tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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大和の地名(6)田原本(たわんだ場所=低湿地)

2023年01月23日 | 奈良にこだわる
15年前、当ブログで「大和の地名」のタイトルで5回、県下の地名の由来などを紹介してきた。今回はそのリバイバル版である。
※トップ写真は、唐古・鍵遺跡史跡公園(奈良県磯城郡田原本町唐古50-2)

土曜日(2023.1.21)、民放のニュースで「奈良県田原本町の無職〇〇〇〇を再逮捕しました」と報じていた。そのときアナウンサーは「田原本町(たわら・ほんまち)」と読んでいたので、「ああ、これは訂正が出るな」と思っていたら案の定、すぐに「失礼いたしました。正しくは、田原本町(たわら・もとちょう)です」。

正しく「たわらもと・ちょう」ではなく「たわら・もとちょう」と区切るところが気になったが、まあ訂正が入っただけでも良しとしよう。しかし、ふと「田原本」という地名は珍しいな、どんな意味があるのだろう、と興味を覚えた。

手元の『奈良の地名由来辞典』池田末則編(東京堂出版)には、〈低湿地を意味する地形語か。奈良市東山中の田原(旧村名)、生駒市西方の俵口(たわらぐち 旧大字)と同様の形状語。田原本は『大和志』には「旧名坂田」とみえ、田原坂の地名があるように、地形のさがった所〉。

『奈良県日本地名大辞典』(角川書店)には、〈俵本とも書いた。大和川上流域および同川支流寺川・飛鳥川・曽我川の流域に位置する。地名の由来について、多米連(ためのむらじ)の居住地であったので「ためらもと」と称したとの伝承もあるが、低地をあらわす「タワ」と場所を意味する「モト」が合わさった地名とする説もある〉。

またネット情報では〈「た(接頭語)」+「はら(原)」+「もと(手前)」で、「原の手前」という地名か。「たわ(たわんだ地形)」+「ら(接尾語)」+「もと(側)」で、「低くなった所の側」とも考えられる。【市町村名語源辞典 溝手理太郎 東京堂出版】〉という説も紹介されている。

西南戦争の「田原坂(たばるざか)の戦い」で知られる田原坂(熊本市植木町)の由来は、タワ(撓)・ラ(接尾語)・坂の転で、丘陵が撓んだようになっている坂を示す、という説があるので、「田原本」も、撓んだ(下がった)もと(側・手前)というところに落ち着きそうだ。

なお田原本を「たーらもと」と発音する県民が多いが、正確に「たわらもと」と発音していただきたいものだ。

※ご参考:過去の「大和の地名」シリーズ
第1回 登美ヶ丘、富雄、鳥見 https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f3054acc2b3d28c146e44548cedad713
第2回 磯城 https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/550ab358d18257d2dc2d23b25f8e4c93
第3回 喜佐谷 https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/f249e18a754d41b94e36eca4eb6455a5
第4回 多と小 https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/b3f7a1b1698257ca6cead001de0b4f2d
第5回 御所、巨勢、古瀬 https://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/3f4e74166638d9e2493d1f425111f1aa/?st=1
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