青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

青と黄色の狭間に

2018年03月26日 21時54分47秒 | 小湊鐡道

(空の青さを吸い込んで@石神の菜の花畑)

空の青さを吸い込んで伸びる二条のレール。元々気温が上がるせいで霞みやすいのが春ですが、最近は花粉やらPM2.5やらで余計に霞みがひどくなっているように思います。しかしながら、気持ち冷え込んだこの日の朝の空は久しぶりに抜けるような青空でありました。朝の3A列車を上段の道路から撮影した後は、カメラマンがぞろぞろとアングルを求めて大移動。同じところで粘るのは勿体ないほどの一面の菜の花、アングルは様々ですもんね。


続いての狙いは9時台の里山トロッコ81号。今シーズンは先週くらいから走り始めたらしい。実際はハイブリッドディーゼルで動いているなんちゃってSLですが、コッペルの機関車のようなそのおとぎ話的ないでたちと、タン、タンと短いリズムを刻むハテと名づけられた2軸の展望客車の編成は、すっかり小湊の四季を彩る名物列車となっています。先ほどに比べてさらに増えたカメラマンの砲列の中、里山に高らかなホイッスルを響かせて、トロッコ列車が舞台に姿を現しました。


トロッコ列車にとっても、ここ石神板谷崎の菜の花畑は車窓の一番の見せ場。乗客へのサービスも兼ねて、たっぷりと徐行して通過して行きます。カメラマンの視点からしても通過速度が遅いのは願ったり叶ったり。シャッターチャンスはたっぷりありますので、ここはあえて三脚ナシの手持ちで攻めてみます。いろんなアングルを狙った方が楽しいかもしれませんよ。



ほとんど止まりそうな低速で通過していくトロッコ列車の車窓から、乗客が手を振りそしてカメラマンたちがそれに応える。宇宙まで突き抜けそうな空の色と、大地を覆いつくす菜の花の鮮烈な蛍光色。空と大地が全力で房総の春を謳歌している感じがする。青と黄色の境界線を縫い合わせるように、里山トロッコが終点の養老渓谷駅へ向かいます。
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春だ小湊菜の花祭り

2018年03月25日 22時42分32秒 | 小湊鐡道

(超有名スポット・石神の菜の花畑@上総大久保~養老渓谷間)

久々に房総の桜を撮ってみたい…とぼんやり思ったのがついぞこないだの話だったのですが、思い切って早起きして子供と房総まで行って来ました。正直桜には1週間早かったんですけど、おそらく来週はちょっと動けなさそうなんでねえ。今日は撮り鉄の皆様的には他にもネタモノがあるので、房総くんだりまでわざわざ来ないかな?なんてスケベな考えもあったんだけど、フツーに朝からアクアラインは渋滞してるし、朝の8時に石神の菜の花畑に並んだカメラの放列はざっと数えて50人以上。春の房総ナメてた。皆様とっても精力的だぜ(笑)。


カブリつきはキヤノンの白レンズ中心の鉄ちゃん、上段の道路から高そうな大口径の広角レンズで狙うのは風景派。そして案外多いのがクラカメ派のじっちゃんで、機銃掃射のような連射音に混じってカシャリカシャリと不思議なのんびりペースの音がする。撮り鉄だけでなく、ネイチャー系やクラカメ派のカメラマンに大量の観光客(スマホ・タブレット系)が混じるのが菜の花と桜の時期の小湊スタイル。まさにマルチメディア石神である。好天の春休み、日曜日という事もあり、多くの客を乗せた3A列車は10分以上の遅れでやって来ました。この石神の菜の花畑、毎年毎年ボランティアの方々がしっかりと保守管理されているそうで、後ろの房総の里山の山並みと合わせて実にフォトジェニックな光景を作り上げています。


子供の広角アングルで。ちなみに広角側はもっと画角広げたかったんだけど、この広い菜の花畑のそこかしこにカメラマンのコロニーがあってそこまで広げられませんでした。コロニーは厳格にお互いの不可侵を約しているのでありますが、その間を観光客の方々はカメラマンの気持ちをよそにスマホ片手に行ったり来たり。そのたんびにカブリつきのガチ勢から指令が飛ぶというなかなかカオスな状況でした。こっちは悪気のない観光客の写り込みとかは覚悟の上でアングルは組んでましたけども、なかなかねえ…(笑)。皆様のご協力の甲斐もあってと申しましょうか、満開の菜の花に埋め尽くされた朝の石神を、小湊おなじみのツートンに身を包んだキハ200が颯爽と駆け抜けていきました。
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去り行く者へのララバイ

2018年03月24日 21時36分28秒 | 京浜急行

(白窓リバイバル当時のお姿@井土ヶ谷駅)

明日3月25日は中央東線で豊田区189系の団臨、そして京急線では2000形がラストランを迎えますが、そう言えば京急の2000とかこのブログであまり話題にしてませんでしたね。ってな訳で今日のトップ画像はリバイバル塗装で復活した京急2000形のリバイバル直後の晴れ姿を。割と189系の話題ばかりで京急2000形はそこまでネタになってないような気もしましたけど、先日金沢文庫で売り出されたラストランツアーの抽選権付きの記念切符がアホみたいに並んだって聞いてビックリ。そこまで人気あったのかよ!って思ってしまった。


自分は仕事でも京急使うんですが、あまり話題にもしなかったのは普段使いの中で運用に入って変わらずに横浜の駅とかで見る事も多かったんで、特段「ああ、なくなるなあ…」という感慨が少ないのもあると思います。デビュー当時は2ドアのクロスシートで颯爽と登場し、快特120km/h運転の口火を切った快速ランナー。この車両が登場した直後は横浜から上り快特のマスコンを握る京急の運転士にも力が入ったとかw


