日に続く空さえ見えないんだ

僕達は人生に浮かれてしまって、本当に大切なことが見えなくなっている
幸せな人生の裏側に潜んでいる不幸や、数々の隠された死は情報操作されて、誰も気づかないだけなんだ

ちょっとだけ、ほんのちょっとだけでいい、向き直って見よう。君が見たくない人生の断片が見えるはずだ

世の中の明るい面を見て生きよ

先生はそう教えたかもしれない。でも人生はそんな綺麗事や絵空事では片付かないし、負の人生から学ぶこともたくさんあるんだ

新しい生命の息吹が今始まる
僕は自分の人生と引き換えに神様という名の悪魔と取り引きする
勝負事にはまるで弱い僕は不器用な手段を使わなければ、大切な何かを守れないんだ

僕は幸せを得るかわりに、どんな不幸を被るのだろう。僕は人生を呪ったりしない。君さえいてくれれば、人生の荒波に向かっていけるんだ

さあ、君の寝姿を見に行こう。最期になるかもしれない予感は気のせいにしておこう。君が眠るベッドは翼などなくても順風満帆な人生へ連れていってくれるはずだ。君がオトナになったとき思い出してほしい、僕の戯言を

翼をください、遠い星まで飛べる翼を

愛と言えるまで

2017-05-17 02:12:58 | 
愛と言えるまで、好きなんて言ってはいけないのかもしれない。腐りきった感性が僕を許すまで、感情なんて持てやしないから。

君が泣くなら
僕も泣きます

この世界は有限だから、夢や希望を持つべきではないのかもしれない。僕は君で、君は僕だから、僕達はどうしようもなく壊れやすいペアグラス。

南十字星が君を呼んでいる。僕は置いていかれる恐怖を感じながらアンドロメダ星雲を恨めしく眺める。僕達はこの全宇宙と繋がっているというのに、切り離されていると感じるのはなぜ?

君の涙は僕の痛み
僕の絶望は君の希望

たったひとつの言葉が今僕を解き放とうとしている。言葉は人を守り、人を殺す。僕は君達に向けた救いの言葉をどう伝えればいい?

僕は手探りで繋ぎ合わせた言葉を発することもなく朝を迎える。僕の言葉は誰のためでもなく、自分自身に向けたものだと今になってようやく気付くのだ。

僕の魂がこの世界に溶け込んでいくよ。僕はこうして自分の存在を、生を今ここで感じる。君と向き合うべきは今この瞬間なのかもしれない。