2020年4月から「キャリア・サポート」が、全国のすべての小中高校で強制されようとしています。これほど多くの子どもたちと保護者、学校を巻き込む新制度ですが、ほとんど知られていないのではないでしょうか。
文科省の通知によると2017年3月に公示された学習指導要領の「特別活動」の項目で示されていたようです。文科省が出した「キャリア・パスポート」の見本を見るととんでもない内容でした。道徳と連動させることで、学校、家庭、地域での行動すべてが枠にはめられ、子どもは「良い子」暮らしを強いられるようになります。しかもそれが自分が立てた目標を自分で実践し、自分で振り返り、自己評価するというやり方なので、あたかも自主的にやっているかのように、すべて自己責任と思いこまされるような仕組みです。
簡単にいえば企業で奨励されてきた「PDS(Plan Do See)」の子ども版です。すでにかなり以前から「教職員評価」には導入されていますが、ついに子どもの時から思考と行動を縛ろうとするところにまで来たかと恐ろしい気がします。
文科省が子どもに求めている能力は「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つです。道徳は個人の形成がまずあって他社、集団へと同心円的に広がりますが、特別活動のためか、他者・集団との関係での能力がトップに来ています。すべて前向きな向上を求める項目ばかりです。
学期ごとに目標を立て、学期末に振り返り、学年末には小学校では7項目を、中学校では12項目を4段階で自己評価し、次の学年へとつなぎます。
これらを小中校と12年間繰り返させることを通じて、子どもは国家が求める4つの能力を絶えず意識し、12項目を規準に自分を考えるように刷り込まれます。つまり「将来の仕事のために常に自己の向上に努力する良い子」として振る舞えているかと12年間脅迫されているようなものです。
教員の負担も大変なものです。教員には子どもを高めることが要求されるので、向上しない子どもに頭を悩ませ、子どもを指導しなければなりません。それだけではなく常にこの12項目を規準に子どもを見るように教員にも刷り込まれます。
これによって自由な子どもと教員との関係は完全に壊されます。「道徳の教科化」によってただでさえ息苦しくなっているのに、「キャリア・パスポート」なるものによって子どもはいっそうストレスを溜め、いじめや不登校が増えるのではないかと心配です。
これまで「特別活動」には教科書も評価もなく、比較的自由にカリキュラムが組まれてきたのではないかと思いますが、この「キャリア・パスポート」なるものを通じてじわじわと管理的なものに変質するのではないかと思います。
しかもこの「キャリア・パスポート」は卒業しても次の学校へと引き継がれ、12年間分で完結されるようになっています。文科省の通知では学校を通じてまとめて進学する学校に渡すことができることになっています。大阪市の場合は「入学式前後での早い段階での提出を求め」ることになっていますので、子どもは捨てたくとも捨てられません。実質的には強制提出であり、これまでの「指導要録の写し」以上にたいへん詳しいので、次の学校はその子どもをより把握しやすくなるとも言えます。大阪市は、小学校から中学校、高校に引き継いでいくために、専用のファイルまで配付する予定になっています。子どもが気持ちを切り替えて新しい学校で出発したいと思っても、過去はずっと付いてくるというわけです。
文科省は「キャリアパスポート」は学校ごとにカスタマイズしていいと言っていますが、これだけ忙しい中では独自のものを作るのは大変なので、ほとんどの学校は文科省の見本通りのもので進めるでしょう。しかし放置はできないので、「キャリアパスポート」の問題点を広く伝え、何とか形骸化させることを考えないといけないと思います。
文科省の通知によると2017年3月に公示された学習指導要領の「特別活動」の項目で示されていたようです。文科省が出した「キャリア・パスポート」の見本を見るととんでもない内容でした。道徳と連動させることで、学校、家庭、地域での行動すべてが枠にはめられ、子どもは「良い子」暮らしを強いられるようになります。しかもそれが自分が立てた目標を自分で実践し、自分で振り返り、自己評価するというやり方なので、あたかも自主的にやっているかのように、すべて自己責任と思いこまされるような仕組みです。
簡単にいえば企業で奨励されてきた「PDS(Plan Do See)」の子ども版です。すでにかなり以前から「教職員評価」には導入されていますが、ついに子どもの時から思考と行動を縛ろうとするところにまで来たかと恐ろしい気がします。
文科省が子どもに求めている能力は「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」の4つです。道徳は個人の形成がまずあって他社、集団へと同心円的に広がりますが、特別活動のためか、他者・集団との関係での能力がトップに来ています。すべて前向きな向上を求める項目ばかりです。
学期ごとに目標を立て、学期末に振り返り、学年末には小学校では7項目を、中学校では12項目を4段階で自己評価し、次の学年へとつなぎます。
これらを小中校と12年間繰り返させることを通じて、子どもは国家が求める4つの能力を絶えず意識し、12項目を規準に自分を考えるように刷り込まれます。つまり「将来の仕事のために常に自己の向上に努力する良い子」として振る舞えているかと12年間脅迫されているようなものです。
教員の負担も大変なものです。教員には子どもを高めることが要求されるので、向上しない子どもに頭を悩ませ、子どもを指導しなければなりません。それだけではなく常にこの12項目を規準に子どもを見るように教員にも刷り込まれます。
これによって自由な子どもと教員との関係は完全に壊されます。「道徳の教科化」によってただでさえ息苦しくなっているのに、「キャリア・パスポート」なるものによって子どもはいっそうストレスを溜め、いじめや不登校が増えるのではないかと心配です。
これまで「特別活動」には教科書も評価もなく、比較的自由にカリキュラムが組まれてきたのではないかと思いますが、この「キャリア・パスポート」なるものを通じてじわじわと管理的なものに変質するのではないかと思います。
しかもこの「キャリア・パスポート」は卒業しても次の学校へと引き継がれ、12年間分で完結されるようになっています。文科省の通知では学校を通じてまとめて進学する学校に渡すことができることになっています。大阪市の場合は「入学式前後での早い段階での提出を求め」ることになっていますので、子どもは捨てたくとも捨てられません。実質的には強制提出であり、これまでの「指導要録の写し」以上にたいへん詳しいので、次の学校はその子どもをより把握しやすくなるとも言えます。大阪市は、小学校から中学校、高校に引き継いでいくために、専用のファイルまで配付する予定になっています。子どもが気持ちを切り替えて新しい学校で出発したいと思っても、過去はずっと付いてくるというわけです。
文科省は「キャリアパスポート」は学校ごとにカスタマイズしていいと言っていますが、これだけ忙しい中では独自のものを作るのは大変なので、ほとんどの学校は文科省の見本通りのもので進めるでしょう。しかし放置はできないので、「キャリアパスポート」の問題点を広く伝え、何とか形骸化させることを考えないといけないと思います。