“昨年の暮れに兄の四十九日法要を終えた義姉から、正月明けに電話があった。兄の葬儀に当たってのお礼とか、今年もよろしくといった内容だった。
暮れから私は、息子・娘家族の帰省で大騒動し、無事に帰り「やれやれ、やっと自分のお正月をしているところ」。すると義姉は、友人のK子さんが昨日、兄のお参りに来訪された話をした。遺影に向かって「お父さん、いい顔してるでしょ」と言うと、すかさず「うちのお父さんの方がいい顔しているよ。見に来て」と彼女に言い返されたという。それで、兄より1年ほど前にご主人が他界されたK子さん宅へ、お参りを兼ねて訪ねたという。
「どうだった?」と聞くと「うちのお父さんの方がいい顔している」との返事である。この言葉から、夫婦っていいなあ、としみじみと思いました。「お兄さんも喜んでいるよ。私も永く生きてきたけれど、遺影自慢の話って聞いたことないわ。お友達に話そっと。いいお話だから」。義姉は「変なこと言うもんじゃないよ」と、大笑いしながら電話を切った。
私は13年前に主人を亡くしている。60代の夫の遺影に向かって話しかける。「お父さんも誰にも負けていない、いい顔していますよ」。久しぶりに夫の顔を見つめた。”(1月26日付け中日新聞)
愛知県小牧市の主婦・加藤さん(79)の投稿文です。遺影自慢とは、これはつい笑みがこぼれる話だ。遺影については2月2日第3623話で書いたばかりで引き続きになってしまった。遺影を自慢すると言うことはご主人を誇りに思っているからである。麗しき夫婦愛である。この3未亡人、凄いと思う。こういう話になるのだったら、本当に遺影は納得できる写真にしなければならない。男やもめだったらどういう話になっていたろうか。ただ今を悲しんでいただけになっていなかったろうか。未亡人は内心はどうだか分からないが、見かけ上は全く晴れ晴れと活動している。あるときお茶を一緒した6人ほど全員が未亡人であった。本当に肩の荷が下りた感じに思えた。
自分達で撮って保存しておくという方法もあるが、これは子どもや孫に頼んでおくのも方法と思う。実際に注文するのは子どもたちであるのだから。今度会ったら、機会のある毎に写真を撮ることを頼んでおこう。
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