水徒然2

主に、水に関する記事・感想を紹介します。
水が流れるままに自然科学的な眼で解析・コメントして交流できたらと思います。

昨今のウナギの異常な高騰はシラスの年間漁獲量の激減という。完全養殖の早期開発に期待。

2013-08-28 | 生物多様性・生態系異変関連

'13-08-13投稿、08-28追加

PS:08-28

msn産経ニュース

 シラスウナギ量産化へ2・5億円計上 水産庁、26年度算要求

2013.8.28 01:32

  「水産庁は27日、平成26年度予算の概算要求で、ウナギの稚魚「シラスウナギ」の量産化に向け、システムの実証研究費として2億5千万円を計上する方針を決めた。日本では22年にシラスウナギの完全養殖に成功しているが、同庁は商業ベースに乗せるには国の後押しが必要だと判断した。

 同庁によると、シラスウナギの国内捕獲量は、15年の24・4トンから25年は5・2トンに激減している。シラスウナギは水質に敏感なため、養殖にあたっては、水槽に残った餌を短時間で入れ替える技術や餌の開発が課題となっている」という。

⇒水質を改良して庶民の手に届くような価格になる日が来ることを祈ります。個人的には、下記の引例図に見られるように、南シナ海、東シナ海経由で回遊するシラスウナギの国内捕獲量の激減の原因究明も期待しています。

(08-13投稿)

 既報今までの生物多様性に係る投稿の整理('12-01-28更新)(2012-01-28)で引用記載しました
環境goo 生物多様性特集によれば、
~地球から生きものがいなくなる日~
「生物多様性に関する取り組み」によれば
「・・・生活環境の悪化により絶滅に追い込まれたトキ。
 生物があらゆるところで生物同士でつながっており、
生きるための環境が成り立ってからこそ、生きてこられる・
・・
  私たち人間にとっても普段食べている肉や魚が食べられない時代が
数十年後、数百年後には訪れてこないとも限らない。
 つい一昔前には見られていたゲンジボタルやメダカは
絶滅危惧に分類されていることからも想像できるだろう。・・・

 人為的に行ってきた行動がこの生態系ネットワークを乱してきたのだ。
 もちろん人為的に行った影響だけではなく、
地球温暖化による生態系への影響も当然のことながらあることは事実だ。・・・
地球から生きものがいなくなる日」が本当に訪れてしまうかもしれない。」という。

  
土用の丑に限らず、ウナギをたらふく食べて、活力を養い、猛暑を乗り越えてきた半世紀前を懐かしむ今日この頃です。

 ここ数年来続く「シラスウナギ」の不漁によって、ウナギの値段が上がる一方で、とうとう庶民には手が届かない高値の花となりました。完全養殖を期待していますが、まだ、その成果は得られていない?ようです。

 
地球温暖化による海水温の上昇が海の生態系に異変を生じさせているとは思われますが、現状はなす術もありません。

 この傾向は昨今の猛暑、ゲリラ豪雷雨と同様、だんだん増幅していますが、一言では地球温暖化の影響で整理されていますが、ウナギの天然の稚魚であるシラスの減少は一昨年よりさらに酷くなっているようです。そのうちに、絶滅してしまうのか?とも杞憂しています。

関連投稿:生物多様性に係る記載(その5:2万900種が絶滅危機にあるという。原因は)

 ちなみに、今年の不漁の状況については、

NAVERまとめ
【この夏のうなぎも高い?】うなぎ稚魚、今年も不漁

http://matome.naver.jp/odai/2136031674807537001

「ウナギの養殖に使う稚魚が今年も不漁で、取引価格がシーズン当初の2倍強の1キロ200万円以上となっている。2月上旬時点で養殖池に入ったシラスの量は昨年同時期の半分程度。

日本で養殖ウナギの出荷量が最も多い鹿児島県によると...
この時期としては1971年以来、最低という。出荷量2位の愛知県も昨年12月の漁獲量の報告は「ゼロ」

出典ウナギ稚魚、今季も不漁 昨年同期大幅に下回る 4年連続に危機感 - MSN産経ニュース

 水産関係者によると、日本全国で1月後半までに養殖池に入れられたシラスウナギの量は台湾からの輸入を含めても、史上最低とされた昨年同時期の半分にも満たない

出典ウナギ稚魚 今季も不漁 昨年同期大幅に下回る 輸入1キロ200万円 — スポニチ Sponichi Annex 社会http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/02/07/kiji/K20130207005143670.html

