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子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

大阪中学生チャレンジテスト「校長先生の悲鳴」

2019-05-31 20:51:38 | 全国学力テスト
子どもをテストで追いつめるな!市民の会からの紹介です。

橋下・吉村・松井維新による政治介入の結果、
大阪では、中学生も教員も、過度なしかも不公正な競争主義に陥れられています。

子どもをデータ化し、学校・子どもを選別する「チャレンジテスト」に対し、
大阪市立中学校長会が、昨年アンケートを実施しました。
きっかけは、中3チャレンジテストが再々延期により実施されたことに対して公正性を問おうと
したものですが、記述回答には、制度そのものへの怒りや嘆きが書かれていました。
校長がこれほど、行政の方針に真っ向から声をあげているのは珍しいかもしれません。
これは、府議会でも取り上げられました。

「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」は、
情報公開制度により入手して、この校長アンケートを
リンクフリーのpptとその動画をYouTubeにアップしました。

チャレンジテストの問題点は、まだまだ市民の間では知られていませんが、
この機会にぜひご覧になって、今大阪の教育がどのようになっているか、
ぜひとも、知っていただきたいと思います。

また視聴のうえ、できましたら、
ブログ、ML等でさらに拡散していただければありがたいです。

【拡散のお願い】
チャレンジテスト(大阪府中学生統一テスト)「校長先生の悲鳴」
https://www.youtube.com/watch?v=_gLgQH9VRt8&feature=youtu.be

チャレンジテスト(大阪府中学生統一テスト)「校長先生の悲鳴」
https://1drv.ms/p/s!ApYYtT1Gj3-JgZ15Kmz9gJzelapf1g


大阪弁護士会が「大阪市の学力向上に向けた総合的な制度案に関する会長声明」

2019-05-14 21:32:41 | 全国学力テスト
大阪弁護士会が、2019.4.26付で「大阪市の学力向上に向けた総合的な制度案に関する会長声明」を出しています。
松井市長と大阪市教委は、子どもの「教育への権利」、学習権を阻害する新制度を撤回してください。

リンクを紹介するとともに、下記に貼り付けます。
http://www.osakaben.or.jp/speak/view.php?id=202

以下、声明全文〜

大阪市の学力向上に向けた総合的な制度案に関する会長声明

1 大阪市は、2019年(平成31年)1月29日に開催された大阪市総合教育会議にて提案された内容を踏まえて、学力向上に向けた新たな制度を本年度にも試行しようとしている。この制度の概要は、学力向上に関する目標を設定してその成果が得られれば学校に予算(校長裁量予算・研究活動費)を付与し、また小学校学力経年調査ないし中学生チャレンジテスト(以下、合わせて「学力テスト」という。)の結果における学力向上の程度を校長の人事評価の一部へ直接反映させ、また、教員の人事評価の参考とするというものである(以下「新制度」という。)。

2 しかしながら、そもそも学力テストは、授業改善や指導充実を図るために実施されているものであって、校長や教員の人事評価に用いることは予定されていない。それどころか、新制度を実施した場合は、かえって次のような弊害が生じるおそれがある。
 第一に、子どもの学習権を阻害するおそれがある。すべての子どもは自己の人格を形成、実現させるために個性や発達段階に応じた教育を受ける権利(学習権)を有しており(憲法26条、教育基本法1条、2条、子どもの権利条約28条、29条)、学校においては、子どもの多様な能力や価値を評価して伸ばすとともに、学力だけにとどまらず、人格の成長・発達をも目指すことが求められる。ところが、新制度の下では、競争主義的な教育方針が導入されることによって、校長による学力テスト偏重の方針が加速し、教員間の競争が強まり、学力テストの科目、テスト対策中心の教育になる一方、実技科目、総合学習、特別学習などが後回しとなる可能性が高い。学校現場では、いじめ、不登校、暴力行為などに対する生徒指導、特別支援教育、外国にルーツをもつ子どもに対する教育などが後回しにされることも危惧される。
 第二に、学力の向上が見込める一部の生徒に偏重した教育が行われたり、学力の向上が見込めない一部の生徒を対象とする不正行為が行われることも懸念される。実際に、アメリカの一部の州では、試験中に教員が正答を教えるなどの不正行為が多数発生したとの報告もある。
 第三に、新制度の下では、校長は教員ごとの学力向上度を参考にして人事評価を行うことになるため、教員は学力偏重の教育が強いられ、自由な教育活動が制限されることにより、子どもと向き合い触れあって全人格的な成長を促す活動を実践することが困難になる。教員間の協働・連携が損なわれ、教育方法の成長も見込めず、結果として子どもの学習権が十分保障されない事態となりかねない。

