子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

守口市での情報公開の成果

2018-02-14 21:23:04 | 守口市での運動
守口市教委に対しての情報公開請求がひと段落したので、報告させていただきます。

守口市教委は選定委員名簿、選定委員会議事録、調査報告書の3点は公開されていましたが、学校意見、研究会意見、市民の意見は公開されていませんでした。

そこで昨年11月30日、この3点について情報公開請求を行いましたが、12月14日に決定された公開の内容は、いわゆる「のり弁」と言われる、まっくろに塗りつぶされているものでした。以上の3点は各市町村教委ではすでに公開されているものであり、正直この対応には面喰いしました。そして守口市の市民運動の弱さを痛感しました。(のちに市教委とのやり取りで、守口市では研究会の意見は存在しないことが判明。)

そこで、1月15日に審査請求を行いました。とろこが1月の終わりごろに守口市教委から、「公表することにしたけれど、事前にこれでいいのか相談したい」と電話があったのです。そこで今日(2月13日)守口市教委に行って内容を確認し、審査請求を取り下げてきました。

公開された情報をさっと目を通したところの感想です。
学校意見では、教育出版に対する批判的な意見が少なからずありました。肯定的な意見もあるのですが、ほかの教科書がほぼ肯定的な意見で占められていることを思えば(それはそれでどうかとも思いますが)、守口市の学校現場はまだマシなのかなと思いました。守口市は東京書籍、日本文教、光文書院の3社から選んだのですが、学校意見を見る限りは光村図書出版が高評価です。そこもホッとした点ではありますが、逆に言えば3社の中に光村が入らなかった意味を検討するべきかもしれません。

市民の意見については、松下幸之助を取り上げていることを理由に教育出版を推す意見が2つあったものの(守口市はパナソニックの城下町です)、ほかは教育出版を批判する意見ばかりでした。

とりあえずは安心しました。が、中学校道徳教科書採択では何が起こるかわかりません。今のうちに市民運動を作る努力をして、採択に備えたいと思います。

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2018年1月15日
守口市教育委員会 様 

行政不服審査法第2条にもとづき、次のとおり異議を申立て、審査請求いたします。

<省略>

4、審査請求の趣旨及び理由
 (趣旨)
本決定の公開されなかった部分のうち、下記の欄の公開を求める。
・学校からの意見における各教科用図書に対する所見欄
・市民からの意見における意見欄、ただし記入者の個人を特定される情報があればそれを除く
・研究会からの意見における各教科用図書に対する所見欄
(ただし処分日以降に電話で教育委員会に確認したところによると、研究会からの意見は存在しないとのこと。不存在であれば公開されようがないが、処分内容は不存在ではないため、念のため記しておく。)

(理由)
①審査請求人は、平成29年度守口市義務教育諸学校教科用図書選定委員会に係る学校、研究会、市民からの意見の公開請求を行った。

②守口市教育委員会は、「個人情報であって、公にすることにより、当該個人の正当な利益を害するおそれがある」(守口市情報公開条例第7条第1号)「教科書選定に係る事務の適正な執行に支障をおよぼすおそれがある」(同条第5号)ことを理由に、一部非公開とし、部分公開の決定を行った。

非公開とされた部分は、学校名や名前などの個人情報のほか、所見・意見も含まれている。請求人は学校名や名前など個人情報の非公開は当然と考えるが、所見・意見についての非公開は後述する理由により不当であると判断せざるを得ず、審査請求を行うものである。

④請求人が本審査請求書で公開を求める所見・意見の欄は個人情報に当たらないので、守口市情報公開条例第7条第1号を非公開の根拠とする守口市教育委員会の判断は、失当である。

⑤すでに公開されている「平成29年度守口市立義務教育諸学校教科用図書選定委員会議事録」によると、同会議の資料として、学校と研究会の意見を資料として配布されている。また2017年7月27日に開催された、道徳教科書図書選定のための教育委員会会議において、市民からの意見についても資料として提出され、会議の中でも教育委員よりこのことに関する発言があった。学校、研究会、市民の意見は、すでに公開されている「平成30年度使用小学校教科用図書調査報告書」と併せて、程度の差はあれ教科用図書選定に一定の影響を与えたことは間違いなく、また全く影響を与えなかったとしてもその事実を公開された情報を通じて市民に公表することは守口市教育委員会の責務である。

⑥守口市教育委員会は、部分公開の理由として守口市情報公開条例第7条第5号「教科書選定に係る事務の適正な執行に支障をおよぼすおそれがある」とある。しかし平成30年度教科書選定はすでに終了しているので、「適正な執行に支障をおよぼす」ことなどありえない。むしろ適正に執行されていることを市民が確認するために当該所見・意見の公開が必要であり、非公開部分が全部公開されることにより、守口市情報公開条例第1条にある「市の保有する情報の一層の公開を図り、もって市の有するその諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市政の推進に寄与すること」に合致する。

⑦2017年3月28日、文科省初等中等局長から各都道府県教委へ出された「教科書採択における公正確保の徹底について(通知)」では、その情報の公開について「採択権者においては、引き続き、採択結果及びその理由を初めとする教科書採択に関する情報の積極的な公表にとり組み、採択に関する説明責任を果たすことが求められること。またすでに、公表を行っている採択権者においても、保護者や地域住民等が容易にその情報を得ることができるよう、公表の時期・方法等について不断の改善を図ること」とある。情報の公開こそが教科書採択における公正確保を担保しているのである。学校意見、研究会意見、市民の意見は「教科書採択に関する情報」であり、今回の守口市教育委員会の処分は文科省通知にある「説明責任を果たすこと」に著しく反している。

請求人が公開を求める箇所は、大阪市、東大阪市、高槻市など近隣市ではすでに公表されている。ひとり守口市が公開しないのであれば、守口市民の「知る権利」が近隣市民に比べ低位劣悪な状況に置かれることとなり、権利の平等を謳っている日本国憲法に違反しており、守口市情報公開条例の目的を棄損し、守口市の教科用図書の選定の過程に市民の疑いを生じさせることとなる。

⑨以上の理由から、審査請求人は守口市教育委員会に対して審査請求を行うものである。

<省略>