個体数が減少し、絶滅危惧種に指定されたニホンウナギの稚魚のシラスウナギは、昨年12月から始まった今季の漁でも各地で不漁が深刻で、「3年連続で極度の不漁」と言われた昨年の同時期の漁獲量を大幅に下回っていることが関係者の話などで7日、分かった。

・・・出荷量2位の愛知県も昨年12月の漁獲量の報告は「ゼロ」。県水産課は「この時期にゼロだったことは過去にもあるが、不漁は深刻だ」と話す。

 3位の宮崎県の関係者も「昨年12月初めからこれまでに捕れたのは60キロ程度で、不漁だった昨年の半分程度だ」と嘆く。

 千葉、三重、高知、徳島各県でも不漁が続いている。水産関係者によると、日本全国で1月後半までに養殖池に入れられたシラスウナギの量は台湾からの輸入を含めても、史上最低とされた昨年同時期の半分にも満たない。3、4月までの漁期の漁獲量によっては、養殖ウナギも高値で取引されることになりそうだ。

 関係各県では、産卵のために川を下る親ウナギの漁業禁止や自粛の呼び掛けなどの対策を取っているが、シラスウナギ資源を増やす決め手が見つからないのが実情だ。

 ニホンウナギは生息環境悪化や食用向けの乱獲などにより激減。

環境省は1日、絶滅危惧種に指定した。

 2年前に、投稿した記載で、どのようであったかを個人的なメモを含めて、一部再掲しました。 

既報「猛暑、熱中症に係る記載を調べました。(その5:土用の丑とうなぎ)」 (2011-07-21)>>詳しくは

「半世紀前からバブル期までは、土用の丑の時期は猛暑をしのぐため、夏場に数度うなぎ、どじょうを食べて乗り切ることが多かった記憶があります。
 今年の猛暑は期間が長そうなのでうなぎを何回くらい食べることになるのだろうか?
スタミナ切れ時は安価な輸入品を食している昨今であります。
 今年はうなぎの値段も高騰しているらしい。
 最近の価格高騰の原因はやはり品不足なのだろう。
昨年の記載から養殖うなぎ用の稚魚が高騰しているようです。

異常気象の原因サンゴの白化)と関係があるのだろうか?
稚魚の生育環境の水温水質水の状態が変化したためなのか?
国産の美味しいのを気楽に食べることができるように、
低コストの「うなぎの完全養殖」の技術開発に注目しなければなりません。
今では、贅沢品になりましたが、わが国の猛暑を乗り切る伝統的な活力を復活するためにも、・・・。
海の「マグロ」、山の「マツタケ」同様さびしいことです。

うなぎの養殖に係る記載

<養殖養鰻業の現状>
日本養鰻漁業協同組合連合会
国産鰻の安全性と品質について
(一部割愛しました。)
1.シラスウナギ
  鰻は、万葉の昔より国民に親しまれている食べ物の一つで、鰻養殖の歴史も130余年にもわたります。
 しかし、鰻の生活史には謎が多く、その生態は完全には解明されておらず、産業として人工ふ化した鰻の稚魚(シラスウナギと呼ばれています)を養殖に用いることが出来ません。
 (試験研究段階では、天然資源に依存しない、完全養殖に成功しています。)
 このようなことから鰻養殖の生産者は、シラスウナギの確保を100%天然に依存しており、12月から4月までの期間に河川や海岸線で採ったシラスウナギを養殖しています。 
シラスウナギの体は透明で、長さは約6cm、つま楊枝程度で、その重さは約0.2gです。
2.養殖鰻養殖池は、
四角いコンクリートの池をビニールハウスでおおい、水温28℃前後に加温しています。
 なお、鰻養殖では、水産用水基準を満たした地下水(一部河川水)を用いて飼育しています。 
 生産者は、冬から春にかけて採れたシラスウナギを6ヶ月から1年半掛けて養殖し、0.2gのシラスウナギを1尾200gから300gに育てます。
 餌は、厳選された高品位な魚粉を主原料とした配合飼料で、これに水を加え、餅状にして与えます。・・・
 以前は、広大な露地池で鰻を養殖していましたが、近年の加温ハウス養殖では、露地池の時代に比べ飼育管理が容易となり、病気の発生率が下がり、また、病気が発生した際には、水温を33℃まで上昇させ病原菌を殺すなどの対策が取られています。
3.出 荷
 成長した鰻はいよいよ池から出荷されますが、日鰻連会員組合では、自主的に、出荷前の鰻を池からサンプリングし、医薬品の残留検査を行っています。 この検査で、医薬品の残留がないことが確認されて始めて池から出荷されます。万が一、医薬品の残留が検出された場合は、出荷は延期となり再検査を受けなければなりません。・・・
 出荷までの生産過程を明確に記録・管理し、さかのぼって飼育状況等を確認できるトレーサビリティ(生産履歴管理)を行っています。・・・ 
4.国内生産量と輸入量
 日本の養殖鰻生産量は、最盛期には約4万トンありましたが、ここ数年は、2万トンから2万2千トンで推移しています。
 