3 子どもの学力向上はもちろん必要ではあるものの、学力の内容をどのようにみるか、それをどのようなテストで測るかについては教育学的にもさまざまな議論がある。新制度の実施によって学力が向上するのかどうかについても教育界からは疑問の声も出ており、2019年度に試行し、2020年度に本格実施する予定といいながら、これらの点について十分な議論が行われているとも言い難い。学力テストの成績は、教員の努力や工夫によって直ちに向上するものではない。学力は、家庭環境、養育歴、経済状況、地域環境等に大きく左右されるのであるから、大阪市としては、生活困窮家庭の支援等により、子どもの学習環境の改善を図ることがまず必要である。
  以上より、当会は、大阪市に対し、総合教育会議が提案する新制度の計画及び実施について再考するよう強く求めるものである。

以上

2019年(平成31年)4月26日
     大阪弁護士会      
      会長 今川  忠


3月22日、大阪市教委に要望書を提出!市教委は年度内の試行案確定を断念!

2019-03-23 07:45:54 | 全国学力テスト
■2月18日、大阪市議会教育子ども委員会で学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」が採択されました。3月22日、私たちは、この陳情書をを尊重し、新方針を撤回することを求める要望書を大阪市教委に提出しました。
要望書には、47団体、426名の賛同をいただきました。
ご協力ありがとうございました。

■3月7日の大阪市議会で大阪市教委は、1月29日の総合教育会議では学力テストの点数の校長への人事評価、学校評価への反映に限定しており、「陳情書の趣旨を考慮し」た結果であるという答弁を行っていました。これは全くの詭弁です。大阪市議会教育子ども委員会の中では、学力テストの校長評価への反映も厳しく批判されています。テスト結果の教員評価への反映も校長による教員評価を通じて行うとしており、学校をテスト中心にし、子どもをテスト漬けにしていくことに変わりありません。私たちは、3月7日の市教委答弁を厳しく批判し、改めて陳情書を尊重して、制度そのものの撤回を求めました。

■3月26日の大阪市教育委員会議の議題が公表されました。その中には、学力テスト結果の校長評価反映問題は含まれていませんでした。したがって、市教委は今年度中(3月中)の施行案の決定・公表を断念したことになります。陳情書の採択など、この間の運動の成果です。

■しかし、市教委は4月からの試行実施を断念していません。4月以降の試行案決定、即試行実施を考えている可能性があります。しかし、それは学校現場や保護者・子ども無視そのものです。私たちは最後的に新制度を断念させるまで取り組みたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。


【団体・個人賛同のお願い】大阪市教委に、大阪市議会での「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」採択を尊重し、新方針を撤回することを求める要望書

