子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

この4月から子どもの心と行動を管理するキャリア・サポートが全国の小中高校で強制!

2020-01-14 22:23:47 | 大阪での教育破壊
2020年4月から「キャリア・サポート」が、全国のすべての小中高校で強制されようとしています。これほど多くの子どもたちと保護者、学校を巻き込む新制度ですが、ほとんど知られていないのではないでしょうか。

文科省の通知によると2017年3月に公示された学習指導要領の「特別活動」の項目で示されていたようです。文科省が出した「キャリア・パスポート」の見本を見るととんでもない内容でした。道徳と連動させることで、学校、家庭、地域での行動すべてが枠にはめられ、子どもは「良い子」暮らしを強いられるようになります。しかもそれが自分が立てた目標を自分で実践し、自分で振り返り、自己評価するというやり方なので、あたかも自主的にやっているかのように、すべて自己責任と思いこまされるような仕組みです。

簡単にいえば企業で奨励されてきた「PDS(Plan Do See)」の子ども版です。すでにかなり以前から「教職員評価」には導入されていますが、ついに子どもの時から思考と行動を縛ろうとするところにまで来たかと恐ろしい気がします。

文科省が子どもに求めている能力は「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つです。道徳は個人の形成がまずあって他社、集団へと同心円的に広がりますが、特別活動のためか、他者・集団との関係での能力がトップに来ています。すべて前向きな向上を求める項目ばかりです。

学期ごとに目標を立て、学期末に振り返り、学年末には小学校では7項目を、中学校では12項目を4段階で自己評価し、次の学年へとつなぎます。

これらを小中校と12年間繰り返させることを通じて、子どもは国家が求める4つの能力を絶えず意識し、12項目を規準に自分を考えるように刷り込まれます。つまり「将来の仕事のために常に自己の向上に努力する良い子」として振る舞えているかと12年間脅迫されているようなものです。

教員の負担も大変なものです。教員には子どもを高めることが要求されるので、向上しない子どもに頭を悩ませ、子どもを指導しなければなりません。それだけではなく常にこの12項目を規準に子どもを見るように教員にも刷り込まれます。

これによって自由な子どもと教員との関係は完全に壊されます。「道徳の教科化」によってただでさえ息苦しくなっているのに、「キャリア・パスポート」なるものによって子どもはいっそうストレスを溜め、いじめや不登校が増えるのではないかと心配です。

これまで「特別活動」には教科書も評価もなく、比較的自由にカリキュラムが組まれてきたのではないかと思いますが、この「キャリア・パスポート」なるものを通じてじわじわと管理的なものに変質するのではないかと思います。

しかもこの「キャリア・パスポート」は卒業しても次の学校へと引き継がれ、12年間分で完結されるようになっています。文科省の通知では学校を通じてまとめて進学する学校に渡すことができることになっています。大阪市の場合は「入学式前後での早い段階での提出を求め」ることになっていますので、子どもは捨てたくとも捨てられません。実質的には強制提出であり、これまでの「指導要録の写し」以上にたいへん詳しいので、次の学校はその子どもをより把握しやすくなるとも言えます。大阪市は、小学校から中学校、高校に引き継いでいくために、専用のファイルまで配付する予定になっています。子どもが気持ちを切り替えて新しい学校で出発したいと思っても、過去はずっと付いてくるというわけです。

文科省は「キャリアパスポート」は学校ごとにカスタマイズしていいと言っていますが、これだけ忙しい中では独自のものを作るのは大変なので、ほとんどの学校は文科省の見本通りのもので進めるでしょう。しかし放置はできないので、「キャリアパスポート」の問題点を広く伝え、何とか形骸化させることを考えないといけないと思います。


大阪市教委へ「公正性と透明性の高い中学校教科書採択制度を求める要望・質問書」

2020-01-05 11:33:42 | 2019小学校教科書採択(大阪)
いよいよ2020年が始まりましたね。
今年は育鵬社を大阪から一掃する年にできるようにがんばりたいです。

まずは、大阪市教委に対して、昨年の小学校採択を検証して、今年の中学校採択の改善を求める要望・質問書を作成しました。冬休み中に具体的に分析しようと思ったのですが、大阪市教委は昨年の小学校採択の情報公開さえまともに行っていなかったので、至急公開を求めることにウエートを置いた文書になりました。これへの回答を求め、交渉も行いたいと思います。交渉は、2月中旬ぐらいになるのではないかと思います。その際は、ご協力をお願いします。