そんなこんなで、引退前にカットを稼ぎに…という気持ちにもあまりならなかったのは、まあまあカメラを向ける機会も多い車両でしたのでね。そこまで前のめりになる事もなかった。それでも独特のくの字折れのフロントマスクと全面非対称のブラックフェイスは、いわゆる昭和50年代の鉄道車両の流行をバリバリに残していて特徴のある顔でしたな。


普段はエア急に入ることの多い2000形の特急運用。雨の中散り行く桜の南郷公園から。歳月の過ぎる事の速さを例えて、1月は「行く」、2月は「逃げる」、3月は「去る」なんて申しますが、ことさらに鉄道マニアにその言葉は当てはまります。何でかってーと、だいたい年度末の3月のダイヤ改正があって、それに合わせて何らかの列車や車両が廃止だの引退だのになってしまう事が多いからね。

 

1月に「そろそろあの列車3月の改正でなくなるから撮りに行かなきゃなあ」で「行く」。
2月は引退する車両を撮影しながら「あんなカットでも撮っときたかったけど、撮り逃しちゃったなあ」で「逃げる」。
3月は文字通りラストラン、沿線で去り行く列車(車両)を見送りながらの「去る」。
だいたい鉄道マニア(特に「撮り鉄」)は、こんな感じで生きている人間が多いのではないだろうか(笑)。
幾年の歳時記を刻んで来た車両の最後の日々。ジョイナスと、帷子川と、高島屋というハマの三点セットの中を行く2000形にカメラを向けた私も、やっぱりその口なのでありました。

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桜が咲けば気もそぞろ

2018年03月22日 22時07分54秒 | 小湊鐡道

(まだ静かだった春@桜の高滝駅)

家の近所の道すがらでも、庭先に植わっている桜の花びらがポロリポロリと咲き始めたと思ったら、昨日は昨日で春の雪。もともと予定があったんで野暮用で出掛けたんだけど、かなりのガチ雪にビビった。スタッドレス脱いでないで良かった。かように荒っぽい春の天気ですが、一応この週末で東京は桜が満開になるらしい…ホントかよ。さすがにちょっとその予想は勇み足だと思うんだが、去年と比べれば桜の出足が早いのは間違いないようです。去年は咲いてから冷えたので案外と桜が持ったので、行ける範囲でカメラを出して撮れるものから撮っていた。桜が咲けば気もそぞろ、どこで撮ろうか天気はどうか。定番だとお手軽なところでは夜の弥生台、そして少しシーズンを遅らせて勝沼、そしてもっと遅らせて北信州、そんな感じで今年も桜を拾っていこうと思います。

そして、時間が許せば久々に房総の桜を撮ってみたい…自分がカメラ趣味を始めたころ、小湊の桜はそりゃ撮ってない人がいない訳じゃなかったけど、割と枯れたじいちゃんカメラマン中心の地味な集まりだったと思う。しかしながら、いろいろ紹介されて有名になってしまった結果、年々桜の時期はアホみたいなフィーバーになってとても撮影どころではないと聞きすっかり足が遠のいてしまった。本日の画像はカメラ趣味が駆け出しの頃の10年ほど前の写真。キットのズームレンズと安い三脚で一生懸命撮ってみた、高滝の駅の一コマです。
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自社発注車の誉れ

2018年03月20日 22時36分27秒 | 富士急行

(去りゆく者同士の語らい@河口湖駅)

そう言えば、先日のM51編成最後のホリ快富士山、引退の決まっているM51編成と河口湖の電留線で肩を並べたのが富士急の5000型。「トーマスランド号」として長年親しまれてきた編成ですが、この編成も老朽化に伴って平成31年の春に運行を終了することが発表されてしまいました。JR205系ベースの後継のトーマスランド号が落成し、3月21日から走り始めることも理由のようです。


昭和50年製造と車歴は40年を超える車両ですが、高運転台のスマートないでたちは古さを感じさせません。富士急初の冷房搭載車両として華々しくデビューした輝ける自社発注車。富士急の現役車両は、この5000型を除くと京王の5000系にJRの205系に特急車は小田急とJR東海のあさぎり号ですから、長年に亘って唯一の生え抜き車両としての地位にあります。増備されるかと見せかけて、富士急に新造車はカネがかかりすぎるのか僅か1編成の導入のみで終わったところや、他編成と併結出来なくて使い勝手が悪いというトコが長電のOSカーっぽい。1編成しかないから、代替の部品調達も大変なのだとか。


どうしても地方私鉄はフトコロが厳しいから、新造車を導入するよりは大手私鉄やJRのお古を入れがちで、没個性になってしまうきらいがありますよね。それだけに、個人的には「地方私鉄の自社発注車」というものにかなりの価値を認めているので、「引退」の報を聞いて非常に残念な思いがします。もちろん潤沢な資金があれば自社発注車をバンバン入れるんだろうけど、乗客がそうそう増えるわけでもないローカル私鉄の設備投資というものが難しいのは百も承知。富士急なんか名車の誉れ高い京王の5000を今でも相当量現役で残してくれてるんだから、むしろありがたいお話ではあるのですがね。


そうそう、これも個人的な意見になっちゃうんだけど、富士急5000が引退するんだったら、どっかのタイミングでこのアイスブルーと群青色のデビュー当時の色に塗り戻して欲しいなあと思うわけでして。トーマスランド号の子供好みのハデハデな感じもいいんだけど…原色回帰はおっさん鉄ヲタのささやかな願いであります。やってくれたらきっと富士急通っちゃうんだろうなあ。
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