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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

万博も開幕し、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

観光地奈良の勝ち残り戦略(26)尼さん体験プラン

2009年06月12日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
うーん参った、こんな宿泊プランがあったとは。昨日(6/11)のフジサンケイビジネスアイで知ったのだが、ネット上に詳しい情報が出ていた。烏丸経済新聞(ネット新聞)の記事「『癒やし』求める女性向け尼僧修行体験宿泊プラン-グランヴィア京都」(6/2付)から引用する。
http://karasuma.keizai.biz/headline/782/

《ホテルグランヴィア京都(京都市下京区烏丸通塩小路下ル)は6月から、笠原寺(山科区)で実施される「1日尼僧修行体験」とホテル宿泊を組み合わせた女性限定の「『1日尼僧修行体験』宿泊プラン」の販売を始めた》。
http://www.granvia-kyoto.co.jp/stay/entry/000882.html



《大本山川崎大師京都別院である笠原寺は、1979(昭和54)年に笠原政江尼が開山し、翌年から来山する悩める女性を一堂に集めて話し相手になることを目的に「1日尼僧修行体験」を開始した。体験者は中学生から80代までと幅広く、延べ3,000人以上にのぼる》。

《同プランは2006年から毎年期間限定で販売しており、首都圏を中心とした「癒やし」を求める30~40代の女性をターゲットに据えている。同ホテル広報担当者は「尼僧体験という普段とは違う空間を無心で体験していただくとともに、京都を感じ楽しんでほしい」と話す》。

《スケジュールは、1日目に同ホテルチェックイン後自由行動。2日目の朝、笠原寺に移動し約6時間の尼僧体験後、現地解散となる。尼僧体験では、香をまたぎ心身を清浄にする儀式「足香」から始まり、精神統一をする「安座」、願い事を念じながら大日如来を描く「写仏」などを行う》。


ホテルグランヴィア京都のHPより拝借

《同担当者は「期間限定で尼僧体験を行う日程のみの設定にもかかわらず反響があり、例年20人前後の利用がある」と話す。「普段と違う空間と体験から自分を見つめ直し、癒やしを全身で体験できる。さらに京都の文化にも触れながらゆったりとした時間を過ごせて、現代に暮らす女性にはぜいたくなひとときになるはず」(同)とも》。

《設定日は6月~来年3月の指定日。料金は1人=25,000~30,000円(1室2人利用の場合)で、ホテル宿泊(朝食付き)・尼僧体験(昼食付き)・笠原寺までの往復タクシー代が含まれる。問い合わせ、予約は宿泊予約係(TEL 075-344-4433)で受け付けている》。
※ホテルグランヴィア京都のニュースリリース(PDF形式)
http://www.granvia-kyoto.co.jp/release/pdf/200905262_uploadfile.pdf


同 上

《首都圏を中心とした「癒やし」を求める30~40代の女性》というターゲットが良い。好奇心が旺盛で、おカネを持っている。口コミによる情報発信力もある。修行体験を終えると修了証と法名(戒名)もいただけるという。「戒名だけで○○万円」という話も聞くから、3万円の料金設定には割安感がある。写経だけの体験より、ずっと深い。

ホテルグランヴィア京都では、「『日本茶の味わい教室』宿泊プラン~京老舗 一保堂茶舗で学ぶ~」というプランも販売していて、これも好評だという。
http://karasuma.keizai.biz/headline/356/

尼さんもお茶も、奈良は京都の先輩格である。お茶は、空海が唐から持ち帰った種子を仏隆寺(宇陀市榛原区)で育てたのが、日本でのお茶栽培の始まりとされている。

他にも京都では、京都ブライトンホテルの「竹かご制作プラン」(元禄元年創業の「竹又 中川竹材店」で京都産「白竹」を材料にした「四海波(しかいなみ)かご」を製作するプラン)を始め、1日陶芸教室や豆腐、和菓子、ガラス工芸、箸袋づくりなど、様々な体験プランが用意されている。
http://www.kyoto-okoshiyasu.com/play/PlaySearchList.aspx?ctg=030400

奈良でも、ホテルサンルート奈良がおん祭りの際に行われる「遷幸の儀(せんこうのぎ)」(12月17日の深夜0:00~)に案内してくれるガイドツアーを実施したり、料理旅館・大正楼が「収穫体験プラン」を販売しているが、遷幸の儀は年に1回きりだし、収穫体験は「尼さん体験」ほどのインパクトに乏しい。

手漉き和紙や柿の葉寿司作りは私も体験したことがあるが、坊さん体験、山伏体験、雅楽体験、そうめん作り体験、、栃餅作り体験、奈良晒の箸袋作り体験、遺跡発掘体験など、奈良にはネタが満載だ。これを宿泊と結びつければ、全国最下位の宿泊者数も少しは増えると思うのだが…。
コメント (4)
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柳生花しょうぶ園、まもなく見頃!

