10月31日はハロウィン。今、街中を歩くとかぼちゃのお化け(ジャック・オー・ランタン)がたくさん飾られています。(天使幼稚園の玄関ホールにも置いてありますよ)
古代ケルトの暦では11月1日が新年とされ、その前日の10月31日の夜には先祖の霊が家族に会いに来ると信じられていました。でもその時、悪霊(あくりょう)や魔女も一緒にやってきて、人々にわざわいを起こすと考えられていたので、人々は、仮面を被(かぶ)ったり仮装をしたり、魔除けの焚火(たきび)をしたりして悪霊を追い払おうとしていたそうです。やがてその風習が各地に広がり、2000年ころから日本でも流行するようになりました。
このような特別な日はハロウィンだけではありません。インターネットで「今日は何の日」と検索すると、1年366日、毎日何かの記念日になっていることが分かります。ちなみに今日、10月25日は1951年戦後初の国内民間航空会社として設立された日本航空が、東京~大阪~福岡の運航を開始したことから「民間航空記念日」になっているそうです。
日本に住む人にとっての共通の記念日には「国民の祝日」があります。もうすぐ訪れる11月3日は、自由と平和を愛し、文化をすすめる「文化の日」、11月23日は、勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう「勤労感謝の日」として、学校や会社はお休みになり、みんなでお祝いする日とされています。この他にも3月3日の「雛祭り」や7月7日の「七夕」、11月15日の「七五三」なども、たくさんの人たちがお祝いをしています。
このような共通のお祝い日だけではなく、家族の中にもお祝い日がたくさんあります。家族みんなの誕生日、お父さんとお母さんの結婚記念日、みなさんが幼稚園に入園した記念日、みなさんが初めて立った日や歩いた日を、記念にメモしてくださっているお家もあるかもしれませんね。
こうして何かの記念日をお祝いするのはなぜでしょう。
それぞれのお祝い日には、ハロウィンや国民の祝日で紹介したように「由来」があり、先人たちの知恵が込められ、今を生きる私たちにメッセージを送ってくれています。その意味をかみしめながらそれぞれの行事に取り組むことを通して、後世の人々は、先人の知恵に活かされることができるもの。でも、長い年月を経る間に、その本来の意味が忘れられ失われていることも多いようです。
また、いろいろな記念日には、共に生きる人同士の絆(きずな)を深める意味も込められています。特に家族の中の記念日は、「生まれてきてくれてありがとう」「今までお世話してくれてありがとう」という感謝の思いが込められ、亡くなった方の命日などは、これまで受けて来たたくさんの恩に感謝し、その方の永遠の安息を願う気持ちを込めて祈る日になっています。
記念日は、このような特別な日だけではありません。
1987年に発行された俵万智さんの歌集「サラダ記念日」には、「『この味がいいね』と君が言ったから七月六日はサラダ記念日」という歌が納められています。さりげない日常の出来事の中にも記念日を生み出すことができるのです。
また「不思議の国のアリス」の中ではマッドハッターと三月うさぎが「なんでもない日おめでとう」と歌っていました。何もなくても、日々の暮らしの中、感謝の思いを持つことができると「おめでとう」と祝うことができるもの。茶の湯の世界でも「一期一会」という精神があり、同じ顔触れのお茶会であっても、今日のお茶席は今日限りのものだから、この一瞬の出会いを大切にお茶を点てているそうです。
私たちの日々の暮らしの中でも、1日1日を、この日この時しかない大切な記念日と考え、一つひとつの行動の意味・意義を見つけて生きることができるといいですね。
今日は「記念日」のことを考えることができた「記念日」です。
(園長 鬼木 昌之)