わたしが通った幼稚園はプロテスタントの園でした。その卒園記念品として、子どもたち一人ひとり、幅30㎝ほどの木製の本棚をいただきました。その本棚の側面には「ひかりの子らしくあゆみなさい」という金色の文字が記されていました。今から63年も前のことだけれど、その本棚のことは今でも鮮明に覚えています。
「ひかりの子」という言葉は、キリスト教の学校や幼稚園でよく用いられています。
♪喜ばれる 人になろう イエスさまのような人に
愛を運ぶ 人になろう イエスさまのような人に
ひかりの子は いつも明るく ひかりの子は いつもステキ
ひかりの子は いつも祈り ひかりの子は イエスさまの子
がまんづよい 人になろう イエスさまのような人に
心優しい 人になろう イエスさまのような人に
ひかりの子は いつも明るく ひかりの子は いつもステキ
ひかりの子は いつも祈り ひかりの子は イエスさまの子(作詞:作曲 不詳)
これは、天使幼稚園でもよく歌う「ひかりの子」という聖歌です。イエスさまのように「喜ばれ、愛を運び、がまん強く、心優しい」ひかりの子は「いつも明るく、いつも祈り、いつもステキ」な「イエスさまの子」と歌っています。
聖書にも「ひかりの子」につながるお話があります。
「あなたがたは、世の光である。山の上にある町は隠れることができない。また、ともし火をともして、枡(ます)の下におく者はいない。燭台(しょくだい)の上に置く。そうすれば、家の中のすべてを照らすのである。」(マタイによる福音書5章14~15)
真っ暗な夜、光は周りを照らし、人々の目印になったり、見えなかったものを見えるようにしたりすることができるものです。そしてここには「世の光になりなさい」ではなく、「世の光である」と記されています。
「わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい」(ヨハネによる福音書13章34)と新しい掟を与えてくださったイエスさまは、その教えを大切にする人は、すでに「世の光」であり、人々の役に立つ存在なのですよと、教えてくださっているのです。
縁あって天使幼稚園に入園し、ここで学び育ってきた子どもたち、そして保護者のみなさんは、すでに神さまから選ばれた「ひかりの子」なのです。
天使幼稚園の卒園生や保護者の方から「天使幼稚園の卒園生は、優しい人、思いやりがある人が多いですねと、よく言われます。」というお話を何度もうかがったことがあります。創立者のガブリエル神父様、そして、その精神を受け継いだシスター方や教職員が育んできた天使幼稚園で育ってきた子どもたちは、その学びの中で「ひかりの子」の礎(いしずえ)がしっかりと身に着いているのです。
年度の終わりにあたり、今一度、周りを照らす「ひかりの子」になっている子どもたちの姿を振り返り、新しい年度に向けてこれからも「ひかりの子らしくあゆみなさい」という教えを大切にしていこうという思いを深めていただければと願っています。
(園長 鬼木 昌之)