2009年06月10日 | 奈良にこだわる
いよいよ奈良も昨日(6/9)から梅雨入りした。梅雨どきの花といえば、花しょうぶだ。奈良新聞(6/5付)に、こんな記事が載っていた。
http://www.nara-np.co.jp/20090605110351.html


写真は、すべて07.6.23撮影

《奈良市の東部、緑豊かな剣豪の里・柳生でも水田に早苗が並ぶ。その一角「柳生花しょうぶ園」(柳生町)ではショウブの花が咲き始めた》。



《1万平方メートルの大花園に465種類80万本が美を競う。「見ごろは15日前後」と平尾晋園長(76)。このころにはアジサイも花開く。7月5日まで。詳しくは、電話0742(94)0858》。



見頃が15日(月)前後ということは、休日ならこの土日(6/13~14)ということになる。
※柳生の花しょうぶ(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/e0dd70130b05d15270a263efd7168577



園長の平尾晋氏へのインタビュー記事が別の日に掲載されていた(「東奔西走」奈良新聞 6/8付)。《剣豪の里で知られる柳生の山間にオープンして今年で21年目を迎えた。「例年、花の時期を待ちわびて来てくださる方も」と話す》。



《アジサイやスイレンもこの時期、あでやか。「真っ赤な花が咲くアジサイが今年は見られそう」とも。周辺に陣屋敷や芳徳禅寺、家老屋敷などもあり、「初夏の柳生をゆっくり散策してください」。園内でお弁当を開くこともでき、のんびりとした1日が過ごせそうだ》。
※柳生のアジサイ(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/01b48a9a327941dfc5513fcb5d7510de



同僚のMくんに拝借したガイド本に、柳生の里を表現するこんな一節があった。出典は吉川英治の『宮本武蔵 水の巻』だ。《柳生谷は、山村と呼ぶには、どこか人智の光があり、家居風俗にも整いがあった》《樹が違う。この柳生四箇(か)の庄の山は、みな樹齢が経っている。これはこの国が、兵火にかかっていない証拠だ。敵の濫伐(らんばつ)をうけていない証(しるし)だ。また、領主や民が、飢えたことのない歴史をも物語っている》。これは鋭い。



花しょうぶ園の周辺には、柳生家ゆかりの史跡が歩いて回れる範囲にあるので、のんびりここで1日お過ごしいただきたいと思う。花しょうぶが盛りを過ぎると、アジサイも見頃となる。お食事は、「アジア食堂RUPA(ルパ)」(2日前までの完全予約制)か「十兵衛食堂」がお薦めだ。
※アジア食堂RUPA(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/8f42a7070502763cbf8f2b8ca0724861
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県地域貢献活動助成事業(09年度)公開プレゼンテーション

2009年06月07日 | 奈良にこだわる
昨日(6/6)奈良県文化会館で、今年度の「奈良県地域貢献活動助成事業」に関する第2次審査(公開プレゼンテーション)が行われた。
※昨年度のプレゼンテーション(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/331e42acce1228571499f4b84e319ae1


開会の挨拶をされる宮谷太氏(県くらし創造部長)。

今年も10:00~16:00過ぎまでの長丁場で、第1次審査を通過した23団体による熱心なプレゼン(外部の有識者等を含む審査委員会による審査)が繰り広げられた。進行順に、その一部を紹介する。
※今回の募集告知(県のホームページ内)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiikikouken.html
※今回応募のあった事業の一覧(PDF形式)
http://www.pref.nara.jp/kenmin/volunteer/tiiki/21presen-dantai.pdf



NPO法人関西青少年自立支援センター(上の写真。吉野町小名)は、不登校やひきこもりの青少年が、共同生活を通じて自立できるよう支援する組織である。プレゼンでは、吉野町の遊休農地で、合鴨農法により無農薬で赤米(吉野の桜米)を作り、これを販売していきたいとアピールした。
http://www.nponola.com/index.html



