うまくは言えないけど

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ナンバーファイブ

2005年06月10日 | 本のはなし
ナンバーファイブを読みました。

「ピンポン」や「青い春」の原作者松本大洋さんの最長編の作品です。全8巻なのですが、1巻を買って面白くてオークションで全巻一気に買ってしまいました。「ピンポン」の時も1巻を読んで面白くて全部買ってしまったのですが、「ナンバーファイブ」もハマってしまいました。

内容は簡単に言うと松本大洋版サイボーグ009といった感じでしょうか。舞台は遠い未来の地球(多分)です。軍は世間の批判をかわすため、部隊の中に平和隊を作り、その幹部組織に虹組をおきました。虹組は9人(組)のヒーローで、現在はマイクというNo.王(ワン)を中心に強い結束で結ばれていました。

ところが、ある日No.吾(ファイブ)であるユーリが、No.王の居城を襲い部下を数名殺害し、城にいた女性(マトリョーシカ)を拉致し逃亡します。そしてマイクが放つ虹組の刺客がファイブを追う所から物語は始まります。追う虹組、迎え撃ちながら逃亡するファイブと話は続きます。しかし、ある事件をきっかけに子供のような純粋な理想主義者のNo.王の心に変化が現れます。そして物語は大きく違う展開になっていきます。

虹組誕生の秘密、完璧なNo.王だったはずのマイクのいびつな理想主義の行方、ファイブがマトリョーシカを連れ去った理由など物語の結末へ様々な謎が明らかになっていきます。

かなり面白いマンガだと思います。ゴッドファーザーや武さんの映画のような感じで男くさい話です。そして一度最後まで読んでも、何度か読み返すとまた面白いと思います。ボクだけかもしれませんが、一度結末を見てから読み返すと、初めに何気なく読んでいたコマにも意味がある事が分かりました。それが、読む度にいくつもあるので、続けていたら4年たったというのではなく、初めから練り上げられていたストーリーだと分かります。

そして一見無機質に見えたりする事もありますが、実はかなりユーモアと愛情を感じる事ができるところがさらに物語に厚みを感じる事ができるのだと思います。「ピンポン」の時もそうでしたが、主人公のユーリやマイクに負けないくらいの強烈な個性を持ったキャラクターがたくさん登場します。無口で食べてばかりのマトリョーシカ、虹組ヒーローの創造者PAPA、マイクのよき理解者No.死(フォー)や賢者のバイク乗りNo.仁(ツー)などの虹組のメンバーと個性豊かな面々が揃います。個人的にはかなり大人のスマイルといった感じのNo.仁が好きです。

純粋にストーリーやキャラクターがいいですが、人間の良い所も悪い所も存分に描かれています。理想は大切でもそれを信じ過ぎる事の危うさを考えさせられます。その人にとってはゆるぎない正義だとしても、それが万人にとって正義とは限らない、絶対の正義はあり得ないというメッセージを放っているようにも思えます。かなりクセはありますが、面白いので、もし機会があれば読んでみてほしいです。

ナンバーファイブ(吾) 8 (8)

小学館

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