tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

外国からのお客さまが戻ってきた時に、澤の屋がないといけないから ( by 山崎まゆみ)

2020年05月06日 | 観光にまつわるエトセトラ
勤務先で「週刊観光経済新聞」という業界紙を購読している。さすがにコロナ騒動の今は明るいニュースは少ないが、温泉エッセイスト・山崎まゆみさんが、連載記事《山崎まゆみの「ちょっと よろしいですか」》の第40回(2020.4.25付)に、「外国からのお客さまが戻ってきた時に、澤の屋がないといけないから」という話を書いておられた。
※トップ画像は澤の屋さんのHP(英語版)から拝借

外国人観光客受け入れのパイオニアとして知られる旅館「澤の屋」(東京都台東区谷中2-3-11)は、昨年(2019年)6月、創業70周年を迎えた、おめでとうございます!しかし本年3月の宿泊客数は昨年同月の33%、4月はとうとうゼロになったという。このゴールデンウィーク期間中(5月1日~6日)は、自主休館されている。

しかしご主人の澤さんは「海外からのお得意さんが帰って来た時に、ちゃんと澤の屋で迎えたいと思って、踏ん張っています。うちのような小さな宿でも外国人を迎え入れられることを示そうと、ずっと先頭を走ってきましたから、なんとしても生き残りたいです」。そのため、貸し切り風呂をはじめたり、テレワーク用に部屋貸しをされたりと、創意工夫で生き残りに努めておられる。以下、記事全文を紹介する。

今回は、日本のインバウンドをけん引してきたレジェンドの話をつづります。その方とは、東京谷中にある澤の屋旅館の館主・澤功さん。VISITJAPAN大使の1人でもあります。澤の屋さんは拙宅(せったく)から徒歩圏内にありますので、4月15日にテレワークをしてきました。

訪ねると、フロントにマスク姿の澤さんがおられて、開口一番「お客さんがゼロになってしまいました」と、寂しそうなお顔。3月は前年度比33%、4月はとうとうゼロだそうです。「東京オリンピック・パラリンピックに向けて予約されていたお客さまで、9月まではまだキャンセルが入っていないんです」と予約帳を見せてくれました。

「海外からのお得意さんが帰って来た時に、ちゃんと澤の屋で迎えたいと思って、踏ん張っています。うちのような小さな宿でも外国人を迎え入れられることを示そうと、ずっと先頭を走ってきましたから、なんとしても生き残りたいです」とおっしゃいます。

そのための策として、澤の屋さんは4月3日から貸し切り風呂を1組45分大人500円、子ども300円(税込み)で貸し出すことにしました。大々的に宣伝しているわけではありませんが、澤の屋さんのSNSで告知をすると、1日7組ほどのお客さんが来るようになったそうです。

お風呂に来たお客さんから、「部屋が空いているなら、テレワーク用に部屋貸しをしたら」とアドバイスをもらい、4月9日から部屋貸しも始めました。午前9時から夜7時まで、1部屋利用できて1人3300円(税込み)。館内はフリーWi―Fi完備。テーブルと椅子があり、コーヒーと茶が無料で飲めるロビーも使用できます。加えて、貸し切り風呂にも入れます。部屋貸しは、まだ周知されていないのか、予約の足は鈍いですが、貸し切り風呂は地域の人が来てくれているそう。

「3回目というお客さんもいます。入浴を始めて、すぐに森まゆみさんが来て下さって、広げてくれました」作家の森まゆみさんは伝説の雑誌「谷根千」を立ち上げ、東京の谷根千の知名度を上げた方。確かに森さんのツイッターで拡散されていました。

澤の屋さんは夕食を出していません。お客さんには、地域の地図を渡し、外に食べに行ってもらう。地域と共に外国人を迎えてきたという積み重ねがあります。「澤さんとこが困っているようだから、行ってあげようって、地域の人が来てくれるんです。今、また地域に助けられています」。澤さんは「これを見て頑張っているんです」と持ってきてくれたのは、東日本大震災の時に、常連さんが送ってくれた励ましのメール100通分が印刷された束でした。