奈良中国帰国者支援交流会は《県下に在住する中国残留日本人孤児(数十名)の中には日本語の不自由な人、健康を害している人、引きこもりがちの人など、社会との適合性に問題を抱えています。やっと帰ってこれた祖国、長年夢に見た日本で、幸せな余生と個人の問題解決、近隣友好に取り組んでいます》という団体である。会の役員さんは残留孤児の身元引受人となるとともに、日本語教室や各種サークル(交流会)の開催、就学・就労・病院付添などの支援をされており、これには頭が下がる思いである。
http://www.nvn.pref.nara.jp/dantai/detail/index.php?id=633


会場内の様子

このプレゼンで初めて知ったのだが、3/14に行われた「舞(my)1300年祭」で、中国の秧歌(ヤンガー)踊りを披露されたのは、帰国者(残留孤児)の方たちだったのだ(トップ写真)。秧歌踊りは、中国で収穫を祝ったり、お正月などを祝ったりするために踊られているもので、この会に所属する帰国者たちが練習を重ね、本番に臨んだのである。高齢の方が大半であり、ご苦労も多かったことだろう。
※参考:舞(my)1300年祭に行ってきました!(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/35ceea2a212f29002f81e85ddcb7fcc4



午前中に11団体のプレゼンが終わり、午後の部のトップは、ゆう楽(らく)会だった。この会は、陶芸を介した聴覚障害者の仲間作りと健康・文化の向上をめざして06年に設立された。会の名前の「ゆう」とは、「友」人、「悠」悠自適、「釉」薬(やうやく=うわぐすり)の「ゆう」なのだそうだ。作陶指導と陶芸展を開きたいという趣旨だ。



ゆう楽会の次は、国際交流ならふれあいの会。メキシコ祭、国際交流のためのサマーキャンプ、スリランカに井戸を贈るための事業を計画されている。

下の写真はNPO法人日本ワンディッシュエイド協会の樽井雅美さん(生駒市在住)。陶器の食器類を回収し、利用可能なものはリユース市、それ以外のものはリサイクルし、ゴミ(燃やせないゴミ)の減量に取り組んでおられる。
※同協会のホームページ
http://www.onedish.net/



彼女の活動はさまざまなメディアで取り上げられているので、ご存知の方も多いだろう。この仕組みが素晴らしいのは、リユース(そのまま再利用)に回すだけでなく、使えない食器を多治見市(岐阜県)の陶土製造会社にまで運び、粉砕後、粘土に混ぜ、再び陶器に再生するというサイクルを回しているところである。運搬も、カラで走っているトラックの定期便に載せることで、追加的な化石燃料の使用を抑えている。不要な陶器が再利用され、ゴミも減る。この素晴らしい「生駒モデル」を、もっと全国に広めていただきたいものである。
http://news.livedoor.com/article/detail/2522906/
http://kankyoshiminradio.seesaa.net/article/96841578.html



上の写真は、社団法人座(くら=奈良ダルク)。薬物やアルコール依存症に苦しむ依存者の日常生活・社会復帰への相談支援を目的として設立された。今回の助成事業は、依存症治療の先進国であるアメリカから講師を招き、講演会(アディクション・フォーラム)を開くというものである。「依存者の相談に乗り、支援するのは、依存経験者が最も適している」として、施設内に研修室(奈良ダルク研修センター)まで設け、熱心に取り組んでおられる。



上の写真は、平群町茶道愛好会の皆さん。平群幼稚園の園児向けに「こども茶道教室」を開きたいという。茶道は礼儀作法や豊かな感性を養うのに良いとのことで、今後は町内の他の幼稚園、保育園、小中学校にまで対象を広げたいと考えている。「子どもに抹茶を飲ませて大丈夫ですか?」との質問には、「子ども用に薄め、飲む量も少なくしているから安心です」とのこと。



信貴山盆踊実行委員会からは、信貴山での蛍鑑賞会、燈火会(なら燈花会のような夜のイベント)、盆踊り大会を行いたいというプレゼンがあった。信貴山といえばトラ(聖徳太子は信貴山で、寅の年、寅の日、寅の刻に毘沙門天王を感得したという故事がある)。来年の寅年に向けて、ムードが盛り上がっているようだ。




ティフトン芝

NPO法人グリーンスポーツ奈良は、小学校運動場の芝生化に適したティフトン芝を育て、その芝苗を低価格で提供したいという。小学校グラウンドの芝生化は、「子どもたちの運動機会が増え、体力・運動能力が向上する」「目にも心にも良い効果がある」「土埃を防止し、地球温暖化も抑えることができる」というメリットがあるそうだ。ティフトン芝は従来の高麗芝より丈夫で、繁殖力も強いという。