2019-02-26 21:40:50 | 全国学力テスト
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 要望書への団体・個人賛同をお願いします
吉村市長と大阪市教委は、大阪市議会教育子ども委員会での「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」採択を尊重し、新方針を撤回することを求めます。
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 2月18日、教育子ども委員会で学力テストの結果を校長・教員給与などへ反映させることに反対する陳情書が自民・公明・共産・「いくの」の賛成多数で採択されました。教育子ども委員会の中で議員は、学力テストを校長評価・給与に反映することを厳しく批判しました。また、学力テストの結果を直接、教員評価・給与に反映しないとしても、校長を通じた人事評価によって、教員にも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念を表明しました。さらに、講師不足や多忙化で教員が子どもに寄り添えなくなっている、学力低下を学校の責任にせず、まず教育委員会が責任を取るべきではないのかという厳しい指摘もありました。1月29日の大阪市総合教育会議の中で大阪市教委が提案した新方針に対して明確にノーの意志を示したのです。

大阪市教育委員会議で9回も審議しているにも関わらずその内容は全て非公開で、学校現場、保護者、子ども、市民に秘密裏に進めています。試行実施1が月前になっても制度の具体案が公表されていません。それでも吉村市長と大阪市教委は、4月からの試行実施をあきらめていません。

至急、吉村市長と大阪市教委に対して陳情書を尊重し、試行実施を撤回することを求めたいと思っています。
3月13日(予定)には、要望書の提出行動を考えています。
それまでに出来るだけ多くの団体・個人賛同を集めたいと思っています。
ぜひ、ご協力をお願いします。

■下記の要望書への団体・個人賛同を呼びかけます。
◇団体賛同の場合
  団体名をお知らせください。
◇個人賛同の場合
  お名前
  お立場(教職員、保護者、生徒、学生、研究者、弁護士、市民など)
   できればで結構です。
  お名前の公表(インターネットを含む)の有無
◇締め切りは3月11日(月)
◇送り先
  メール iga@mue.biglobe.ne.jp
  FAX 06(6797)6704

時間はあまりありませんが、よろしくお願いいたします。

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要望書 
吉村市長と大阪市教委は、大阪市議会教育子ども委員会での「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」採択を尊重し、新方針を撤回することを求めます。

 2月18日、教育子ども委員会で学力テストの結果を校長・教員給与などへ反映させることに反対する陳情書が自民・公明・共産・「いくの」の賛成多数で採択されました。教育子ども委員会の中で議員は、学力テストを校長評価・給与に反映することを厳しく批判しました。また、学力テストの結果を直接、教員評価・給与に反映しないとしても、校長を通じた人事評価によって、教員にも大きな影響を及ぼすのではないかと懸念を表明しました。さらに、講師不足や多忙化で教員が子どもに寄り添えなくなっている、学力低下を学校の責任にせず、まず教育委員会が責任を取るべきではないのかという厳しい指摘もありました。1月29日の大阪市総合教育会議の中で大阪市教委が提案した新方針に対して明確にノーの意志を示したのです。

 大阪市教委方針は、校長・教員の人事評価にとどまらず、学校をテスト偏重にし、子どもたちをテスト漬けにしていくものです。最も被害を被るのは子どもたちです。すでに大阪市の中学校では、全国学力テストに加え、高校入試の内申点に反映される大阪府チャレンジテスト(中1・2・3)と大阪市統一テスト(中3)、各学期に行われる中間・期末テスト、英語力調査(英検IBA)、実力テストなど、他府県に比べて突出してテスト漬けになっています。授業はテスト時間を確保するために速く進められたり、通常の授業を削ってテスト対策授業が行われたりしています。全ての子どもに「分かる授業」を行うには丁寧さと丹念さが必要であるにもかかわらず、それと逆行することが起きています。
 小学校では、各単元テストに加えて、小学3年~6年生まで大阪市経年テスト(国・算・理・社)を実施しています。9歳の子どもたちから全国学テと同様の強い緊張感とストレスを与えています。小学3年生から毎年、4教科の学力テストを実施しているのは、大阪市と横浜市、京都市だけです。

