子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

2019年大阪での全ての小学校採択結果が判明

2019-08-31 19:07:46 | 2019年教科書採択
2019年小学校教科書採択が終わりました。
大阪でも全ての採択地区の結果が分かりましたので、採択状況を報告します。
大阪は今年から大阪市が4地区に分割されたことから、全体で41採択地区となりました。

私たちが注目していた道徳では、問題の多い教育出版がゼロ採択になったことは大きな成果です。
2年前に私たちを含め市民運動が指摘した問題教材を削除してきましたが、
全体として愛国主義と自己犠牲をすり込む内容であることえお訴えてきた成果だと思います。
光村が増えたことも一定の前進でした。

社会では、安倍政権に迎合する東京書籍が増えたことが問題です。その大きな要因は、4採択地区に増えた大阪市が3地区で東京書籍を採択したことです。来年の中学校採択に向けて大阪市の結果は深刻に受け止めたいと思っています。

■道徳
2019年 2017年
日文 15 14
東書 9 9
光村 10 8
学研 4 4
光文 2 2
学図 1 1
教出 0 0
あかつき 0 0

合計 41 38

■社会
2019年 2014年
日文 22 21
東書 12 8
教出 7 9
光村 なし 0

合計 41 38

大阪市教委は、泉尾北小での「天皇即位児童朝礼」を「不適切ではない」

2019-08-24 09:55:12 | 泉尾北小問題
昨日(8月23日)には、大阪市立泉尾北小学校で行われた「天皇即位記念」児童朝礼について大阪市教委の認識と対応を問う交渉(協議)を行いました。交渉には33名の市民の方が集まってくださり、2時間、熱のこもった交渉を行うことができました。私たちは、「児童朝礼」の内容について一つ一つ市教委の見解を問いただしていきました。しかし、大阪市教委は、今回の「児童朝礼」とそれを行った小田村校長の姿勢を「不適切ではない」との立場を示し、最後まで容認し続けました。

(1)小田村校長が新天皇を「第126代」と子どもたちに説明したことについて、市教委は、「宮内庁が公表している天皇系図に記されている。」「小田村校長はこれを参考にしたものと考えている」と答えました。宮内庁HPにあるからといて、歴史的事実ではないものを子どもたちに示し「少しでも覚えてもらえると嬉しい」(泉尾北小HP)と紹介することは不適切です。この点を追及しても、市教委は、「『第126代』が歴史的事実かどうかは分からない」と曖昧な態度をとり、「第126代」と説明したことが適切であったかどうかの見解を明らかにしませんでした。
 「第126代」が全く歴史的事実でないことは明らかであり、戦前の政府が、大日本帝国憲法下で天皇の神がかり性、万世一系に説得力を持たせるために、1920年代に歴代天皇の系譜を無理矢理作りあげたものです。
 また、市教委は、小田村校長が宮内庁の天皇系図を参考にしたと言っているわけではなく、全くの想像で回答していることが分かりました。あまりに杜撰な回答としか言いようがありません。

(2)泉尾北小HPに小田村校長と山口あやき氏が「皇紀2679」と記した色紙を持った記念写真が掲載されています。私たちは、そのことについて見解を問いましたが、市教委は、HP上では「皇紀2679」の文字が見えない(画像の問題でぼやけている)ので「見解はない」としました。「見解はない」ということは、事実上問題なしの立場を表明したことに等しいものです。市教委は、色紙に「皇紀2679」と書いてあることを確認をしたことまでは認めましたが、見えていないから問題なしの対応でした。極めて無責任な態度です。
 私たちは、小田村校長が「寺子屋だより」(株式会社寺子屋モデル会報)の中で、「山口さんはお話もしてくださいましたが、『仁徳天皇のかまどの煙』の話や今年で2679年ということで、先生方も『目を白黒』させておりました。今の教師の実態であります。」と書いていることも明らかにしました。これは、小田村校長が山口氏が「皇紀」を使ったことを積極的に評価していることが分かります。市教委は、小田村校長に聞き取りをしたと言いましたが、このような事実については、把握していませんでした。
 私たちは、改めて学校現場で「皇紀」を使用すること、「皇紀」の色紙で記念写真を撮りHPに掲載した小田村校長の行為そのものの問題性について問いたいと思っています。

