天使幼稚園

カトリックの精神に基づいて未来を生きる子どもたちを育てます

<園長だより「風」春休み号>ドラゴンボール

2024年03月18日 08時00分00秒 | 園長だより
 『Dr.スランプ アラレちゃん』や『ドラゴンボール』の作者、鳥山明さんの突然の訃報に、国内からだけではなく、世界中から悲しみの声が届けられています。

 1980年に連載が始まり、1981年からアニメの放送が始まった『Dr.スランプ アラレちゃん』は、ペンギン村で繰り広げられる愉快なお話や、アラレちゃんやガッちゃん、村人たちのかわいくポップな姿が多くの人に受け入れられて大ヒットし、アラレちゃんの「んちゃ!」や「バイちゃ!」という挨拶は流行語になりました。

 『Dr.スランプ』に続いて1984年から連載が始まり、1986年からアニメの放送が始まった『ドラゴンボール』は、その後、世界的な大ヒット作品になりました。

 初期のドラゴンボールは、どちらかというと、Dr.スランプのスタイルを引き継いでいるようなコミカルな面がありました。ところが、鳥山明さんが「元々僕は、先の展開までジックリと考えるタイプではない。始まった時点では悟空が大猿に変身したり、サイヤ人という宇宙人だったというようなことは全然考えていなかった。先の話を考えずに行き当たりばったりで描くというのはけっこうスリルがあって悪くない。」と自ら語っているように、話の進展に伴い、その世界観がどんどん変化していきました。主人公の孫悟空の成長とともに、敵となるキャラクターもどんどん進化し、その物語や絵もシリアスなものに変化していきました。

 小さいころから強くなりたいという思いを持った悟空は、多くの人と関りを持ちながら修行に励み、いろいろな技を身に着けながら力をつけていきました。やがて、地球や宇宙を破壊するような強い敵が現れると、相手の力を上回ることができるようさらに腕をみがき、敵を打ち負かしました。その次に現れる敵は、前回の敵の力がひ弱に感じるほど強く、悟空はさらに新たな技を身に着け、さらにかつての敵が仲間となって協力しながら強力な敵を倒していきました。

 この物語の中で、読者は悟空という一人の少年の成長を、はらはら、わくわくしながら見守っていました。さらに作者の鳥山明さんが、先の展開を決めずに話を進めたことで、読者も次にどのような展開が待っているかを予想することができず、楽しみが増していきました。

 ドラゴンボールには「夢」や「冒険」、「挑戦」や「戦い」そして「友情」がたくさん盛り込まれています。そして、それはこれから育ちゆく子どもたちにとっても、大切なものです。ドラゴンボールのストーリーの先が決まっておらず、次の展開を見通すことができなかったように、子どもたちの未来も、多くの可能性を秘め、見通すことができません。だからこそ、悟空と同じように、逆境にめげず、勇気を持って立ち向かっていく力や、仲間を大切に思い手を携えながら共に成長していく心を、この物語を通して学ぶことができるのではないでしょうか。

 また、Dr.スランプのアラレちゃんは、いたずらっ子で失敗ばかりするけれど、みんなから愛され、かわいがられていました。それは、その行動が利己的ではなく、みんなと仲良く楽しく過ごしたいという思いから出ていたからでしょう。

 卒園する年長さんや、4月に進級する年中さんや年少さんにも、二人の主人公のように、困難なことに立ち向かいつつそれを乗り越える力や、周りの人々との関わりの中で、思いやりの心を持って互いに助け合う力を養っていってほしいと願っています。
           (園長 鬼木 昌之)


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