NPO法人共生学舎は、田原(奈良市)などの風致地区の保全・整備と、その土地での野菜栽培と無料配布(低所得者向け)を行いたいという。現在は篤志家からの資金援助に頼っているが、県からの助成金でNPOの運営を安定させたいとの趣旨だ。



この日最後のプレゼンは、NPO法人スポーツ健康援護協会。健康体力作りや競技力向上のための講演会と実技指導を行いたいという。これまで県陸上選手権、高校総体(陸上)、北京オリンピック(女子ホッケー)をはじめ、南都銀行女子ホッケー部の公式戦などに同行し、コンディショニングなどを指導されているそうだ。

締めくくりは審査委員長・村田武一郎氏(奈良県立大学教授)の講評。6時間の長丁場でお疲れだったろうが、全体をうまく総括して講評されていて、これはもう名人芸だ。



私の印象としては、プレゼンテーションの巧拙はあったものの、中身の濃い事業が多く、これを審査会で決める(助成金700万円の範囲に収まるよう対象先を絞り込む)のは大変な作業だろう。「面白いが、社会的な意義は軽い」ものもあれば、「社会的な意義は重いが、机上論で終わらないか」というものもある。

この日を迎えるまで、担当課(県くらし創造部協働推進課)は説明会を奈良と橿原で計3回開催し、事業企画書の作成からプレゼンの方法まできめ細かく指導されたそうだ。収支計画表に記載する標準金額(積算の目安)も、「インターネット初期導入費用3万円」「両面カラーのリーフレットA4版2つ折り200部で9万円」「講師料(一般)2万円」「講師料(大学教授)3万円」「コピー用紙A4版1箱(5千枚)で3千円」というように細かく決めて示されたそうだ。

それだけに、プレゼンテーションされた団体も真剣勝負だったに違いない。最終的な助成先の決定・発表は今月の17日だそうだが、どの団体が選ばれ、これからどんな事業が県下で展開されるか、今から楽しみにしている。
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「宿泊施設経営者セミナー」が開催されます!

2009年06月06日 | 奈良にこだわる
今回は「宿泊施設経営者セミナー」のご案内である。奈良新聞(6/3付)によると《財団法人・県ビジターズビューローは7月2、9、16日の3日間、橿原市大久保町の県社会福祉総合センターで、県内の宿泊事業関係者を対象とした「宿泊施設経営者セミナー」を初めて開催する》。

《観光業の専門家らが、旅行業界の動向や接客、経営に関する内容を15のテーマごとに講演、講義を行う。料金は3日間で1人3万2500円(全日程の参加が原則)。先着40人限定。参加条件は、宿泊施設経営者や経営幹部であること。時間は各日午前9時半―午後5時ごろまで》。

詳しい情報が、奈良県ビジターズビューロー(=奈良県観光連盟と奈良コンベンションビューローが統合して誕生)のサイトに載っている。趣旨は《観光宿泊客の着実な増加と観光宿泊事業の安定的発展を図るために、奈良県内宿泊施設経営者の方に「最新の事業経営に関する情報のご提供」と「新たな意欲を醸成していただく機会を設ける」ことを目的とし、セミナーを実施いたします》。
http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/topics/hakuseminar/#1

《「事業経営」「食事商品力」「接客技術」「施設商品認識」の改善改革により事業の活性化、健全な発展、ひいては奈良県の観光経済活性化に寄与することを目指した多彩な講師陣によるセミナーを開催します》。

《来るべき時代に参加各社の施設が如何に対応すべきか、その戦略、或いは実際の接客技術の向上に関わる知識・ヒントを得ていただく為に、広く業界の第一線で活躍中の方を講師にお招きし、ご講演いただきます》。内容としては、

