子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

「日本教科書」は、「愛国心」を「理解」に加え「態度や行動」まで生徒に自己評価

2018-03-31 21:10:26 | 道徳教科書 中学校
中学道徳教科書で検定合格した8社中5社で「愛国心」等を段階別で自己評価欄を設けています。段階評価は、文科省の「徳目」にそって、自分の「内心」を評価させるものです。段階別自己評価は、子どもたちを文科省の「徳目」に向けて誘導していく手段となります。
教員による記述式評価と子どもたち自身による自己評価は、子どもたちの内心に大きな強制力が働くことは明らかです。

特に、日本教科書は「心の成長を振り返りましょう」と題したページを巻末に作っています。「国を愛し、伝統や文化を受け継ぎ、国を発展させようとする心」のように、文科省の22の徳目を「中学生で身につけたい22の心」として列挙しています。

子どもたちには、
「1レベル:意味は分かるけど意味はわかるけれど、大切さを感じない」
「2レベル:大切さや意味は分かるけど、態度や行動にすることができない」
「3レベル:大切さや意味は理解していても、態度や行動にできる時とできない時がある」
「4レベル:大切さや意味は理解していて、多くの場面で態度や行動にできている」
までの4段階のうち「自分のレベルを判断して〇を付けましょう」と呼び掛けています。

このように、徳目への「理解」だけでなく「態度や行動」にまで自己評価させているのは日本教科書だけです。

さらに3年生の「私の道徳記録」には、「道徳の時間の意義について、あなたの考えを書きなさい」と言う項目までありました。子どもたちに「道徳の時間の意義」まで書かせるなど余計なお世話と言うしかありません。

他の社はどのようにしているか見てみましょう。
教育出版は22項目と教材名を並べて「心かがやき度」を星1~3個で示すものとなっています。廣済堂あかつきは、教材と徳目ごとに「できなかった」から「とてもよくできた」までの5段階でチェックするものとなっています。日本文教出版は教材別に5段階、東京書籍は学期ごとに4段階で丸をつけて子どもたちが振り返る欄を作りました。

子どもたちの内心に関わる授業において、どのような方法によっても自己評価することは、子どもたちの内心の自由を侵害するものになります。中でも、日本教科書が最も子どもたちの心を統制していくものになっていると言えます。

日本会議系の教材を使う「日本教科書」

2018-03-30 08:16:40 | 道徳教科書 中学校
「日本教科書」の道徳教科書は、教材の出典を見ると教科書の傾向が読み取れます。
まず、文部科学省の読み物教材や「私たちの道徳」から13の教材を持ってきています。これは検定合格した8社中最も多い数です。
新規参入した同社が検定合格するためには、文科省の教材をたくさん取り入れようとしたのではないかと思われます。

次に大きな特徴は、日本会議系の教材を使っていることです。日本会議系教科書と言っても過言ではありません。
■モラロジー研究会の雑誌「ニューモラル」から2つ。
■日本教育再生機構のパイロット版道徳教科書「はじめての道徳教科書」(育鵬社)から1つ。
■モラロジー研究会主催の「教育者研究会」や日本会議の講師となっている白駒妃登美氏が2箇所で出てきます。一つは、2年の「ウズベキスタンの桜」という教材。中山恭子著の本が元になっている。その参考文献に白駒妃登美氏本がでてくる。もう一つが、白駒氏の書いた「台湾に遺したもの」が取り上げられています。どちら「日本人は立派」と日本礼賛が全面に出ています。
■致知出版社から引用した教材がいくつかあります。致知出版社の藤尾秀昭社長は、日本会議の代表委員であり、日本会議系人物の書籍を多数発行しています。


八木秀次氏が設立、今はヘイト・児童ポルノ本を発行する出版社の子会社である「日本教科書」が中学校道徳教科書検定合格

2018-03-29 21:23:32 | 道徳教科書 中学校

3月27日、文部科学省は中学校道徳教科書の検定結果を公表しました。今回の検定では、新規に設立された教科書会社「日本教科書」が初参入し検定合格しています。「日本教科書」は、日本教育再生機構の理事長である八木秀次氏が代表取締役となってつくった会社であり、当初の会社住所も同機構と同じでした。取締役には野田数氏も名前を連ねています。野田氏は、かつて「都民ファーストの会」代表を務め、都議会議員時代には「日本国憲法は無効で大日本帝国憲法が現存する」との請願に賛成した極右政治家です。

