10/21(金)16時から、奈良経済同友会「10月例会」がホテルサンルート奈良で開かれた。明日香村の森川裕一村長が講演されるというので、ムリをお願いして聴講させていただいた。演題は「飛鳥創生戦略」だ。明日香村は「日本で最も有名な村」といっても過言ではない。
※画像は、当日の配付資料「飛鳥創生戦略」(PowerPoint)から抜粋
そんな村に関し、10/11(火)朝6:30頃にNHKニュースが「星野リゾートが明日香村にホテルを建設!」とすっぱ抜いたので、とても気になっていた。そのあと新聞各紙に追っかけ記事が出た。産経新聞奈良版(10/13付)には「明日香村に星野リゾート ホテル建設で協定締結へ 5~6年後の開業目指す」という詳しい記事が出ていたので、これを引用すると、
この写真のみ、山本太治さん(奈良経済同友会代表幹事)のFacebookから拝借。他は私の撮影
明日香村は12日、全国で高級温泉旅館やリゾートホテルを運営する星野リゾート(本社・長野県軽井沢町)が、村内にホテルを建設するための「パートナーシップ協定」を同村と今月28日に締結すると発表した。建設候補地は近鉄飛鳥駅に近い村西部の真弓(まゆみ)地区の丘陵地。協定の締結後、地権者との交渉に入り、5~6年後のオープンをめざしている。明日香村には年間約80万人の観光客が訪れるが、ホテルはなく、実現すれば初のホテルとなる。
山本代表幹事の開会挨拶
村では約10年前からホテル誘致に向けて活動。新たなホテル建設用地を探していた星野リゾートと思惑が一致し、同社の幹部が昨年10月初めて村を訪問。その後、ホテル建設に向けて話し合いが進められていた。建設候補地は、村の将来構想を示す総合計画では産業施設の整備をめざすエリア。飛鳥駅の西側に位置し、周辺には高松塚古墳やキトラ古墳などもある。
飛鳥時代から古い歴史を持つ村は、特別措置法によって村内全域が歴史的風土保存地区に指定され、開発は厳しく規制されている。このため、建設が実現した場合でも環境に配慮したコテージ風(分棟型)の低層な施設になるとみられている。協定の締結式には森川裕一村長と星野リゾートの幹部が出席する予定で、ホテル実現に向けて協力していくことを確認する。
森川村長の講演が始まった
星野リゾートは東京や北海道、京都、沖縄など全国で個性的な高級旅館やホテルを運営。リゾート施設の再生でも知られ、海外にも進出している。村では「規模を含めどのようなホテルになるのかは今後、検討されると思うが、宿泊される方のいろんなニーズに応えられる施設になることが期待できる。雇用や、ホテルでの村産の食材の活用、さまざまな体験イベントなどを含め、村に与える波及効果は大きいと思う」とし、星野リゾートの進出を歓迎している。
これは朗報である。例会ではこの記事以上に詳しい話は出なかったが、用地買収はまだこれからとのことなので、ぜひ実現していただきたいものだ。村長には、32画面のパワポ資料を駆使して詳しくご説明いただいた。私の印象に残ったものを紹介する。
まず「明日香村がめざす地方創生」の目標は、世界に輝く「美(うま)し飛鳥」づくり、日本に光る豊かな「明日香ぐらし」。高齢化に対応しつつ、若者の人口減少に歯止めをかけ、空き家や放棄地を減らす。具体的には
1.飛鳥の魅力を磨き、国内外に発信し、来訪客を増やす。
2.人やお金の新しい流れを興し、働く場をつくる。
3.安心で、暮らしやすく、住みたくなるまちづくり。
2016年度中に、「明日香村地方創生戦略」を策定するそうだ。村の人口動態について説明があった。自然減(死亡)が多いのは致し方ないが、ここ3年間、社会人口(転入人口)が増加している(転出者<転入者)とのことで、これはご立派である。
村は「明日香まるごと博物館構想」を提唱している。「飛鳥宮跡保存活用構想検討報告書」(2014年3月)によると、
地域活性化戦略として村全域を五感で体感できるフィールドミュージアム「明日香まるごと博物館」を提唱している。明日香ならではの「歴史文化を観る」ための見どころの整備として、バーチャルリアリティも活用しながら、飛鳥京苑池の整備、飛鳥宮跡の復元整備、高松塚古墳壁画の公開展示に向けた取り組み、世界遺産登録の推進などにより、「明日香まるごと博物館」の実現を目指している。
というもので、つまりは「屋根のない博物館で、歴史文化、自然の輝き、人の汗を五感で体感しよう」というものである。歴史遺産に恵まれた明日香村ならではの夢のある構想だ。「日本国創成のとき~飛鳥を翔(かけ)た女性たち~」の日本遺産認定で、弾みがついているようで頼もしい。
村を訪れる観光客は約80万人で推移しているが、県下各地と同様、宿泊観光客は少なかった。しかし近年は回復傾向にあり、2015年(平成27年)には宿泊者が18,000人に増えた。これは民泊の「飛鳥ホームステイ」(飛鳥ニューツーリズム協議会が運営する教育旅行)の影響が大きい。6割弱がインバウンドだそうだ。
2016年度には6,000泊を見込んでおり、受け入れ民家も明日香村のほか橿原市、桜井市、高取町の約170軒に拡大、2014年度からは 広域行政事務組合からの支援も受けているとのこと。
とにかく森川村長はエネルギッシュで、あっという間に予定の時間が来てしまった。参加者は「この村長がいる限り、明日香村は大丈夫だ」と実感したことだろう。例会後の懇親会でも最後まで残り、参加者と膝詰めで意見交換をされていた。