(3)山口氏が戦前の唱歌「神武天皇」「仁徳天皇」を歌い、教育勅語児童読本「民のかまど」の話をしたことについて、市教委は、「文科省通知(4月22日)や学習指導要領を逸脱するものではない」「小田村校長からは(山口氏は)断定的に話したのではない、と聞いている」と回答しました。この話で、子どもたちがどのように「多角的に考え」られるか問うても、「断定的に言っていないからだ」と明確な回答を避けました。
 また、山口氏が「行くぞ!日の丸」を歌ったことに対しても、市教委は「文科省通知、学習指導要領に逸脱するものではない」と回答しましたが、その根拠となる条文については示すことができませんでした。
 さらに、市教委は、小田村校長から「山口氏はオリンピック・パラリンピックを応援する雰囲気で歌っていた、と聞いた」とも回答しました。しかし、市教委は、山口氏がオリンピック・パラリンピックのことを発言していたかどうかを確認していませんでした。あくまで小田村校長の「雰囲気」で判断しただけでした。
 そもそも、山口氏を呼んだのは小田村校長であり、小田村校長は泉尾北小HPで「とてもいいお話もしてくださいました」と述べており、2人は共鳴していることが考えられます。市教委は、小田村校長の言葉だけで判断しており、客観的な聞き取りをしていないことは明らかです。少なくとも教職員からの聞き取りはどうしても必要です。 

(4)私たちは、質問書で今回の「児童朝礼」についての市教委の見解を聞いたにもかかわらず、回答には市教委の見解は全くなく、市教委の想像での回答や一般論に終始していました。回答の不十分さは、市教委総務も認めざるを得ませんでした。今回の交渉では、市教委の見解を聞き出すことから始まり、そこに多くの時間がとられ、市教委と小田村校長の今後の対応について突っ込んで問いただすことが出来ませんでした。
 そこで、今回曖昧になった点を市教委に再回答を求めることにしました。市教委の聞き取り(調査)の問題点についても情報公開請求を行い、事実を明らかにする取り組みも進めたいと思っています。それを基に再交渉を要求していきたいと思っています。今回の交渉では市教委の頑なな擁護姿勢を突き崩すことは出来ませんでしたが、一つ一つ市教委の矛盾を明らかにし、粘り強く取り組みを続けたいと思っています。今後ともご協力をよろしくお願いします。 

市長の私的アドレスは公文書のブラックボックスか!

2019-08-05 09:29:51 | 吉村私的メール問題
子どもをテストで追いつめるな!市民の会からです。

市長の私的アドレスは公文書のブラックボックスか!
吉村市長(当時)と大森特別顧問は、公文書管理から逃れる私的メールで政策を立案!


 2018年8月、吉村市長(当時)が大阪市の全国学力テストが政令市の中で最下位であったことを大々的に取り上げ、学力テストの結果で校長・教員評価を行う新たな人事評価制度の構築を提案しました。それを受けて、2018年9月14日の総合教育会議で大森特別顧問が構想を提案し大阪市教委に具体案作成を任せました。2019年1月29日の総合教育会議で大阪市教委が具体化した「大阪市教委提案」を行いました。
 表向きは市教委に具体案作成が任されていましたが、吉村市長と大森特別顧問は頻繁にメール交換し原案作成を主導していました。両者のメールには、意思決定過程に関する内容が多く含まれていましたが、大阪市政策企画室秘書部は情報公開請求に対して「不存在」決定を行いました。私たちは、吉村・大森メールが公文書であるにもかかわらず、「不存在」となったことに疑問を持ち、大阪市との話し合いを要求しました。8月1日には、大阪市(参加者:ICT戦略室、政策企画室秘書部、教育委員会教育政策課、教育委員会総務)と話し合いの場を持つことができました。

