子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

中学校歴史教科書の採択やり直しについての要望書

2021-05-25 19:51:08 | 自由社検定合格問題2021
大阪の会では、自由社中学校歴史教科書が再検定に合格したことを受けて、大阪府内の市町村教委に以下の要望書・質問書を提出しました。


教育委員会 教育長 様                       2021年 5月 26日
教育委員 各位 様
      
子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会
                   
中学校歴史教科書の採択やり直しについての要望書

 新型コロナウィルスが再度蔓延している中で、児童生徒の教育に力を尽くしておられることに心から敬意を表します。
 さて本年は、自由社中学校歴史教科書が再検定に合格したことによって、歴史教科書だけの採択やり直しがおこなわれます。それに関連して、以下の要望をぜひ参考にしていただきまして、「人権・平和・共生」という人類普遍の価値観を大切にした教科書が、公正・公平な手続きを通じて採択されますように、切に要望いたします。
               
要望事項

(1)自由社歴史教科書は採択しないでください。
 <理由> 
①古代から現代までを「天皇」の統治の歴史として描き、天皇に関する記述が非常に多く、民衆に関する記述はほとんどありません。しかも、古代では「神話による神々の系図」まで載せ、生徒が史実と神話を混同するように仕向けています。
②すでに廃止された「北海道旧土人保護法」を、明治政府がアイヌを保護するための法律だったと教え、アイヌ文化を破壊し、アイヌの土地を奪ったことを、すべてアイヌの慣習のせいであったかのように記述しています。まったくの人権侵害の教科書です。
③日露戦争で日本が勝利したことに、ネルーが勇気づけられたと記述していますが、ネルーはその後の韓国併合によって、日本も西欧列強と同じだと語ったことについては書いていません。また日中戦争の初期に、日本軍が南京で多くの中国人を殺害したことには触れず、通州で日本人が殺害されたことだけを書いています。このように、都合の悪いことは書かず、日本はすごい国だと偏った愛国心を刷り込む歴史教科書では、国際社会で生きる主権者を育てることはできません。

(2)育鵬社歴史教科書は採択しないでください。
 <理由>
 ①日本の歴史を「天皇」の統治の歴史として教えるのも、神話を大きく取り上げるのも自由社と同じです。
 ②大仙古墳の面積と、エジプトのクフ王のピラミッドや秦の始皇帝陵の面積とを比べて、大仙古墳の大きさを強調していますが、ピラミッドも始皇帝陵も、大仙古墳より時代ははるかに古く、しかも高度な石組みの技術で作られていることには触れません。比べられないものを強引に比べて、日本はすごい国だと思わせるのは、世界に通用しない優越感を生徒に植えつけるだけです。
③「なでしこ日本史」では多くの女性を取り上げていますが、女性をあくまで男性を支える存在として強調しており、両性の平等とはほど遠い内容です。
④日本の過去の戦争を正当化するのは自由社と同じです。過去の歴史の良かったことも、間違ったこともきちんと教え、未来に活かそうとする教科書ではありません。
⑤調べ学習として、大阪を6ページ、横浜を4ページも特集しています。特定の市を大きく扱うのは、公平な教科書とは言えません。

(3)歴史教科書は自由社・育鵬社以外の教科書の中から、「人権・平和・共生」をもっとも大切にしている教科書を採択してください。

(4)現場教員が希望する教科書を採択してください。

(5)市民アンケートの意見も参考にして採択してください。

(6)コロナ禍ではありますが、最大限の対策をして教科書展示会を開催し、市民が意見を書けるようにしてください。

(7)コロナ禍ではありますが、最大限の対策をして、市民が教育委員会の採択会議を直接傍聴できるようにしてください。

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

質問書

今年の中学校歴史教科書採択を、どのように行う予定でしょうか。

①調査委員会を設置して自由社の調査研究を行い、その「調査報告」と、昨年度の「答申」を比較検討し、全ての教科書の中から採択を行う。

②調査委員会を設置して全社の調査研究を行い、全ての教科書の中から採択を行う。

③調査委員会を設置せず、府教委作成の「選定資料」と、昨年度の「答申」を比較検討し、全ての教科書の中から採択を行う。

④自由社の調査研究はするが、昨年度の採択結果を尊重する。

⑤府教委の「選定資料」を参考にするが、昨年度の採択結果を尊重する。

その他(                                  )