吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

おかか和え

2013-03-10 21:35:47 | インポート
さっちゃんが、また妙なイタズラを続けています。
それは…。

便座カバー。

ここ1ヶ月ほど、さっちゃんがお手洗いに入った後
時々、便座カバーの前の方が濡れていることがあるので
(しかも、何故か決まって左側)
私は、不思議に思いながらも、直ぐに交換して洗っていたのですが
最初は週に1度程度だったのが、週に2~3度に増え
ある日、私は、濡れた便座カバーを前に
急にふつふつと、「何かがおかしい」と、思い
濡れた便座カバーを片手に、お部屋で遊んでいたさっちゃんの所へ行き
便座カバーを、顔の前に付き出して、こう言いました。
「これ、あなたが汚したのだから、あなたが洗いなさい」
そこで、素直に洗ってくれるさっちゃんではありません。
ぷいとそっぽを向き、無視の構えです。
「あなたが汚した物を、お母さんが洗うなんておかしいでしょ
 自分で汚した物は、自分で洗いなさい」
さっちゃんは、ひたすら無視。
「自分で洗いなさい」
無視。

むっかー。

「いい加減にしなさい!
 いいから自分で洗いなさいっ!」

私の怒鳴り声に、びくっと身体を固くするさっちゃん。
それでも頑なに動こうとしないので
私は力ずくでさっちゃんの腕を引っ張り、洗面所へ連れて行きました。
そして、シンクの中に便座カバーを放り込むと、お水を勢い良く流し
洗剤の蓋を開けながら、さっちゃんに言いました。
「洗いなさい」
さっちゃんは、ようやく観念したらしく
シンクの中で、便座カバーを洗い始めました。

さっちゃんに便座カバーを洗わせたのは
自分で汚した物は自分で洗うということの他に
自分で洗うくらいなら、この面倒臭いからイタズラはやめよう
そんな風に、さっちゃんが思ってくれればいいなと思ったのですが
そう思ってくれた(?)のは、ほんの数日のことでした。

数日後、また私は濡れた便座カバーに出くわし、さっちゃんに洗わせ
その数日後に、また濡れた便座カバーに出くわし、さっちゃんに洗わせ
そんなことを、4回ほど続けているうちに
私は、一体、お手洗いの中で何が起きているのだろうと
ある時、さっちゃんがお手洗いに入ったときに
失礼だとは思いながらも、ドアを開けてみました。
すると、そこには。
不自然なほど、便座の前の方に座っているさっちゃんの姿が…。

「さっちゃん、それは濡れても仕方がないわ」
私は、さっちゃんにお尻を少し後ろへずらすように言いました。

何故、便座カバーが濡れるのか、理由は分かりました。
でも、何故?
今まで、便座カバーが濡れなかったということは
さっちゃんが、正しい位置に座っていたからだと思うのです。
では何故、安定感の悪い、前の方の位置に座りたくなったのでしょうか。
イタズラ?こだわり?
もしかして、最近太ってしまったせいで、お尻がすごく大きくなってしまって
便座にあまるほどになってしまったのでしょうか。
いや、いくらなんでも、それはないだろう。

うーん…。
よく分かりません。

よく分かりませんが、良くはない。
うちは、わりと頻繁に人の出入りがあるので
いんや、例え、頻繁に人の出入りが無かったとしても
便座カバーは、常にドライで清潔な状態が好ましい。

濡れた便座カバーは、果たしていつまで続くのやら。

続くと言えば、もうひとつ。

さっちゃんは、毎日通っている施設の職員で
蝶路担当しているAさんという女性が大好きです。
でも、綺麗で優しいAさんは、利用者のみんなの人気者。
お昼休みにAさんと遊びたくても、競争率が激しいのです。
そこで、さっちゃんは考えました。
昼食後、わざとAさんが気が付くように、ゴミを床に捨てました。
「あら、さっちゃん、ゴミはゴミ箱に捨ててね」
Aさんが声を掛けると、さっちゃんは、「珍しく」素直に
ゴミを拾って、ゴミ箱へ捨てに行きました。
そして、ゴミを捨てて戻ってきたさっちゃんの顔を見て、Aさんは、びっくり!
なんと、昼食のデザートに出たヨーグルトを顔中に塗りたくり
しかも、「わたし、かなしいの」と泣き出したそうです。
デザートのヨーグルトを、「これ」をするために、わざわざ残しておいたのか
しかも、ほんの1~2分の間に、一体どうやって?という早業だったそうです。
「床に捨てたゴミを、素直に捨てると見せかけておいて」という、オマケ付きで。
Aさんは、思わず笑ってしまいながらも
さっちゃんのお顔を綺麗に拭いてくれたそうです。

綺麗で優しいAさんに、丁寧にお顔を拭いてもらうさっちゃん。

このことに味をしめたさっちゃんは
なんと翌日は、サラダに添えられていたマヨネーズを顔中に塗ったらしく
Aさんは、「笑うと負け」と、まるでにらめっこの様な呪文を唱えつつ
知らん振りを決めたそうです。

『もしかしたら、続くかもしれませんね』
Aさんとメールでやり取りをした後、私はふと気になって
翌日の昼食のお献立をチェックしました。

さつま汁定食
おかか和え
バナナ

おかか和え…?

私は、顔中おかかだらけにしたさっちゃんの顔を想像して
ぷっ!と、吹き出してしまいました。

さっちゃんは、ほぼ毎日こんな感じですが
人を引っ掻いたり、痣ができるほど抓っていた他害行動や
自分の顔を、血が出るほど激しく引っ掻いたり
唇を強く噛んで、口の周りを血だらけにしたり
髪が一度に数十本も抜ける程毟ったりという自傷行為を
毎日のように、繰り返していた頃のことを思うと
随分と穏やかになったなぁ、なんて思ってしまうのです。