 大阪市教委方針は、子どもたちに競争主義の価値観を浸透させ、障がいのある子どもも含め、ともに学びともに育つ教育、人権や共生を大切にする教育を弱めていき、そうした教育に取り組む余地を学校からなくしていくことになるのではないでしょうか。全国学テやチャレンジテスト・経年テストの学校正答率をあげるために、障がいのある子どもをテストから排除するケースが明らかとなっています。
 これほどまでにテストとテスト対策が増えている中で、自分たちのテストの結果が校長・教員の人事評価や給与、学校予算にまで反映されるとなると、子どもたちの不安やストレスはこれまで以上に高まることが考えられます。ここ数年、大阪市の小中学校では不登校率が全国と比べて高く、とりわけ中学校の不登校率は2017年度で5.1%であり、20人にひとりが不登校となっています。大阪市の学校が、子どもたちにとってますます息苦しい場所になり、その結果、不登校の子どもの数も増加すると考えられます。

 全国学力テストが始まって12年。全国学テの結果を巡る順位競争が激しくなり、自治体独自の学力テストも広がっています。学力テストの点数競争がますます熾烈化しています。
 このような状況の中で全国学力テストで上位にある福井県では、県議会で中学生の「自殺」を契機に「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」(2017年12月19日)を採択しました。その中では、「学校の対応が問題とされた背景には、学力を求めるあまりの業務多忙もしくは教育目的を取り違えることにより、教員が子どもたちに適切に対応する精神的なゆとりを失っている状況があったのではないかと懸念するものである。このような状況は池田町だけにとどまらず、『学力日本一』を維持することが本県全域において教育現場に無言のプレッシャーを与え、教員、生徒双方のストレスの要因となっていると考える。これでは、多様化する子どもたちの特性に合わせた教育は困難と言わざるを得ない。」と指摘しています。
 現在、都道府県・政令指定市において、独自の学力テストは約70%の地域で実施しています。しかし、2018年度から見直す動きが広がり始めています。長野県と奈良県で廃止、神奈川県と岐阜県(来年度以降は検討中)は休止、広島県はテストをやめ質問紙調査のみ実施、札幌市は毎年実施を数年に1度の実施へと。佐賀県では、2019年度から学校現場の負担を軽減するために廃止することを決めました。
 学力至上主義と競争主義の弊害が広がり、それを見直そうという動きが出てきている中で、大阪市教委の新方針は、独自の学力テストを全国学テと連動させ、その結果向上に邁進しようとしているのです。

 現在、吉村市長と大阪市教委は、今年4月からの試行実施、2020年度からの本格実施、2021年度からの給与反映の方針を変えていません。しかし、大阪市教委は、昨年8月の吉村市長の方針表明からすでに9回も教育委員会議で審議しているにも関わらず、2月下旬の段階でいまだに具体化できていません。そのうえ、この9回の審議は全て非公開で行われました。学校現場、保護者、子ども、市民に秘密裏に進めているのは、試行案が誰から見ても納得できないものであることを彼ら自身が自覚しているからです。にもかかわらず、吉村市長の強引な「とにかく全国学力テストの順位を上げろ!」という要求に応えるために、市教委は問題だらけの試行に突き進もうとしているのです。

 このような状況の中で教育子ども委員会で「陳情書」が採択されたのです。私たちは、大阪市教委が今回の陳情書採択を重く受け止め、新方針を撤回するよう強く求めます。 

2019年2月26日

■呼びかけ団体 
子どもをテストで追いつめるな!市民の会


大阪市議会で「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」を採択!