 これまで八木氏は、日本教育再生機構が中心となって育鵬社から中学校道徳教科書を発行する目論見でした。日本教育再生機構の機関誌「教育再生」でも、「理想の道徳教科書の作成」を掲げていました。しかし、事実上、日本教育再生機構が機能停止状態に陥ったことによって、急遽、2016年に「日本教科書」を立ち上げたのでした。検定申請後の2017年9月1日に八木は、『「(一人以上の役員が)出版に関する相当の経験を有する」という教科書会社に求められる要件にあわない』(朝日新聞)として代表取締役を出版社会長である武田義輝氏に引き継ぎ、住所も武田氏の晋遊社ビルの一角に移しました。「日本教科書」と晋遊社は、会長だけでなく複数の取締役や監査役も重なっているうえ、事務所も同居しています。なんと郵便ポストも共有していました。つまり、「日本教科書」は、安倍首相のブレーンであり日本会議メンバーである八木が立ち上げた会社であり、現在は晋遊社の子会社そのものです。

 晋遊舎は2005年から「マンガ嫌韓流」などいわゆる「嫌韓本」を多数出し、韓国・朝鮮人や中国人へのヘイト扇動を行ってきました。「反日韓国人撃退マニュアル」など在特会の桜井誠元会長の本を4冊も出しています。さらには、児童ポルノ漫画も多数出している。このような人権侵害本を出している出版社の子会社が、道徳教科書を出すなど悪夢です。

 文科省は、このような出版社の道徳教科書を検定合格させました。「教科書発行者の指定」を定めた文科省令には、教科書を発行する法人又は代表する者は「図書の発行に関し著しく不公正な行為」をしていないことが求められています。「日本教科書」と武田氏は、文科省令に違反しており、教科書発行者として全くふさわしくありません。検定合格させた文科省の責任は厳しく問われなければなりません。

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安倍首相ブレーン助言の道徳教科書も合格 八木秀次教授

2018年3月28日09時27分 朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL3R3FLYL3RUTIL00K.html

 中学道徳の教科書が合格した「日本教科書」は初めての検定申請だった。同社は安倍晋三首相の政策ブレーンとして知られる八木秀次・麗沢大教授らが2016年4月に設立した「道徳専門の教科書会社」だ。

 道徳の教科化などを提言した、政府の教育再生実行会議の有識者委員を務める八木氏によると、道徳の教科書作成は以前に他の会社と計画していたが、途中で頓挫したため、賛同者から出資を募って会社を設立した。いったんは社長に就いたが、「(1人以上の役員が)出版に関する相当の経験を有する」という教科書会社に求められる要件に合わないとして、昨年に退任した。当初から教科書の監修や執筆にタッチせず、助言している程度という。

 八木氏は「道徳の教科化に合わせスタンダードを示したかった」と語る。教科書作成の中心を担った金沢工業大の白木みどり教授は「答えが一つではない、多様性を意識した教材を載せた」と話す。

 合格した教科書では性的少数者や中学生の恋愛などを取り上げた。国際理解や貢献を学ぶ教材として、安倍首相が16年12月に米ハワイの真珠湾を訪問した際の演説の一部も掲載した。(峯俊一平)

大阪市議会教育子ども委員会:教科書採択区の複数化を求める陳情書を採択!

2018-03-21 08:48:24 | 大阪市の教科書問題
3月19日、大阪市会教育こども委員会で、私たちが提出した「教科書採択区の複数化を求める陳情書」が、自民党、公明党、共産党の賛成によって採択されました。

共産党の井上議員はずばり、「来年、平成31年の採択では複数化するのか」と追及してくれました。
それに対して高橋課長は、「平成31年以降は公正さを徹底する。陳情書第114号(2016年12月7日に採択された複数化を求める陳情書のこと)、および外部監察チームの報告書にのっとって進める。平成31年までに、複数化のメリット、デメリットを検討し、区割りの仕方も検討する」と明言しました。

