僕も君も無機質な現実に辟易して、でも受け入れざるを得ない理由があって、この大都会の真ん中で生を紡ぐ。こんな世界に生きる理由も、死ぬ選択肢もどちらも僕達にはなくて、日めくりカレンダーを裂くようにただ時を食い潰す。
きっとこの世界には愛も夢も、希望も絶望も何もなくて、僕達を取り巻く無色透明の時間は現実ではないし、過去も未来も指し示さない。そのことに気付いている君と僕はきっとお互いを優しくできる、思いやることができる。
ほらご覧、あそこにも死が転がっているよ。僕達にとって死なんて特別なことじゃないし、ただ君とともに同じ道を歩んで、それを愛とか恋とか呼ばないことが大切なんだ。
誰かに会いたいと感じる瞬間にだけ、僕は生を感じる。もうどうしようもない感情を僕はコントロールしなければならない。
『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
漆黒にしか見えなかった夜空を青色に感じるとき、僕達はこの都会で生きていく自信をちょっとだけ持てるのかもしれない。僕一人だったら何の感傷も抱かない時間も空間も、君となら少しづつ大切なものに変わっていくかもしれない。
『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
僕は遠い夜空を見上げ、心の中で叫ぶ。僕と同じく、都会の生活を息苦しく感じる君とともに。きっと君にも見えているはずだ、あの最高密度の青色が。