2019-02-19 21:26:50 | 全国学力テスト
2月18日、大阪市議会教育子ども委員会で「学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書」が自民・公明・共産・いくのの賛成(反対は維新だけ)で採択されました。子どもをテストで追いつめる新制度を断念させるための大きな一歩になりました。以下、教育子ども委員会を傍聴された方の報告です。

■2月18日大阪市会「教育子ども常任委員会」<陳情書採択の報告>

「子どもをテストで追いつめるな!市民の会」の陳情書の採択に反対したのは維新、賛成したのは自民、公明、共産、いくのの4会派で、議長の「賛成の方はご起立願いします」の声に、維新以外のすべての議員がすっくと立ったのには感動しました。

市民の会の陳情書については、まず山本教育長が答弁しました。山本教育長は、「校長には経年テスト、チャレンジテストの結果を人事評価に反映させるが、教員にはそうではなく、授業力アップに活用する」と、特に下線部に力を込め、当初の市長案よりはましであるかのように強調しました。

これを受けて維新の杉村議員は「維新が指摘した当初の危惧が解決された」ので「試行案は妥当だ」と、試行案を支持しました。

自民党の西川議員は主に大森特別顧問について追及しました。「大森特別顧問は教育委員長時代に学力偏重主義が目に余り、現場に混乱を招いた」「総合教育会議で大森特別顧問には提案権がないのに案している」ことを批判しました。これに対して教育委員会事務局は「大森特別顧問は市長の指示に従ってやっている」ので問題はないと答弁し、山本教育長も「大森特別顧問は教育委員長在任中から精力的にやってくれた」「総合教育会議は市長権限でやっている」ので問題はないと大森特別顧問を擁護しました。また西川議員は福井県議会の意見書を引用して「意見書は良いことを言っている」「試行案は数値目標のみを追うことになっていないか」と試行案を批判しました。

自民党の前田議員は「家庭や経済力が学力に及ぼす面を排除できず、教員には適用できなかった」が、「校長にも同じことが言える」と校長の人事評価に適用することも批判しました。また前田議員は「特色ある学校づくりのための校長経営支援戦略予算を6年間やったが、これへのPDCAをやっていない。総括もしていないのになぜ現行をやめるのか」「6年間申請し続けても1回も取れなかった学校もある。インセンティブがかえってモチベーションを下げることもあるのではないか」と、厳しく批判しました。これに対して山本教育長は「振り返りをちゃんとやってこなかった」と認め、「今後は議会の指摘に応えていく」と表明しました。

公明党の佐々木議員は「教員には参考にするだけのように言われているが、教員にも大きな影響を及ぼすのではないか」と懸念を表明しました。また「傾向と対策を徹底し、点数の出ない生徒を受けさせなければ見せかけの点数は上がる」「禁断の果実をぶら下げることにしかならないのではないか」と批判したのに対して、事務局は「委員の指摘のようなことが起こらないようにする」としか答弁できませんでした。山本
教育長も「大阪市の子どもは学校の授業以外での学習時間が少ないという調査結果が出ているが、家庭状況の詳細な分析はできていない」と認め、「大阪市は全国平均に遠いので、今やれることをやる。一人一人を去年よりどう伸ばすか、明確な目標を決める」としか言えませんでした。試行案が学力向上とは程遠い、全国学力テスト対策でしかないことが透けて見えるような答弁でした。

共産党の井上議員は「学校現場は講師が足りないとか多忙化で、教員が子どもに寄り添えなくなっている。優先すべきはこっちで、少人数学級などをやるべきだ。学力の高いところはすでにやっているのではないか」と指摘しました。また「チームには教育委員会も入る。評価するなら教育長は学校に責任を押しつけるのではなく、教育委員会がまず責任を取るべきではないか」「試行案は実害しかない。撤回すべきだ」と厳しく批判しました。

これらの議論の末に陳情書は採択されました。議会が試行案を徹底的に批判し、明確にノーを突きつけたのは大きな力です。今の大阪市教育委員会には吉村市長の強引な教育への介入に抵抗する気概も力もありません。考えているのは「公務員人事の公平性」の原則に抵触しないか、裁判に訴えられないようにどうするかという保身だけです。したがって今後とも私たちは議会と連携して、この施策を徹底批判して世論を作り、阻止するしかありません。頑張りましょう。
 
■学力テストの結果を教員給与などへ反映させる吉村市長・大阪市教委の方針の見直しを求める陳情書
大阪市会議長 角谷 庄一 様                 
子どもをテストで追いつめるな!市民の会

