今、天使幼稚園ではクリスマス会に向けて、年長さんは聖劇の、年中さんと年少さんは絵本のお話をもとにした劇の練習を重ねています。本園だけではなく、多くのカトリック幼稚園では、劇や音楽などの発表会を「クリスマス会」として催しています。そこには、一人ひとりが神さまからいただいた自分の力を発揮してそれぞれの役を演じることを通して、たくさんの方に喜んでいただいたり、神さまに感謝の気持ちをお捧げしたりしようという心が込められています。
クリスマスという言葉は「Christ(キリスト)」と「mass(ミサ)」がつながってできたものです。キリスト(油注がれたもの=救い主)にささげるミサ(感謝の祭儀)という意味になります。私たちを愛し、小さな赤ちゃんとなって降(くだ)ってくださったイエスさまに「ありがとう」という感謝の気持ちを伝える日、それがクリスマスです。
♪ ふかい やみの さなかに きらめく ほしは
みちに まよう ひとへの かみの まなざし ♪
子どもたちが聖劇で歌う「ハレルヤ クリスマス」の1番の歌詞です。静かな夜空にきらりと輝く星は、迷える人を導き援けてくださいます。きらびやかなイルミネーションが輝く現代のクリスマスとは、全く異なるクリスマスの光景です。神さまは、苦しんでいる人、困っている人、悲しんでいる人……、そのような弱い人の援けとなるように、大切な御独り(ひとり)子イエスさまをおくってくださいました。
「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」(ヨハネによる福音第3章16節)
この聖書の言葉にあるように神さまに愛されていることを実感する日。それがクリスマスでもあります。
そのイエスさまは、わたしたちに大切な教えを残してくださいました。
「あなたがたに新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい。」(ヨハネによる福音第13章34節)
これがクリスマスのもう一つのメッセージです。あなただけが幸せになるのではなく、イエスさまがみんなを愛したように、あなたたちも周りの人たちを愛し、幸せにしてあげてくださいという教えです。クリスマスのプレゼントはこの思いがベースになっています。
この「愛」という言葉にもエピソードがあります。聖フランシスコ・ザビエルが日本に来た頃、宣教師たちは神さまの愛を日本の人々に伝えるために、どんな言葉で伝えようかと悩んでいたそうです。「愛」という言葉は神さまの思いをひとことで表すことができるものの、何となく漠然としています。そこで思いついたのが「御大切(ごたいせつ)」という言葉でした。この言葉には「愛」の精神が分かりやすく込められています。
イエスさまが与えてくださった新しい掟にある「愛し合いなさい」という部分を「大切に」と置き換えるとイエスさまの思いが具体的に伝わってきます。「互いに大切にし合いなさい。わたしがあなたがたを大切にしたように、あなたがたも互いに大切にし合いなさい。」神さまの行いにならって、誰かのために大切なものをプレゼントする。それがクリスマスの本当の祝い方です。
クリスマス会に向けて、子どもたちはこの思いを大切にしながら練習に取り組んでいます。さらに今年のクリスマスは、家族そろって、周りにいる人たち、さらに世界中の人たちを大切に思い、自分ができることを実行する、そんな日にできるといいですね。
(園長 鬼木 昌之)