先週の父の日の集いは、雨の中おいでくださりありがとうございました。外での体操やゲームはできなかったけれど、それぞれのお部屋で一緒に体操をしたり“たかいたかい”をしてもらったりしている子どもたちの顔からは、いっぱいの笑みがこぼれていました。子どもたちにとって、こうして自分と深くかかわり大切にしてくれる人の存在は、とても心地よくうれしいものです。
父の日の集いでお話ししたように、現代社会において「自己肯定感」の大切さが改めて見直されています。年中・年少さんの保護者会で紹介した「子どもが育つ魔法の言葉」(ドロシー・ロー・ノルト)の中に「子は親の鏡」という詩が載っています。
「誉めてあげれば、子どもは、明るい子に育つ
愛してあげれば、子どもは、人を愛することを学ぶ
認めてあげれば、子どもは、自分が好きになる」(一部抜粋)
自分を育ててくれている周りのおとなに、全幅の信頼を寄せ成長している子どもたちにとって、周りの人の優しさに包まれ安心して過ごしていることが「自分は愛されている、掛け替えのない大切な存在なのだ」という「自己肯定感」につながっていきます。
さらに「自己肯定感」を育むためには、このように子どもを愛し、誉めたり、認めたりすることと同時に、子ども自身の「自己決定力」が欠かせないという研究があります。何もかも周りの人がお膳立てし、自分で決めることを奪われた子どもは、本当の意味での自分の良さに気付いたり、発揮したりするチャンスを失ってしまうというものです。それはモンテッソーリ教育の理念のひとつ「自分で選び」「こころ行くまで取り組み」「できたという達成感を味わう」ことにもつながっています。
「頑張るとしたら自分の限界。
その時に、自分の中でもう少しだけ頑張ってみる、
ということを重ねていってほしいと思います。」
これはイチロー元選手が、野球大会で子どもたちに贈ったことばです。子どもたちが成長するためには、壁を乗り越える体験も必要です。でも、その壁は決して乗り越えられないような高いものではなく、自分の今の限界を少し上回り、自ら進んで挑戦することで乗り越えることができるものであることが、その子の力を伸ばす原動力になります。そして、その壁を、自らの意志で挑戦して乗り越え、それを周りから認められることを通して「自己肯定感」を高めていくことができるものです。
「自分が生きていく上での参考書、
自分を肯定し、常に激励してくれる人を持つということ、
これは人生をより豊かに、
幸福に満ちたりたものにする秘訣ではないか」
(井深 大:ソニーの創業者の一人)
子どもへのこころ配りだけでなく、私たちおとなも互いの良さを認め合い、共に「自分は掛け替えのない存在なんだ」という「自己肯定感」を持つことができるつながりを深めていくことが出来ると素敵ですね。
(園長 鬼木 昌之)