天真寺日記

天真寺の日々を綴ります

思い込み

2007-04-22 14:56:39 | 天真寺
今月の仏教講座会、ご講師には松本智量先生が来て下さいました。
私はアーユスで、姉は築地新報編集で共に大変お世話になっている先生です。

ご法話では抱腹絶倒の笑いの中、諸行無常・煩悩・お念仏とお話を下さいました。
その中で、「思い込み」について聞かせていただいたお話を一つご紹介します。
先生が先輩から聞かれたというお話です。

                                   

息子さんが遠足に向かうバスの中 一人一芸を披露することとなったそうで、色々と頭を悩ませた末「いいクイズを思いついた!」とお父さん(この方が先生の先輩)に聞かせてくれました。

「さてクイズです。
 太郎君が風邪で入院しました。
 そこでお友達の恵子ちゃんは、太郎君のお見舞いに出かけました。
 すると道の途中で牛が現れ、「モー」と鳴きました。
 今度は、蝶がひらひらと飛んで来ました。

 そこで、問題です。
 太郎くんの病気は何でしょうか?」というもの。

そのお父さんはこれを聞いて、我が子ながら、小学校5年にもなってなんと下らないクイズを思いついたものか・・・
とがっかりしたといいます。
当然、牛がモーと鳴いて蝶が飛んできたというのだから、「もちろん盲腸だろう」と自身満々に答えます。
すると、「ブー!」。
息子さんから不正解との返事、正解は「風邪」だと言うのです。
もう一度クイズを聞いてみると、確かに「風邪で入院した太郎君」と初めに言っているではないですか。

がっかりしているところへ、幼稚園に通う下のお嬢さんが帰ってきたので、今聞いたこのクイズを出してみました。
すると「風邪でしょ」とあっさり正解。
お父さんが「牛がモーと鳴いて蝶が飛んで来たといんだから、盲腸だと思うだろう」と話したところ、お嬢さんは「もうちょうって何?」と答えたとか。

                                      

知らなければ、だまされるはずはありません。
私たちは知っている、分かっているという思い込みから、実は本当のものを見えなくしているのです。
私もすっかり盲腸だと思っていましたから、そんな我が身のすがたを思い知らされるお話です。
こんな思い込み、そしてさまざまなものに惑わされている私たちの姿を聞かせて下さいました。

これも身も心も煩わす「煩悩」があるから。
煩悩とは、
「自分は正しい」
「自分は一人だ」
という思い込みです。
一人というのは、私はどうせ一人なんだから卑屈になったり、かと思うと逆に、私は誰にも世話にならず一人で生きているんだと高慢になったり、
私たちはこうして卑屈と高慢の間を揺れ動きながら生きているんだよ。
そして、そんな私のすがたを照らし出してくれるのが「南無阿弥陀仏」のお念仏。
お念仏とは、私に届く阿弥陀さまからの促しとお示し下さいました。

大変尊いご縁のお聴聞の一日となりました。
松本先生、ありがとうございました。

(龍)