3月9日の教育こども委員会でも自民党の荒木議員が同様の答弁を引き出してくれており、議会で2度も陳情書が採択されたので、複数化の方向はこれで明確になりました。2015年以降、粘り強く取り組んできたことが、ようやく実を結びました。しかし、まだまだ安心はできませんので、きちんと実行するようにこれからも働きかけたいと思います。

傍聴に駆けつけてくださったみなさん、ありがとうございました。

大阪市議会に教科書採択区の複数化を求める陳情書を提出

2018-03-14 19:35:08 | 大阪市の教科書問題
2016年12月、大阪市議会教育子ども委員会で「採択地区の複数化」を求める陳情書が採択されました。
しかし、大阪市教育委員会は、今年1月の教育委員会議で、2018年度中学校道徳教科書採択の採択区を1つとする決定をしました。
明らかに議会無視の決定です。

私たちは、改めて大阪市議会に「採択地区の複数化」を求める陳情書を提出しました。

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        大阪市の教科書採択区の複数化を求める陳情書
平成 30 年 3 月 1 日
大阪市会議長 山下 昌彦 様
子どもたちに渡すな!あぶない教科書大阪の会

[陳情趣旨]

大阪市の採択区を 1 区から複数区にすることにつき、平成 28 年 12 月7日の大阪市会教育こど も委員会においては、私たちの「採択地区を現在の 1 区から複数区へと変更することを求める陳 情書」を採択していただきました。
 複数区への変更が必要な理由として、平成 26 年度に採択区が 8 区から 1 区に変更され、大規 模化されたため、採択が教育現場の意向から遠ざかり、「大阪市内 24 区のすべてを特定の教科 書会社が総取りできることになり、教科書会社や印刷会社が莫大な利益を奪い合う不正の温床を 醸成してきた面があり、教科書アンケートをめぐる不正もその一つであった」と指摘いたしまし た。
また平成 29 年 3 月 3 日に出された外部監察チームの報告書でも、「大阪市の教科書採択が地区で行われることとなった結果、大阪市で中学校教科書として採択されると、1 種目につき年 間約 18,000 部強の発行が可能となり、かつ、それが原則として 4 年間継続することになる。そ うすると、教科書発行者においては勿論のこと、その印刷者にとっても、採択されるか否かは業 績上、大きな影響を及ぼし得ることとなる」と指摘され、1 地区にされたことによる問題性が明 らかにされました。
それらをうけて、昨年 5 月 9 日の教育委員会会議で山本教育長は「来年度以降の採択について は、学校現場の意見や市会での議論、外部監察チームの報告書、1 地区から複数区に戻すことの メリットとデメリット等を踏まえ、丁寧に議論を進めてまいりたい」と説明していました。
と同時に山本教育長は、昨年の小学校道徳教科書の採択については、「採択地区については大 阪府教育庁の決定事項であり、府との事務的な調整も必要なことから、今年度の小学校の道徳の 教科書採択においては採択地区を変更することは日程的に不可能な状況である」ことを理由に、 昨年度の採択に限って一地区採択とする臨時の措置をとりました。
ところが本年 1 月 10 日の教育委員会会議においては、これまでの流れをすべて無視し、「平 成 31 年度使用教科用図書(中学校「特別の教科 道徳」)の採択地区を 1 採択地区とする」こ とが、新たに決められました。
ことここに至っては、教育委員会は、議会におけるこれまでの決定を無視し、外部監察チーム の意見を軽視し、さらにその後の議論を反故にしていると言わざるをえません。
教育委員会は昨年の 5 月以降、採択区の複数化について、はたして「丁寧に議論を進めて」こ られたでしょうか。昨年の議事録を見る限り、そのような議論はありませんでした。
採択区が大きいほど教科書会社や印刷会社などによる不正の温床になりやすいこと、学校現場 や地域・子どもの実情に合わない教科書が採択される可能性があることなど、デメリットは何ら 克服されてはいません。したがって、来年度の小学校教科書採択から、採択区を 1 区から複数区 に変更してくださるよう、強く要望いたします。

[陳情項目]

来年度の小学校教科書採択から、大阪市の教科書採択地区を 1 区から複数区に変更してください。