最後に、澤の屋旅館さんでのテレワーク体験を記します。家にこもることに飽きてきた。もちろん旅や取材で出歩いてしまうと、人さまに迷惑がかかるという自制心はある。その狭間でもがいていた私の気持ちを潤してくれたのが澤の屋さんのテレワークでした。澤の屋さんを訪ねる前夜は、久しぶりに心弾ませながら荷造りしました。

仕事をする環境が整った宿で4畳半の部屋を1人で使える気楽さ。最初に料金を払えば、あとは人に会うこともない。庭が見えるお風呂に入る極上時間。これにより集中力が高まり、充足感を得ました。刻々と状況の変化はありますが、4月15日の時点で私が感じたことです。

今回のテレワークの定着で、働き方に変化がありそうです。環境省が温泉地にワーケーションの推進をしています。自然環境豊かな場所で、家族も楽しめながら、その脇で仕事をしていられる。今後、そんなニーズが高まりそうです。(温泉エッセイスト)



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2 コメント

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生き残るには・・ (金田充史)
2020-05-06 20:07:47
ご無沙汰してます。なかなか面白い記事ですねぇ。在宅ワークは、今、ウチの子供もやっています。会社へ出られないので、自分の部屋・・、の筈なんですが、これがなんと、私の所の、ゲストハウスの談話室な訳です。Wi-Fiは飛んでいるから、つなぎ放題だし、また、今の時代のズーム会議もやっとります。本人的には、自分の部屋なら集中できない・・って事だそうです。

奈良県内では、この在宅ワークをビジネスに出来るだけのポテンシャルは、まだまだありません。また、個室ならともかく、ゲストハウスと云う形態では、複数のお客様を、同一の部屋に泊めてしまいますから、これは、絶対にアカン事です。その為に、開ける事が、ままなりません。

ただ、この澤の屋さん、生き残りに躍起な訳ですが、閉めようと考えられていた時の事を思えば、多分ですが、今回も出来るって考えられたんでしょう。常時、お使いのお客様は、他の施設には行きません。同様に、奈良のゲストハウスでも、他の所を気に入って居られる方は、私共へは来られないし、逆もまた然りです。これは、旅館でも同じで、昔、魚佐旅館へ来られていた学校の、ほとんど全て、今、来られている感は有りません。

それを考えたら、宿泊業が一軒無くなる事が、ひいては、奈良県に取って、どれだけマイナスになるのか・・、これ、宿泊施設の方々も、意外と気づいていないのではないでしょうかねぇ。

澤さんは、こういう言い方をされていますが、気づいて居られるのかも知れませんよ。


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潰してはいけない (tetsuda)
2020-05-07 10:56:43
お久しぶりです金田さん、コメントありがとうございました。

> 在宅ワークは、今、ウチの子供もやっています。会社へ出られないので、自分の
> 部屋…、の筈なんですが、これがなんと、私の所の、ゲストハウスの談話室な訳です。

なるほど、そんな使い方がありましたか。

> 常時、お使いのお客様は、他の施設には行きません。同様に、奈良のゲストハウス
> でも、他の所を気に入って居られる方は、私共へは来られないし、逆もまた然りです。

やはり、リピートされるのですか。旅の大きな楽しみの1つは宿ですから、1つの宿が気に入れば、リスクを冒してまで他の宿を探すことはないのですね。

> 宿泊業が一軒無くなる事が、ひいては、奈良県に取って、どれだけマイナスになる
> のか…、これ、宿泊施設の方々も、意外と気づいていないのではないでしょうかねぇ。

気づいていないでしょうね。澤さんはおそらく「澤の家がなくなれば、谷中の町自体が衰退してしまう」という危機感をお持ちなのだと思います。

だから地域の人は「澤さんとこが困っているようだから、行ってあげよう」と言って来てくれるのでしょう。コロナ禍で1軒の旅館もホテルも、潰してはいけませんね。
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