tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ものがよく見える秋/喜多弘樹さんの「明風清音」

2022年09月27日 | 日々是雑感
吉野郡ご出身の歌人・喜多弘樹さんは、奇数月の第4木曜日、奈良新聞の「明風清音」欄に寄稿されている。先週(2022.9.22)お書きになったのは、「ものがよく見える秋」だった。全文は末尾の画像をお読みいただきたい。冒頭の一文は「秋は、ものがよく見える季節だ」。
※写真は明日香村で撮影(9/25)。ツマグロヒョウモン(褄黒豹紋)とフジバカマ(藤袴)か

私は「春霞や黄砂の季節と違い、秋は空も澄み、確かによく見えるなぁ」と油断して読んでいくと、「ものに宿っているさまざまな命のかすかな息づかいを感受することではないだろうか」「虚心という言葉があるが、ものに向き合う真摯(しんし)な姿勢は、そこから始まる」。



途中に小林秀雄の「徒然草」からの引用をはさみ、「名品とされる仏像、壺や茶碗、はては路傍の石ころであっても、慧眼(けいがん)の士に対しては、相手の方から何かを語りかけてくるにちがいない」「ものが語りかけてこないならば、こちらの方からものに対峙して、相手に語りかけてみることだ」「今年の秋は、すべての物音に耳を澄ませて、沈黙し、天地(あめつち)の中でおぼろになっていく己の姿、いや己の姿の影を、つつましく見続けることにしよう」。

相変わらず世間は騒々しい。しかも今日は安倍元首相の国葬の日である。騒々しい世間の声の中に身を置いていると、いつの間にか流されて自分を見失っていることに気づく。68歳の秋は、自分の姿の影をつつましく見続けることにしたい。喜多さん、良い「気づき」をいただきました、ありがとうございました!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 川上村で「秋の芸術祭」(講... | トップ | 第4回グルメサークル(奈良... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日々是雑感」カテゴリの最新記事