天使幼稚園

カトリックの精神に基づいて未来を生きる子どもたちを育てます

<園長だより「風」3月号>雛祭り/調べることの大切さ

2024年02月21日 08時00分00秒 | 園長だより
 ♪明かりを つけましょ 雪洞(ぼんぼり)に♪
(うれしい ひなまつり=サトウハチロー作詞:河村光陽作曲)
もうすぐ雛祭り。天使幼稚園でもホール前に雛人形を飾り、子どもたちも学年ごとにお雛様の制作をして雛祭りを迎える準備をしています。

 雛祭りは、平安時代に中国から伝わった五節句(1月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽)の一つ「上巳の節句」が起源となっています。「巳」は十二支の「蛇(へび)」のことで、蛇は脱皮を繰り返し成長することから、災いや穢れ(けがれ)を脱皮するように取り去り身を清める日とされていたそうです。この日は、水で体を清めて宴(うたげ)を催したり、紙でひとがた(人形)を作り、それに穢れを移して川に流したりしていました。

 また、平安時代には、お人形を使った「ひいな遊び」が貴族の女の子の間で盛んに行われていました。やがて、ひいな遊びのお人形とひとがたとが合わさり、流し雛となりました。

 江戸時代になり、人形を作る技術が高まって豪華な人形を作ることができるようになると、流し雛ではなく、女の子の健康を願って作ったお人形を飾るようになりました。こうして雛飾りが誕生し、雛祭りが女の子のお祝いになっていきました。

 雛人形の制作をしている子どもたちが、時々ホール前の雛飾りを見にきています。「あっ、おもちが ある。」「ももの はなが あった。」といろいろな発見をする一方、かごや牛車を指さして「これは なに?どうして かざってるの?」など疑問を持ち尋ねてきます。このように「なに?」「どうして?」という疑問を持つことが、子どもたちの成長にとって大切な、学びのきっかけになるものです。

 「雛祭りは桃の節句ともいって、ちょうどこのころ桃の花が咲き、桃には悪いものを追い払ってくれる力があると信じられていたから、桃を飾るようになったそうですよ。」「下の方の段には、お雛様のお嫁入りの道具の箪笥(たんす)や火鉢(ひばち)、そしてかごや牛車があるのですよ。」と、その場で教えてあげることで子どもたちの知識を広げてあげることができます。さらに、その子に調べる手段や力があるような時には、「図鑑や絵本で調べてみてごらん。」と、主体的に調べてみることを促すことで、その子の学ぶ力を高めていくことができるものです。

 ♪お内裏様と お雛さま 二人並んで すまし顔♪
ここに歌われている「内裏」とは、天皇が住み,儀式や執務などを行う宮殿のことで、お内裏様というのはもともと男雛、女雛二体を合わせた呼び名でした。ところがこの歌を通して、男雛を「お内裏様」女雛を「お雛様」と思って大きくなった人が増えてしまいました。

 雛飾りには「右近の橘」と「左近の桜」も飾られています。正面から見ると黄色い橘は左に、ピンクの桜は右に飾ってあります。「おや?左右が反対?」実は、この右・左は正面から見た位置ではなく、ひな飾りのモデルとなった天皇・皇后(お内裏様)から見て右・左を指しています。このように視点を変えると、見方がかわることや、歴史的な意味合いも、雛人形を通して学ぶことができます。

 ♪すこし 白酒召されたか 赤いお顔の 右大臣♪
右左の見方を知って雛飾りを見ると、赤い顔をしたお人形は向かって右に座し、こちらは左大臣だと分かります。作詞家の方の勘違いだったのでしょうか。さりげなく歌っている歌も、意味を考えながら確かめると、「本当は〇〇だ」と気付くことがたくさんあります。

 この他にも「雪洞って何、どうしてぼんぼりっていうの?」「菱餅は3色と5色があるけれど、どうして?」「三人官女は何をしているの?」など、好奇心を沸き立たせると、知りたいことや疑問が次々とでてくることでしょう。分からないことを見つけ出し、誰かに聞いたり自分で調べたりする。雛飾り一つからも学びを広げることができるものです。
           (園長 鬼木 昌之)


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