5月といえば端午の節句、こどもの日、こいのぼりや武者人形。ゴールデンウイークに立夏(今年は5月5日)。さらに八十八夜に茶摘みや田植え。また、躑躅(つつじ)や藤そして薔薇(ばら)、最近はあまり見かけなくなったけれど蓮華草(れんげそう)等の花々が美しい姿を見せてくれます。気温の変化が激しい春の終わりから、気持ちが良い初夏の陽気に変わっていくのがこの5月です。
5月の清々(すがすが)しい晴れの日は「五月(さつき)晴れ」。もともとは旧暦の5月(新暦の6月頃)の梅雨の合間の晴れの日を「五月晴れ」と言っていましたが、最近では新暦の5月の気持ちが良い晴れの日も「五月晴れ」と呼ばれるようになりました。
カトリック教会では、この5月を「聖母月」と呼び、マリアさまの優しさや神さまにしたがう従順な心を思い起こしたり、感謝の祈りを捧げたりする月になっています。その起源として、ヨーロッパでも多くの花が咲き乱れ新緑が美しい5月は、マリアさまに捧げる良い月ということから「聖母月」となったという説や、「メイ・クイーン」を選ぶ習慣から「その中でも最も美しいのはマリアさま」ということで5月が「聖母月」になったという説などがあるそうです。
子どもたちは毎日、朝の祈りの後、園のことばを唱えています。
イエスさまのように かみさまに したがう よいこども
マリアさまに ならって やさしい こころ
いつも なかよく あかるい こども
きれいな はなを てんしの そので さかせましょう(天使幼稚園 園のことば)
明るく元気いっぱい幼稚園生活を楽しみながら、善い行いができるようにイエスさまのことば(=神さまの願い)を思い起こし、優しいマリアさまのように、自分もみんなに優しくできる人になろうという幼稚園のめあてを繰り返し確かめています。
家族という小さな社会から、同じ年代の友だちや先生と一緒に過ごす大きな社会の中に飛び込んだ子どもたち。自分の思い通りにはできない時があることや、自分と異なる思いを持っている人がいること、さらに共に過ごす小さい子を助けてあげたいという気持ちが沸き上がること等、人とのつながりの中で多くのことを学びながら成長していきます。
新年度がスタートして1ヶ月。新しいクラスにも慣れ、そろそろ自己主張も強く出るようになっていきます。こうして迎える聖母月。小さな子どもたちだけれど、何でも「自分・自分」ではなく、「マリアさまに ならって やさしい こころ」を意識し、周りの人にも心を配りながら過ごしてほしいと願っています。
新型コロナウイルスの感染拡大のため、また緊急事態宣言が出されました。不自由な生活のためストレスがたまり、物を壊したり誰かを攻撃したりというニュースも数多く耳にします。こんな時こそ、子どもたちと同じように「マリアさまに ならって やさしい こころ」を胸に刻み、周りの人への思いやりの心を持ちながら過ごしていきたいものですね。
(園長 鬼木 昌之)