Poncoの ぴろ~・ぶっく 

枕元においたノートに
日々の生活で感じたことを
好き勝手に綴りたい・・・・。

金木犀

2007年10月10日 | Weblog
花の香りは、たいてい好きな私であるが、
金木犀の香りは、嫌いだ。

ずいぶん昔、
一緒に住んでいた祖母が、ぼけた。
今でいうところの認知症だったのだろう。
その少しまえ、有吉佐和子の「恍惚の人」が話題になった。
私も読んだが、他人事であったのに、それから、5年もすると
祖母が、だんだん、ぼけてきた。

祖母は、非常に、お行儀のいい人だった。
お屋敷に行儀見習いにいったことがある、と後年きいた。

いつも、物静かにじっと座っていた。
ぼけたといっても、暴れるわけでも、迷子になるわけでもない。
夜中に、食事をするとか、粗相をしてしまう、という類であった。
祖母の部屋がある二階に、トイレはなかったから、
おまるをおいたりしたが、その臭いは、好きなおばあちゃんのためとはいえ、
家族でも、苦痛には違いなかった。

母は、トイレの芳香剤を置いた。
それが、金木犀の香りだったのである。
芳香剤はきつくて、芳しいといいがたい。
まして、他人に、知られたくない臭いに
なるのである。

それから、私は、金木犀の香りが嫌いになった。
昨日、散歩の途中、金木犀の香りが漂ってきた。
いい香りに違いない。
花もオレンジでかわいらしい。
私の思い出で、いやなにおいになってしまった。

思い出と香りは密接につながっている。
いやなにおいでも、いい思い出とつながっているならば、
いい香りなのである。
ごめんね、金木犀。