テスラ研究家・新戸雅章の静かなる熱狂の日々

エジソンも好きなテスラ研究家がいろいろ勝手に語っています。

一二三の「うひょー」②

2011-09-02 18:40:07 | Weblog

 念願の名人位を手にした加藤は、翌年、22歳の谷川浩司の挑戦を受けた。今度の予想は加藤名人有利。いくら次代の覇者と目される谷川でも初陣では荷が重いというのがその理由だった。しかしやはり勝負はふたを開けてみるまではわからない。
 谷川の勝利で始まった第41期名人戦は、谷川優位に運び、5戦闘って3勝2敗。若き挑戦者が名人位に王手をかけた。そして迎えた6局目。

 この対局を、わたしは新宿駅西口の大盤解説で観戦した。念願のタイトルを手にした中年の星加藤名人への同情と、実際にご本人を見かけて、親しみを感じていたこともあって仕事帰りに立ち寄ったのである。
 当日の大盤解説は因縁の大山康晴15世名人だった。この戦いも谷川の有利に運び、加藤が駒を投じた。
「新しい名人の誕生ですね」。谷川の勝利を確認した大山の声がやけにうれしそうで、少し憎らしい感じがしたものだった。

 この後、加藤に名人挑戦のチャンスはめぐって来ず、獲得は一期限りだったが、神武以来の天才の名人位をかけた死闘16番は「うひょー」とともに永遠に語り継がれることだろう。


遊行かぶきの季節がやってきた

2011-09-02 14:48:34 | Weblog

 

 

わたしはこの十五年、湘南・藤沢演劇の中核をになってきた遊行かぶきをずっと応援してきた。その遊行かぶきの季節がまた近づいてきた。
 遊行かぶきは藤沢在住の演出家白石征さんが提唱している中世説教節に材をとった作品群である。これまで『小栗判官と照手姫』『一般聖絵』、『しんとく丸』などを世に問い、中世と現代をつなぐ地霊の演劇として絶賛を博してきた。昨年は説経節の代表作『さんせう太夫』に挑み、遊行かぶきの集大成を見せたが、好評に応えて、今夏もその続演が決定した。
『さんせう太夫』は、近世では近松半二や竹田出雲などによる歌舞伎や浄瑠璃の演目となり、近代では森鴎外の小説によって一躍有名になった。名匠溝口健二による映画化(田中絹代、香川京子ら)も高い評価を受けている。
 今回も、わたしは文芸・制作手伝いとして、稽古からおつきあいさせてもらっているが、その熱気を見る限り、昨年をしのぐ舞台になるのは必定。遊行かぶきのエッセンスを凝縮したこの中世演劇の傑作を、ぜひ多くの方にご堪能いただきたい。

さんせう太夫 ─母恋い地獄めぐり

 闇に聞こえる「鳥追い歌」に導かれて再会を果たす母子。その一途な思いに、日本人が忘れてきた〈幸福のかたち〉が

白石 征/脚本・演出 寺山修司/短歌 J・A・シーザー/音楽
◎期日:2011年9月9日(金)・10日(土)・11日(日)
◎会場:遊行寺本堂
◎期日:2010年9月9日(金)17:30開演/10日(土)15:30開演/11日(日)13:00無料シンポジウム、15:30開演  ※開場は各30分前

●料金
当日 3,500円、前売 3,000円、学生 2,000円 全席自由
●チケット取扱い
有隣堂藤沢店 0466-26-1411(代)
藤沢名店ビル2階サービスコーナー
電子チケットぴあ pia.jp/t(Pコード 412-802)0570-02-9999
●お問い合せ・電話予約
遊行舎 TEL 0466-34-9841