■基調講演
○「奈良の宿泊ブランド化に向けて」
 財団法人日本交通公社 研究主幹 大野 正人 氏
○「10年後の旅館業界の姿」
 (株)リーコ 代表取締役 佐藤 陸雄 氏
○「観光庁の業務指針と計画」
 近畿運輸局企画観光部 観光地域振興課長 村上 滋俊 氏
■接遇講座
○「古都のポスピタリティー・観光宿泊で求められるおもてなし」
 経営者が身に付ける接客基本トレーニング」
 (株)リサージュ 代表 渡壁 ほづみ 氏
○「奈良の都の食文化と料理旅館」
 (社)国際観光日本レストラン協会 副会長・奈良支部長 尾川 欣司 氏
○「新しい旅館設計の潮流」
 (株)石井建築設計事務所 代表 増澤 信一郎 氏
○「ホスピタリティとバリアフリーの考え方」
 日本ケアフィットサービス協会 理事 石井 しおり 氏
○「奈良の都・伝統と四季の香り」
 (株)エコール 代表取締役 丸山 洋子 氏
■経営講座
○「Web市場における観光地の販売促進戦略」
 株式会社リクルート旅行カンパニー「じゃらんnet」編集長 出木場 久征 氏
○「旅行会社のこれからの戦略」
 (株)JTB 旅行マーケティング戦略部地域交流ビジネス推進室 マネージャー 荻野 隆治 氏
○「注目は『インバウンド客』
 近畿日本ツーリスト(株)旅行事業創発本部 部長 山崎 佳彦 氏
○「旅館の経営管理とサバイバル」
 (株)JTB商事 企画設計室長 竹原 和利 氏
○「観光宿泊事業に対する政府系金融機関の動向と見通し」
 (株)日本政策投資銀行関西支店 企画調査課長 深井 勝美 氏
※案内パンフレット(PDF形式)
http://yamatoji.nara-kankou.or.jp/topics/hakuseminar/image/seminar.pdf

基調講演といい講座といい「産・官・金」「硬・軟」とり混ぜた素晴らしい顔ぶれが揃っている。リアル(従来の旅行社)もあればバーチャル(ネット上の旅行社)もある。これで3日間・32500円(1日当たり16250円)とは、格安だ(3日間通しの参加が原則)。私も仕事との折り合いがつけば、ぜひ参加して勉強したいところだ(ついでにブログ「観光地奈良の勝ち残り戦略」用の取材も)。

奈良観光の課題とは、つまるところ「観光宿泊客が少ない」ということに尽きる。このセミナーでシッカリ学んで、滞在型の観光客を誘致するノウハウを身につけていただきたいと思う。

※トップ写真は奈良公園・荒池の畔(5/21撮影)。
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奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。

2009年06月05日 | ブック・レビュー
奈良晒(ならざらし)をご存知だろうか。奈良検定のテキスト(網干善教監修『奈良まほろばソムリエ検定公式テキストブック』山と渓谷社刊)では、「伝統工芸」のところに登場する。

《麻の織物で肌触りがよく、汗もはじくので、鎌倉以来、神官や僧尼の衣に好まれてきた。江戸時代初め、清須美源四郎(きよすみげんしろう)が晒法を改良、徳川家康に誉められ、幕府の保護を受けて販路も拡大した》云々とある。17世紀後半の半世紀余りが最盛期で、「南都(=奈良)随一の産業」と呼ばれた。なお清須美家の庭園は、今も依水園(いすいえん)として整備・公開されている。

数年前、会社の講演会にテレビでおなじみの政治評論家をお呼びした。講演後の手みやげに、紙で包装した奈良晒のテーブルクロス(中川政七商店製)を「これは、伝統工芸品の奈良晒です」と言ってお渡しすると「あっ、ちょうどいいや。僕、胃下垂なんですよ」と鞄に放り込んでそそくさとお帰りになった。まさか、古代文様を染め抜いた上品なテーブルクロスは、彼の下腹には巻かれなかったと思うが…。
http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-1386.htm

地元で奈良晒というと、この伝統的麻織物のことだが、一般に晒(さらし)というと《白くて長い布(幅34センチ、長さ2~10メートル)で、主に腹に巻いて使用する。素材は木綿を指すのが一般的で、麻もある。江戸時代ごろによく下着として使われた》(Wikipedia)という理解なのだ。


以下、写真は表参道ヒルズ(粋更)で、2/28撮影。

前置きが長くなったが、タイトルの『奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。』は、書名である(日経BP社刊)。著者は、奈良晒を作って300年の老舗、株式会社中川政七商店社長の中川淳氏だ。
http://www.yu-nakagawa.co.jp/





版元の紹介文には《300年近い歴史をもつ奈良の麻織物メーカーが、なぜ自ら「粋更」というブランドを興し、小売業態に挑んだのか?デザインの力で老舗をブランド化するプロセスを語る》とあり、本の帯には星野佳路氏(星野リゾート社長)が《ニッポンの老舗、創業300年の歴史から、企業の持続性の条件を学ぶことができる》という推薦文を寄せている。