大阪市は、吉村市長の私的メールにあった「意志決定に関わる内容」を公文書として管理せず

 今回、吉村・大森メールが「不存在」となったのは、吉村市長が私的PCの私的アドレスから送受信していたからでした。吉村市長には、市長として大阪市の公用PCが与えられており、それを活用すれば公文書に該当するメールは公用フォルダに保存することができました。しかし、吉村市長はあえて公用PCを使用せず、私的PCでやりとりをしていたのです。その結果、吉村市長メールの中で公文書として保管されているものは3件だけでした。なぜ、吉村市長が公用PCをほとんど使わなかったのか。故意に公文書情報を隠匿する目的があったのではないかと疑わざるを得ません。
 大阪市職員は、公務には公用PCを活用し、メールのやりとりは公用フォルダに保管することになっています。さらには大阪市担当部署が定期的に照会をし、保管し忘れがないかチェックをしています。もし、きちんと保管されていなければ指導の対象となります。しかし、同様のことは市長にも適用されて良いはずですが、市長は指摘PCアドレスで送受信したメールを公用フォルダに残していませんでした。大阪市もそのことを市長に指摘せず、見逃していたのです。
 吉村市長の私的PCから送受信されたメールには、大阪市の「意志決定に関わる内容」があったことは明らかとなっています。吉村私的メールが公用フォルダに残されていないのであれば、メールの中のどの部分が公文書情報に当たるかを判断できるのは市長自身のみです。市長は私的PC・アドレスを使用することで、公文書情報の管理を怠っていたと言えます。
 大阪市もまた、吉村市長が私的PC・アドレスで送受信したメールの中にある公文書情報を一切把握・管理しようとしていませんでした。大阪市秘書課は、吉村市長の私的アドレスなのだから公文書情報を管理できていなくても「やむをえない」としました。
 大阪市公文書管理条例第3条4には「本市の機関は、審議又は検討の内容その他の意志決定の過程に関する事項であって意志決定に直接関わるものについては、事案が軽微である場合を除き、公文書を作成しなければならない。」とあり、2011年4月の本条例改定に伴い公文書作成が義務規定となりました。吉村市長と大阪市秘書課の対応は、明らかに大阪市公文書管理条例に違反する重大な問題です。

吉村私的メールに公文書が含まれていたことは、森特別顧問がメールを大阪市教委に転送したことで発覚

 闇の中にあった吉村私的メールの存在が明らかとなったのは、大森特別顧問が、その内容の一部を大阪市教委に転送したからでした。大阪市教委は、このときに初めて、吉村私的メールで「意志決定に関する内容」がやりとりされていることを知り、公文書として管理しました。しかし、大森特別顧問が市教委に転送した内容が、吉村私的メールの全てかどうか、全く把握していませんでした。大森特別顧問から転送さ
れて初めて公文書として確認するというのは、公文書管理のあり方として極めて杜撰だと言わざるを得ません。
 大阪市教委に大森特別顧問から転送されたメールを公文書公開請求したところ、大阪市教委は「審議、検討又は協議に関する情報」だとして、「公にすることにより市民等の間に混乱を生じさせるおそれがある」「事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」との理由で「非公開」としました。市民にはすぐに公開できないような重要な「意志決定に関わる内容」を、大森特別顧問に転送されるまで公文書として管理していなかったことは重大な問題です。
 
市長は、大阪市の情報セキュリティー管理基準の適用を受けない!?

 大阪市ICT戦略室は、市長の私的PCの私的アドレスからのメールは、大阪市の情報セキュリティー管理基準の適用を受けないと述べました。大阪市情報セキュリティー管理基準は一般職員が対象であって、特別職の市長は対象ではないからだとしました。しかし、なぜ、市長が対象にならないのか、その理由を聞いても明確に答えることができませんでした。
 大阪市公用PCにくらべ、市長の私的PCのセキュリティーレベルは格段に低いものであることは容易に想像できます。私たちは、市長の私的PCからの情報の漏洩、紛失等の危険性について指摘しても、問題なしの態度でした。これらは、大阪市情報セキュリティー管理基準の重大な欠陥です。 

大阪市は市長私的アドレスからのメールを公文書として管理するルールをつくること

 ここ数年、公文書の隠蔽や改ざんが大きく取り上げられ、行政の公文書の扱いに厳しい目が向けられてきました。しかし大阪市では、市長が私的PCの私的アドレスで「意志決定に関わる内容」のやりとりをしていても、現状ではその内容が公文書として管理されないままです。市長は、後日、行政の意思決定過程が検証されたり、市長の教育行政への介入について追及されたりすることから逃れることができます。これは公文書の隠匿そのものです。
 私たちは、大阪市に対して、この間の市長の私的メールアドレスに含まれる公文書に該当する内容を管理してこなかったことについて見解を求め、今後どのように対処していくのか明らかにするように明確な回答を求めました。

■資料
情報公開で出てきた吉村・大森メール
https://www.data-box.jp/pdir/6a825e3713674c11800f6f153a228a04
https://www.data-box.jp/pdir/e61aa7cbfad747b4b4cbdaa0ae9c652a

大阪市は今年度の新人事評価制度の試行実施を断念!完全な撤回まで取り組みを強めよう!

