丹波市柏原町大新屋に鎮座される「新井(にい)神社」。御祭神は『高皇産靈(たかみむすび)神』
「欽明天皇在位の頃(6世紀)の創建といわれ、郡内にある延喜式内17社中の一つ。古来より、旧新村の内五ケ部落の総社として崇敬されてきた。もとの社殿は今の社殿より約500m奥の滝ヶ谷に祀られていたが、天正7年(1579)明智光秀の高見城攻めの時、兵火にかかって焼失。後に再建されたものが現存する社殿である。 寛文年間(1661~1672)には神宮寺日吉山王鎮護寺と称し、比叡山の守護神・近江坂本の山王日吉大社の分霊を祀っている。」兵庫神社庁HPより
「県指定重要文化財の社殿は茅葺きで妻入。三間社春日造様唐破風造。蟇股の備え、三猿その他木鼻の彫刻などからして、江戸時代中期頃の建築と思われる。拝殿両側に『中井権次正貞』作の一対の猿の木彫像がある。」丹波市HPより
前面一杯に張り渡された注連縄。本殿扉の前より神域を守護されるのは、一対の木彫りの神猿。
両掌に如意宝珠を戴く吽形。御幣を肩に捧げる阿形。その表情の暖かさと優しさは、すべての参拝者の心を包み込むように穏やか。ただ穏やか。
脇障子の彫刻は「鯉の滝登り」と「竹林の虎」。
明治十一年初夏の奉納絵馬。騎馬武者の戦いの様子が描かれていますが、それが誰なのか、何の戦いの場面なのかは不明。
三本杉の御神木は幹周:8. 80m、樹高:40m。根もとをまたぐと子授けの利益があると伝えられています。
心地よい気に満ちた湯の森の一画。深い緑の木々の中央に聳える一回り太い巨木は、幹周:3. 40m、樹高:23mのアラカシの巨樹。
参拝を終えて立ち去る前にもう一度振り返って見上げた社殿。こんなにも心地よい気持ちにさせてくれる神社に出会えると、神社巡りが更に楽しくなります。
参拝日:2014年11月19日
一方当地のように、「にい」と読む場合は『新たに居住した土地』『新たに開拓した土地』のほか、先日触れた『丹(に)』に由来するケースが考えられます。
丹波から丹後地方にかけて『丹』や『丹生』が転訛したとみられる『ニイ』や『ニフ』と読む地名が多数存在しており、当神社ももしかしたら近くに水銀産出地があったのでは?と妄想してしまいます。
一方祭神の高皇産霊尊は別名高木大神。
文字通り高木、巨木を神格化した神と思われ、6世紀の神社創建時には当地には神が宿るような巨木が聳えていたのかもしれませんね。
それは例えば緑鮮やかな木々の間で深呼吸をした時のような。
その意味では「神が宿るような巨木」が多くあったのかもしれませんね。
本当に肺の中が現われる感じと言うのを久々に感じた神社です。