[陳情趣旨]

昨年8月2日、吉村大阪市長は、昨年4月に行われた「全国学力テスト」の大阪市の結果が政令指定都市で最下位になったことを問題視し、「全国学力テスト」の数値目標を決め、結果を教員・校長の人事評価、勤勉手当、さらには学校予算にまで反映させることを表明しました。これを受けて9月14日、大阪市総合教育会議で大森不二雄特別顧問が新提案をおこない、それを基にして大阪市教育委員会が制度設計を進め、来年度から試行しようとしています。これまでも大阪市では、小3~小6に大阪市経年テスト、中1~中3に大阪府チャレンジテスト、中3は大阪市中学校統一テストを実施してきました。今後はそれらのテスト結果を大阪市教委にビッグデータとして集積し、「前年度の同じ児童生徒たちの学力と比べてどれだけ向上させたかを測定する」「教員別学力向上指標」の開発をするというのが大森特別顧問の提案です。これは、吉村市長が「全国学力テスト結果を人事評価に活用する」とした当初の提案をもとに、より広くより深く学校教育全体をテスト重視に転換させていくものに他なりません。

子どもの成績と子どもの家庭の経済情況に相関関係が見られることは各種の調査でも明らかです。沖縄に次いで子どもの貧困率の高い大阪市は、生活保護率、就学援助率ともに全国一です。「全国学力テスト」における大阪市の子どもたちの結果は、経済情況の反映とも考えられます。ならば、大阪市で最も必要なことは、まずもって子どもの生活基盤を安定させることであり、それは学校内部だけでできることではありま
せん。さらに現在の大阪市が取り組むべき課題は、教育する側の豊かな体勢作りです。教員の育成を可能にする適切な研修体制、子どもたちへ個別に働きかける時間的な余裕こそが必要です。その上で、経済的・家庭的に困難な子どもたちに対し、よりきめ細かな状況把握をし、子どもが落ち着いて学習できるような条件を整えるべきです。もとより私たちは「学力」の向上を否定するものではなく、むしろ望んでいることです。しかしその「学力」とは、将来子どもたちが生きていくうえで真に必要な知識や考える力です。そのために子どもを育てる環境整備に行政はまず力を注ぎ、困難な学校にこそ予算をつけて教員を配置すべきではないでしょうか?「学力テスト」の点数によって教員待遇のみならず学校予算にまで格差をつけ、教員と学校を競争させることは、テスト対策の増加やテスト対象教科の時数拡大などを招き、教育内容に歪みを生じさせる可能性が大です。その結果、子どもの教員不信が増し、テストに対する不安やストレスが増すことによって学校嫌いになり、かえっていじめや不登校が増えることが懸念されます。かりに、テスト対策の強化により、学力テストの順位が上がったとして、その時、小中学校の不登校率も上昇していたとすれば、市長や市教委はその責任をとってくれるのでしょうか。

昨年12月22日に私たちが開いた「子どもをテストで追いつめるな!大阪集会」では、先行して同様の施策が行われたアメリでの失敗例が具体的に紹介されました。また大森氏や教育委員会が提案している「数値目標の設定方法」が、統計学の専門家の見地からもデタラメであるという批判もなされました。さらに、障がいを持つ子どもの保護者や不登校の子どもの保護者からは、学校がいっそうストレスをためる場になるの
ではないかと強い懸念が表明され、教育の場、学校が「子どもが人間として尊重される場になってほしい」という切なる願いが次々と発せられました。どのように考えても大阪市教育委員会がやろうとしていることには無理があり、避けるべき非教育的な政策です。大阪市の教育をこれ以上歪め、壊すのはやめてください。

[陳情項目]
  
吉村市長・大阪市教育委員会は、学力テストの結果を教員給与などに反映させる方針を見直し、真の学力向上のための施策へと練り直してください。