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大阪市教育委員会 山本晋次教育長 様

公正性と透明性の高い中学校教科書採択制度を求める要望・質問書

子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

 2019年大阪市の小学校採択制度は、「より現場の意見に即した教科書採択」を行うために4採択地区に分割されました。それに伴って採択手続きも変更されました。今年、中学校教科書採択が行われます。昨年の新たな小学校採択制度が公正で透明性の高い運用がなされていたかどうかしっかりと検証し、今年の中学校採択に活かしていかなければなりません。
 しかし、大阪市教育委員会は、未だに昨年の採択過程を全面的に公開していません。採択に向けての重要な教育委員会議(7月16日、7月30日、8月6日)の議事録さえ公開していません。とりわけ7月16日と7月30日の教育委員会議は非公開審議であったため、その内容が全く明らかではありません。2020年1月野時点で昨年の教科書採択に関する教育委員会議の議事録が公開(情報公開を含む)されていない市町村教委は大阪ではほとんどありません。これでは昨年の教科書採択が、「より現場の意見に即した教科書採択」となっていたかどうか、市民的な検証が全くできません。あまりに無責任な態度です。
 既に中学校採択開始まで3ヶ月あまりです。大阪市教委は、早急に昨年の小学校採択資料を全て公開すべきです。以下、市民的検証をするために採択資料の公開を求めると共に、既に公開されている部分的な資料について質問書を提出します。早急な回答と協議の場の設定を求めます。

要望書

2019年小学校採択に関する以下の資料を早急に公開してください。
(1)教科書採択について審議した2019年7月16日、7月30日、8月6日の教育委員会議の議事録
(2)2019年7月16日、7月30日の教育委員会議に配付された資料
(3)教科用図書選定委員会議事録
(4)地区調査会に配付された資料と議事録

質問書

(1)地区調査会の代表は、どのようにして決定しているのですか。また、地区調査会の代表からも誓約書を取っているのですか。

(2)地区調査会代表は、教育次長であると同時に区長でもあります。区長の選任は、市長が公募で選ぶだけで議会承認は必要ありません。従って、区長は市長の政治的な影響を強く受ける役職となっています。地区調査会の代表が区長である以上、区長が教科書採択へ政治介入していないかどうか、厳しくチェックされなければなりません。しかし、現状では、地区調査会は秘密会となっており、配付資料や議事録が公開
されていません。
 私たちは、区長が地区調査会代表を務めることは、教科書採択の公正性の観点から大いに問題があると考えます。貴教委の考えを聞かせてください。
 また、区長が地区調査会代表を務めることに対して上記の疑念があることから、地区調査会の審議を公開すべきと考えますが、貴教委の考えを聞かせてください。

(3)採択地区の複数化は、「より現場の意見に即した教科書採択」を行うために行われました。学校調査には、「特に優れている点」と「特に工夫・配慮を要する点」に「1」を入れることになっています。しかし、それは項目ごとに一つとなっており、十分学校の意見を集約したものにはなっていません。「より現場の意見に即した教科書採択」を行うためには、各学校が「特に優れている点」と「特に工夫・配慮を要す
る点」に複数「1」を入れることができるように改善すべきだと考えます。貴教委の考えを聞かせてください。
 また、貴教委は、学校調査が十分学校の意見を集約するものになっていたのかどうかを検証したのか明らかにしてください。したのであればその内容を教えてください。

(4)学校調査の集約は、「一覧」にして選定委員会に提出されています。選定委員会、専門調査会において「一覧」がどのように活用されたのか、具体的に教えてください。

(5)第2回選定委員会に「定量的調査資料」が提出されています。だれ(部署)が「定量的調査資料」を作成することを決めたのでしょうか。だれが作成したのでしょうか。

(6)「定量的調査資料」にある「調査項目」の設定によって、教科書の特徴、評価は大きく変わります。従って恣意的な「調査項目」の設定は許されません。「定量的調査資料」の「調査項目」は、だれが、どのようにして決めたのでしょうか。また、教育委員会議で「定量的調査資料」の作成と「調査項目」の内容について審議し、承認されているのでしょうか。
                                      
 以上