一方、外国の主な鰻生産国は、中国、台湾で、平成12年には両国合わせて13万トン以上の輸入がありました。・・・

平成22年の日本の生産量は約2万5百トン、中国、台湾等からの輸入量が約5万3千トンとなっており、その合計は約7万3千5百トンで、日本の鰻生産量のシェアは約28%となっています。


本文を読む

<今後期待される完全養殖>
サイエンスポータル編集ニュース
【 2010年4月9日 ウナギの完全養殖に成功 】 
(一部割愛しました。)
「水産総合研究センターは8日、ウナギの完全養殖に成功した、と発表した。
同センター養殖研究所と志布志栽培漁業センターで実験室生まれのウナギ稚魚を育て、2-5年後成長した親魚から人工授精で受精卵を得、ふ化させた。
 
生まれた仔(し)魚は、ふ化から6日後の4月2日に餌を食べ始め、その後、順調に成長している。外国ではウナギを稚魚にまで育てることにすら成功していない。人工ふ化した仔魚から育てた親から人工飼育下でさらに仔魚を得るという完全養殖は、ウナギでは初めて
 ウナギ資源の保護と共に「鰻(うなぎ)」という日本の大事な食文化を守る重要な技術になる、と水産総合研究センターは今後の研究の進展に期待している。

 ウナギの生態は長い間謎となっており、ようやく近年になって産卵場所が日本列島から遠く離れたマリアナ諸島沖の西部北太平洋付近の深海であることが、東京大学海洋研究所や水産庁の調査でほぼ突き止められた。
 
 商品となっている鰻は、産卵場所からはるばる日本列島にやってくる天然ウナギの稚魚(シラスウナギ)を採取して、養殖場で育てられているのが現実だ。

 このため毎年、シラスウナギの採取量によって養殖業者の経営が左右される状況が続いている。特に昨年はシラスウナギがシーズン当初、極端な不漁となり、養殖に必要な量を確保できるか心配された。」本文を読む

Asahi.com.
天然ウナギの卵発見 世界初、完全養殖実用化へ期待 
(一部割愛しました。)
「天然のニホンウナギが海で産んだ卵が、世界で初めて日本の研究チームによって発見された。現場は、ウナギの幼生が捕獲されたことがあるマリアナ諸島沖。
 
調査で得られたデータは、ウナギを卵から育てる「完全養殖」の実用化に役立つと期待される。
 発見したのは、東京大大気海洋研究所の塚本勝巳教授や水産総合研究センターなどのチーム。
 1日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ(電子版)に報告した。
 2009年5月、調査船で大型のプランクトンネットを引いたところ、ウナギとみられる複数の卵が入った。DNA鑑定で31個がニホンウナギの卵と確認された。いずれも受精卵で、直径は平均1.6ミリだった。  孵化(ふか)するまでの間、海中に卵の形で漂うのはわずか1日半とわかっている。
 
チームは過去の調査データから、産卵が新月のころに行われると推定。集中的に調査した。世界のウナギ19種・亜種のうち、天然の卵の発見は初めて。

 現場海域は水深3千~4千メートルで、海山が立ち並ぶ。ウナギの卵が捕れたのは、深さ200メートルまでの比較的浅い場所だった。・・・
 ウナギの養殖には、年間1億匹近い天然の稚魚を使っている。
 
ただ、ニホンウナギの稚魚の漁獲量は近年、1970年ごろに比べて1~2割程度に激減している。・・・

  こうした中、今回の調査で卵が見つかった水深や水温、塩分濃度などのデータは、ウナギを飼育下で卵から効率良く育てる上での重要なヒントとなり、完全養殖の実用化を加速することになりそうだ。・・・ 」本文を読む

⇒随分、詳しく調べていたと思う次第ですが、最近のシラス稚魚の不漁原因の解明はゲリラ雷雨と同様、現状よくわからない??ようです。水深や水温、塩分濃度などのデータを応用して、完全養殖の実用化が加速されることを期待します。

 


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