2019-08-04 18:11:32 | 全国学力テスト
(1)松井市長は、8月1日の定例記者会見で、吉村前市長が主導した学力テスト結果を校長評価・給与に反映させる新人事評価制度について、今年度の試行実施を断念することを表明しました。これは、12.22集会の成功、政策立案過程の情報開示と市教委交渉、大阪市会教育子ども委員会での「新人事評価制度の見直しを求める」陳情書採択、チャレンジテストへの批判活動、大阪市役所ヒューマンチェーンやさまざまな立場からの批判の声の高まりによる大きな成果です。何よりも、3月中に試行案を作成させず、4月からの試行実施を遅らせてきたことが決定的でした。まずは、運動の成果として喜びたいと思います。
 同時に、松井市長は、今年度中に新人事評価制度案を修正し、来年度から試行実施に入ることも表明しました。松井市長は諦めていません。私たちは、完全に新人事評価制度を撤回するまで運動を継続したいと思います。

(2)会見で松井市長は、1月29日の総合教育会議で提案された新人事評価制度案を修正するとしました。会見での松井市長の発言から修正案の問題点を明らかにしたいと思います。

①松井市長は、1月総合教育会議で提案された新人事評価制度と同じ物にならないとしつつも、評価基準に学力向上を設定していく制度の根幹部分は、吉村前市長の考えを踏襲していくとしました。テスト結果を人事評価に活用する方針に変わりないことを明らかにしたもので、私たちは強く抗議したいと思います。

②松井市長は、「各校長の責任を重視することは大事なことだが、教育委員会本体にいるブロック責任者が一番結果を作っていかなければならない」として、校長だけでなく市教委のブロック責任者もテスト結果による評価の対象者にするとしました。そして4つに分けるブロックは「特別区のエリアで設定するのがわかりやすい」と、大阪都構想を見据えていることもあかしました。
 実は、テスト結果でブロック責任者も評価する案は、昨年9月14日の総合教育会議で大森特別顧問が提案していたものでした。しかし、その後の教育委員会議では、もっぱら教員・校長の人事評価評価制度について議論がなされ、ブロック責任者の議論はほとんど行われていませんでした。
 吉村市長はブロック化を「バーチャル教育委員会が4つあるようなもの」と述べ、ブロックごとに予算と権限を与えようとしています。ブロック責任者をテスト結果での評価対象にすることは、ブロックごとに学力競争をあおり、ブロック責任者は校長に、校長は教員へとテスト結果向上圧力を強めていくことを狙っています。これは大森特別顧問が考えていた構想そのものです。
 松井市長は、制度設計を1年遅らせる代わりに、大森特別顧問の提案を復活させたのです。今後は、事実上吉村前市長と大森特別顧問の作成した新制度案(1月総合教育会議で提案されたもの)を修正する過程で、大森特別顧問がどのような影響力を行使してくるのか注視する必要があります。

③松井市長は、「校長評価を単年度の点数だけで評価していくのは難しい」と指摘し、複数年で学力の「伸び」を評価する方向を打ち出しました。複数年であってもテスト結果を校長評価・給与に反映させることに変わりなく、私たちは認めることはできません。

(3)私たちは、今年度の試行実施断念を新制度そのものの撤回に向けた運動につなげていきたいと思います。そのためにも、人事評価制度修正に向けた動きの開示請求と市教委の追及、吉村・大森メールの公文書隠匿問題点や吉村・大森の不当な教育介入の暴露、チャレンジテスト廃止に向けた取り組み、現在の大阪でのテスト至上主義に対する教員、保護者、生徒の声を集める取り組み、大阪で進んでいる教育破壊の現状を明らかにする取り組みなどを進めていきたいと思います。