自然派コスメ「きさら」。経産省の地域資源活用事業に認定された

奈良の人事コンサルタント・ZOFFYさんは、ブログで同書をこのように紹介されている。《中川淳氏は、2年間大企業で勤めた後、創業300年の老舗中川政七商店の13代目社長に就任。業務のIT化、人事制度の刷新、直営店の拡充などを進めつつ、先代社長が築き上げたブランド“遊中川”に加え、新たに“粋更(きさら)”ブランドを確立し、東京表参道ヒルズに出店。成功を収めている》。
http://blog.goo.ne.jp/hk1006/e/a0c8ad20505732273e4d9580c48fc750

《そんな中川氏の経営の根幹、それが“ブランディング経営”である。本書は、中川政七商店という老舗中小メーカーがブランドを確立していくまでの実録であり、かつ、“企業の持続性の条件とは何なのか”を学ぶことができる経営指南書とも言える。企業の大小に関わらず、経営の見直しや会社のブランディングを検討されている経営者、経営幹部の皆さんにお薦めしたい内容だ。それに、わが町奈良にもこんなに頑張っている企業があるのだということをもっと多くの皆さんにも知っていただきたい》。



新聞評も好意的である。《商品が百貨店のワゴンで安売りされているのを見て「悲しくなった」。奈良晒の魅力を自分たちで伝えようと、直営店に挑戦。自社ブランド「粋更(きさら)」を設立した》(読売新聞夕刊[ひと人抄]08.12.6付)。

《本の中では、出店までの挫折もつづった。03年に立ち上げた新ブランド「粋更(きさら)」は、当初全く売れず、新商品を開発し500万円をつぎ込んで参加した展示会も不発。その後、表参道ヒルズへの出展が決まったものの、高い家賃を支払って採算が成り立つか強い不安があったという》(朝日新聞奈良版「13代目が成功のカギ紹介」08.11.22付)。



中川氏は何も、突拍子もないアイデアを思いつかれたとか、新しいビジネスモデルを構築されたというわけではない。法学部のご出身で、ビジネススクールに通われたわけでもない。基本的なビジネス書を読んで勉強し、それを果敢に実践されたのである。

奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。
中川 淳
日経BP出版センター

アイテムの詳細を見る(「なか見!検索」ができる)

同書の「はじめに」には《経営に関して素人の私が曲がりなりにもここまで会社を潰さずにやってくることができたのは、既存の概念や業界の常識にとらわれることなく自分の頭で考え抜いてきたからであり、ビジネス書を通じていろいろな人から学んできたからだと思う。本を読んでいるとやらなければならないことが山のように思い浮かぶため、常にメモを取り、次の日には会社で実践するということを繰り返した。しかし、ビジネス書を読むだけでは何も変わらない。ビジネス書を読んできっかけを見つけて、それを実行して初めて何かが変わる》とある。



こんな話も出てくる。《私は銀行主催の若手の会とか、そういった会合や団体に一切加入していない。奈良にいる時間が限られているということが表向きの理由ではあるが、本当はそういう会が嫌だから入らないのだ。嫌な理由は多い。・まずお酒を飲まない。・人見知りである。・一緒に御飯を食べるなら男性より女性の方がよい》(同書「中小企業の社長はいつもぼやいている」)。


奈良のたからもの展(5/13 阪急百貨店)

この本の出版と同時期(08年10月)に、中川政七商店の「花ふきん」は08年度グッドデザイン賞・金賞を受賞した。「遊 中川」と「粋更kisara」の2つのブランドを持ち、今や20もの販売店を出店されている。先日(5/11~19)、梅田の阪急百貨店で開催された「奈良のたからもの展」では、一番良い場所に同社の商品が並んでいた(トップおよびすぐ上の写真・5/13撮影)。
※中川淳氏のブログ(時々は社員さんも書いているが)
http://trillinmj.exblog.jp/

本書の「あとがき」に中川氏はこう記している。《私がこの本を通じて多くの人に知ってもらいたかったのは、経営やもの作りにカンする知識も経験もない、私のような人でも、自ら勉強して、きちんと考え、しかるべき手順で取り組んでいけば、道は必ず開けるということです》。

氏のビジョンは「日本の伝統工芸に携わるメーカーと小売店を元気にしたい」だ。奈良の伝統工芸も伝統産業も、相変わらず沈滞ムードが続いているが、中川氏を1つのモデルとして、どんどん後に続いていただきたい。そのためにも、ぜひ本書をご一読いただきたいと思う。
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