星野リゾートの誘致が象徴するように、明日香村は「世界に輝く美(うま)し飛鳥づくり」に向け、頑張っている。これからの新たなチャレンジに、大いに期待したい。
※画像は、当日の配付資料「飛鳥創生戦略」(PowerPoint)から抜粋
そんな村に関し、10/11(火)朝6:30頃にNHKニュースが「星野リゾートが明日香村にホテルを建設!」とすっぱ抜いたので、とても気になっていた。そのあと新聞各紙に追っかけ記事が出た。産経新聞奈良版(10/13付)には「明日香村に星野リゾート ホテル建設で協定締結へ 5~6年後の開業目指す」という詳しい記事が出ていたので、これを引用すると、
この写真のみ、山本太治さん(奈良経済同友会代表幹事)のFacebookから拝借。他は私の撮影
明日香村は12日、全国で高級温泉旅館やリゾートホテルを運営する星野リゾート(本社・長野県軽井沢町)が、村内にホテルを建設するための「パートナーシップ協定」を同村と今月28日に締結すると発表した。建設候補地は近鉄飛鳥駅に近い村西部の真弓(まゆみ)地区の丘陵地。協定の締結後、地権者との交渉に入り、5~6年後のオープンをめざしている。明日香村には年間約80万人の観光客が訪れるが、ホテルはなく、実現すれば初のホテルとなる。
山本代表幹事の開会挨拶
村では約10年前からホテル誘致に向けて活動。新たなホテル建設用地を探していた星野リゾートと思惑が一致し、同社の幹部が昨年10月初めて村を訪問。その後、ホテル建設に向けて話し合いが進められていた。建設候補地は、村の将来構想を示す総合計画では産業施設の整備をめざすエリア。飛鳥駅の西側に位置し、周辺には高松塚古墳やキトラ古墳などもある。
飛鳥時代から古い歴史を持つ村は、特別措置法によって村内全域が歴史的風土保存地区に指定され、開発は厳しく規制されている。このため、建設が実現した場合でも環境に配慮したコテージ風(分棟型)の低層な施設になるとみられている。協定の締結式には森川裕一村長と星野リゾートの幹部が出席する予定で、ホテル実現に向けて協力していくことを確認する。
森川村長の講演が始まった
星野リゾートは東京や北海道、京都、沖縄など全国で個性的な高級旅館やホテルを運営。リゾート施設の再生でも知られ、海外にも進出している。村では「規模を含めどのようなホテルになるのかは今後、検討されると思うが、宿泊される方のいろんなニーズに応えられる施設になることが期待できる。雇用や、ホテルでの村産の食材の活用、さまざまな体験イベントなどを含め、村に与える波及効果は大きいと思う」とし、星野リゾートの進出を歓迎している。
これは朗報である。例会ではこの記事以上に詳しい話は出なかったが、用地買収はまだこれからとのことなので、ぜひ実現していただきたいものだ。村長には、32画面のパワポ資料を駆使して詳しくご説明いただいた。私の印象に残ったものを紹介する。
まず「明日香村がめざす地方創生」の目標は、世界に輝く「美(うま)し飛鳥」づくり、日本に光る豊かな「明日香ぐらし」。高齢化に対応しつつ、若者の人口減少に歯止めをかけ、空き家や放棄地を減らす。具体的には
1.飛鳥の魅力を磨き、国内外に発信し、来訪客を増やす。
2.人やお金の新しい流れを興し、働く場をつくる。
3.安心で、暮らしやすく、住みたくなるまちづくり。
2016年度中に、「明日香村地方創生戦略」を策定するそうだ。村の人口動態について説明があった。自然減(死亡)が多いのは致し方ないが、ここ3年間、社会人口(転入人口)が増加している(転出者<転入者)とのことで、これはご立派である。
村は「明日香まるごと博物館構想」を提唱している。「飛鳥宮跡保存活用構想検討報告書」(2014年3月)によると、
地域活性化戦略として村全域を五感で体感できるフィールドミュージアム「明日香まるごと博物館」を提唱している。明日香ならではの「歴史文化を観る」ための見どころの整備として、バーチャルリアリティも活用しながら、飛鳥京苑池の整備、飛鳥宮跡の復元整備、高松塚古墳壁画の公開展示に向けた取り組み、世界遺産登録の推進などにより、「明日香まるごと博物館」の実現を目指している。
というもので、つまりは「屋根のない博物館で、歴史文化、自然の輝き、人の汗を五感で体感しよう」というものである。歴史遺産に恵まれた明日香村ならではの夢のある構想だ。「日本国創成のとき~飛鳥を翔(かけ)た女性たち~」の日本遺産認定で、弾みがついているようで頼もしい。
村を訪れる観光客は約80万人で推移しているが、県下各地と同様、宿泊観光客は少なかった。しかし近年は回復傾向にあり、2015年(平成27年)には宿泊者が18,000人に増えた。これは民泊の「飛鳥ホームステイ」(飛鳥ニューツーリズム協議会が運営する教育旅行)の影響が大きい。6割弱がインバウンドだそうだ。
2016年度には6,000泊を見込んでおり、受け入れ民家も明日香村のほか橿原市、桜井市、高取町の約170軒に拡大、2014年度からは 広域行政事務組合からの支援も受けているとのこと。
とにかく森川村長はエネルギッシュで、あっという間に予定の時間が来てしまった。参加者は「この村長がいる限り、明日香村は大丈夫だ」と実感したことだろう。例会後の懇親会でも最後まで残り、参加者と膝詰めで意見交換をされていた。
星野リゾートの誘致が象徴するように、明日香村は「世界に輝く美(うま)し飛鳥づくり」に向け、頑張っている。これからの新たなチャレンジに、大いに期待したい。