tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

地域づくり支援機構シンポジウム

2008年11月27日 | 奈良にこだわる
地域づくり支援機構(NAED:ナード)という団体がある。代表者(理事長)は、奈良県立大学教授の村田武一郎氏だ。HPによれば《豊富な知識・ノウハウ・人的ネットワークをもつ「盛年」層が中心となり、奈良県各地域における地域づくりを支援する団体です》。
http://naed.web.fc2.com/

《全国各地域において、地域活力の低下が顕著であり、特に、奈良の各地域は、長期低迷状況にあります》《各地域においては、その実践を指導・支援する人材が不足しています。このため、豊富な知識・ノウハウ・人的ネットワークをもつ「盛年」層を中心に、各地域の地域づくりを支援する体制を整えていくこととします。このことは、「盛年」層の地域貢献・社会再参画を支援することにもつながります》とある。

11/15(土)、NAEDが主催する「地域づくり支援機構シンポジウム」が奈良2010年塾(旧むれしか荘・奈良市法蓮佐保山)で開かれた。テーマは「奈良の地域づくり―地域プランナー・コーディネータの役割」だ。
http://naed.web.fc2.com/synpo1.pdf



募集のチラシによれば《地域プランナーや地域コーディネータが全国的に不足しており、各地域において、このような地域づくり支援人材が求められています。このシンポジウムでは、地域づくりの現場における地域プランナー・コーディネータの役割に焦点をあてて議論します。地域の将来を拓くことに興味をお持ちの方は、ぜひ、ご参加ください》とある。当日のプログラムは、

Ⅰ.問題提起:地域の時代を拓く「ひと」の役割
  -地域プランナー・コーディネータ論 村田 武一郎 奈良県立大学教授

Ⅱ.事例研究
1:山添むらづくり協議会-農村民泊と交流のむらづくり
 プレゼンテータ 奥谷 和夫 山添むらづくり協議会会長
 コメンテータ 林 信夫 平城遷都1300年記念事業協会広域連携プロデューサー
2:高取土佐街-町家のひなめぐり
 プレゼンテータ 野村 幸治 高取土佐街なみ天の川計画実行委員会代表
 コメンテータ 村田 武一郎 奈良県立大学教授
3:奈良県東部地域における工房街道づくり
 プレゼンテータ 大森 淳平 奈良のむらづくり協議会研究員
 コメンテータ 林 信夫 平城遷都1300年記念事業協会広域連携プロデューサー

Ⅲ.総合討論:奈良の地域づくり-地域プランナー・コーディネータの役割
 パネリスト 奥谷 和夫 山添むらづくり協議会会長
 野村 幸治 高取土佐街なみ天の川計画実行委員会代表
 大森 淳平 奈良のむらづくり協議会研究員
 林 信夫 平城遷都1300年記念事業協会広域連携プロデューサー
 コーディネータ 村田 武一郎 奈良県立大学教授

Ⅳ.地域プランナー・コーディネータ交流会

という盛りだくさんなものだった。途中には「地域プランナー・コーディネータ認定証授与式」も行われ、11人が認証を受けていた。印象に残った話をピックアップすると、


地域プランナー・コーディネータ認定証授与式

・村田氏 奈良は同じ映画ばかりを上映する映画館のようなもの。だからピーク時4100万人の来県客が3500万人にまで落ちた。地域づくりに大切なのは「走り出すバカ」「プランナー」「コーディネーター」の3者。野村幸治さんは、それを1人でやっておられる。
※奈良のむらづくり協議会の公式ホームページ
http://www.naranomura.jp/


村田 武一郎氏
(奈良県立大学教授、奈良のむらづくり協議会代表幹事)

・奥谷氏 山添村には何もないと思っていたが、村内には史跡も多いし、観光客を泊められる立派な家が多い(100人分の食器が揃っている)。マスコミなどで紹介されると、村民の意識が変わった。
※山添むらづくり協議会のホームページ
http://www1.kcn.ne.jp/~k-okutan/mrazukuri.html


奥谷 和夫氏(山添むらづくり協議会会長)

・野村氏 愛読書は司馬遼太郎。特に『坂の上の雲』は9回読み返した。地域づくり活動もビジネスと同じで、目的を定め、現状分析し、戦略・戦術を立てて実行する(リーダーにはビジネス感覚が必要)。正確なデータの把握(来訪者数、天候・気温など)も大切だ。観光客が来ることで、町のお年寄りが活気づいた。
※高取町観光ボランティアガイドの会のホームページ
http://www.takatori-guide.net/


野村 幸治氏(高取土佐街なみ天の川計画実行委員会代表、
高取町観光ボランティアガイドの会事務局長)

・大森氏 奈良の神秘性、自然環境に着目し、県下各地の工房をつなぐ活動をしている。調整は大変だが(事務局の負荷は高い)。工房を構える人には定住を勧めている。木材でも、素材に負荷価値をつければ5倍で売れる。奈良は素材をそのまま売るから儲からない。


大森 淳平氏
(奈良のむらづくり協議会研究員、有限会社OM環境計画研究所所長)

タイミング良く大森氏へのインタビュー記事が、奈良日日新聞「人・ひと」欄(11/27付)に掲載されていた。奈良のむらづくり協議会の《事務局を支える大森さんは、大阪大学で都市計画を学び、コンサルティング会社に就職。開発ばかり手掛けるのが嫌になり、資源を見直して町おこしをしていきたいと独立。「都市計画の下、道路は造られるが、そこに住民の意思がないことに疑問を感じた。今あるものを活用しながら、地域づくりのコンサルを目指したい」と、コーディネートや調査などを行っている。地域同士をつなぎ、大仏や神社仏閣だけの看板観光ではなく、体験型の新しい観光プランの戦略に余念がない》とある。

なお大森氏のOM環境計画研究所が発行する村田武一郎編著『地域の時代を創る―地域発展と「ひと」の役割―』(1429円)は、とても参考になる(HPから直接申し込む)。

・林氏 漫才作家の秋田実氏は、テレビ放送の際におカネ(著作権の使用料)を取らなかった。それは美談ではあるが、後に続く者たちが大変苦労した。ロマンとソロバンの両方が必要だ。


交流会で挨拶される林 信夫氏
(平城遷都1300年記念事業協会広域連携プロデューサー)

交流会では、当日の発表者たちに直接質問もでき、とても有意義なものだった。

奈良県下各地では、規模は小さいが、さまざまな地域づくり運動が起こっている。なかにはノウハウが不足していて、1回限りで立ち消えになるイベントもある。

NAEDで認定された地域プランナー・地域コーディネータや、奈良2010年塾の卒塾生たちがこれらをサポートして磨き上げ、キラリと輝く「0.1カラットのダイヤモンド」に仕立て上げていただくことを期待している。

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