寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第2563話) 湖上の水田

2018年01月26日 | 知識

 ”湖上に浮かび、舟でしか行くことのできない水田が滋賀県近江八幡市にあることを昨年知った。「権座(ごんざ)」と呼ばれているそうだ。同じ県内に長年いながら、私はそれまでまったく知らなかった。
 つなぎ合わせた小舟に鉄板を置き、その上に農機具を載せて田んぼまで運ぶ。収獲物も舟で岸まで運ぶという。転覆の危険もあり舟の上での作業には時間を要する。通常の稲作の何倍も手間がかかるだろうが、地元の人たちが田を守るために汗を流している。人と人とのつながりを大切にしながら集落を守ろうとする地元住民のひたむきな姿勢に私は感動すら覚えた。
 昨年は骨折して現地に行くことはできなかったが、今年は収穫期の風景を見に行きたいと思っている。”(1月14日付け中日新聞)

 滋賀県彦根市の主婦・松本さん(79)の投稿文です。「権座」、初めて聞く言葉です。水郷の町、近江八幡ですからそんな知恵もあったのだろうと、納得できます。昔、大名が大きな川を渡った時にやった舟橋のようなものでしょう。これほどまでにして稲作をし、水田を守った来たのかと、日本人の知恵と苦労に感慨を覚えます。現代はそんな知恵も放棄し、休耕田を増やし続けてきた。時代の流れというのはこんなものなのでしょうか。今では貴重な風景でしょう。
 少し風景は違いますが、ボクの隣村に「島畑」というものがあります。田んぼの中に小さな畑が点々とあります。水田を開墾する際に、導水できる高さまで土地を掘り下げた際に出る残土を水田の中に積み上げたもののようです。昔は各地にあったようですが、隣村の島畑は、残された貴重な風景のようです。ここにも先人の知恵や苦労があります。そう遠くない時期になくなるでしょう。今のうちに見ておかれるのもいいでしょう。


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