青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

今行かずしていつ行く ~辺境のR352 Part1~

2008年10月19日 12時42分30秒 | 日常

(画像:R352おにぎり)

麻生バラマキ経済対策の一環として、深夜0~4時の高速道路料金が現在半額。
距離無制限のスペシャルプライスセールでもあり、今週もある程度の遠出を検討していた。
ガソリンもようやく近所で147円と許容出来る金額に下落して来たからね。
ニュースでは山から紅葉の便り。画面では日光いろは坂の数珠繋ぎの大渋滞。混むの分かってて行くのだから乙としか言いようがないが、気持ちは分からないでもない。写真を撮り始めてから「季節感」に敏感になって来たのだが、秋はやっぱり紅葉の季節だし。

紅葉が見頃と言う事は、関東甲信越の酷道もそろそろ閉鎖時期が近付いて来たと言う事でもある。日光の金精道路も志賀草津道路も(酷道ではないけど)紅葉の観光が一段落すると冬季クローズの準備をするからねえ…自分なりには結構ツブしていると思ってたんだが、つぶさに見れば関東周辺の酷道未処理案件はまだ結構あるんだよね。代表的なのはR152か…結局今年も行かなそうだな。冬季閉鎖になっても来年になればまたどの道も開通するんだろうけど、今度は自分が来年行けるかどうか分からないと言うジレンマが(笑)。

と言うことで、今週のテーマは「酷道と紅葉」。
goo天気(愛用させてもらってます)の紅葉情報を頼りに調査したところ、私の愛する奥会津では奥只見湖が紅葉の見頃を迎えているとの情報。6月の終わりに行ったばっかだけど、R352も未処理だった事もあるしいっちょ行ってみるかあ!

  

と言う訳で圏央道日の出ICから深夜の関越をひた走り六日町ICへ。料金2,800円。安っ!深夜割引は距離無制限だから、遠くへ乗れば乗るほど効果大って事ですな。R352は延々と人気のない山間のワインディングが続く為、燃料は小出IC近くの出光で改めて満タンに。「道の駅ゆのたに」でトイレを済まして準備は万端のスタートはAM5:30。まだ夜が明けてない(笑)。

大湯の温泉街までは田園の中を行く2車線平坦ルート。奥只見湖までも「奥只見シルバーライン」と言う全線トンネルの快走路があって青看もそっちを指示している。R352はここから枝折(しおり)峠へ向けての長い長い峠道の隘路を延々と登って降りて行かなければならず(当然冬季閉鎖)、最終的には峠の向こう(銀山平)で合流するこの2ルートだが、時間にして15分と1時間くらいの違いはありそうだ。それは当然望むところだが(笑)。
「狭くて落っこちて死人が出てるからなんたらかんたら」と言うお約束の掲示板をせせら笑ってから大湯の温泉街を抜ける。栃尾又温泉へ行く道を右に分け、ハギーさんがご宿泊なさった駒の湯温泉入口から道はいよいよ山岳コースに。薄暗がりの中で山登り開始。


その1 枝折峠へ
    

このR352枝折越え(すいませんこないだまで「えだおり」だと思ってましたw)の北東約20kmに過日レポした「R252六十里越」があるんだけども、距離が近いせいか何となく雰囲気も似ている。違うのは、明らかにこちらの方が車線が狭い。僅かに2車線もあるが基本的には1~1.5車線で、カーブごとのミラーも設置されてたりされてなかったりなのでブラインドの向こうには神経を使う。けれども道としては舗装もしっかりしてるし、狭い場所にはちゃんと退避場所もあるし、酷道経験がある人にしてみたら案外イージーじゃないですかね。何年か前までは路線バスも走ってたらしいし。
標高350mの駒の湯分岐から1065mの枝折峠まで標高差700mの登りは、登るにつれてどんどんと見晴らしが良くなり→紅葉が始まり→ちょw崖下怖いよww→ガクブルと言う感じです(笑)。通って来た道がはるか下の山の中腹に続いている。眼下に見晴るかす風景は越後魚沼の山並みの連なりで、日の出前の最後の夜の蒼さと言えばいいのかな。一番右は峠手前から見た越後駒ケ岳(2003m)。頂上にうっすら朝日が当たって紅色に染まっております。

その2 錦秋の日の出

   

駒の湯から約1時間で枝折峠到着。峠には広場とトイレに駐車場があり、越後駒ケ岳への登山者のベースキャンプともなっているようだ。到着と同時に朝日が奥会津の山々を照らす。峠の東側斜面に朝日が差し始めると、眠っていた紅葉がその色も鮮やかに稜線に浮かび上がり、まさに錦秋。風はおっそろしく冷たく、慌ててフリースを着て日の出の一部始終を見届ける。麓の銀山平と奥只見湖はすっぽりと雲海に隠れ、太陽の照射による温度上昇で滝のように雲が麓へ流れて行く。この現象は田子倉湖でも見たなあ。 

その3 奥只見シルバーライン

  

枝折峠から奥只見湖半の銀山平へ降りて行くと、やがてすっぽりとミルク色の霧に包まれて視界が効かなくなる。雲海の中に入ってしまったようだ。銀山平も雲の中。これはしばらく雲が切れるのを待つしかないのかなあ…と言う事で枝折峠の下をくぐって来た奥只見シルバーラインをちょっと冷やかしておく。写真は銀山平口。
奥只見シルバーラインは奥只見ダムの電源開発用に作られた18km/23kmがトンネルの電源開発用道路で、コンクリートむき出しの殺風景なトンネルが延々と続く。地下水で路面がどこもビシャビシャしており、走行音の反響が轟音となって跳ね返って来る。銀山平から奥只見ダムの堰堤までは約8km、終点にはお土産屋さんと湖への遊覧船乗り場をつなぐリフトがあるが、湖面は見えず。「秘境・奥只見」の看板を撮影し、銀山平へとんぼ返り。

その4 レイクサイドは三国志

    

銀山平から再びR352へ戻り、さらに奥只見湖の奥へ。ノコギリの歯のようにギザギザしている湖岸を等高線通りにクネクネと走り始めたが、銀山平から走り始めても付近は霧に包まれたまま。湖面も見えなきゃ山も見えず、紅葉がぼんやり霧の中に浮かんでいるだけである。ようやく神蜂と言う地点で(このへん)尾根を越えた辺りから霧が晴れ、朝の陽光に輝く紅葉と奥只見湖の湖面が見えて来た。奥只見湖は入り組んだ形をしており、霧の溜まった谷から別の谷に移ったからなんだろうね。
霧が晴れ、視界が開けたところで改めて奥只見湖の広大さと山深さを感じる。よくぞこんなところを開発して道をつけたもんだと思う。周辺の木々は実に様々な色に紅葉し、見ていて飽きない。見上げれば断崖絶壁の岩山(「東ノ城」と言うらしい)が真っ赤に染まっており、なぜか「赤壁の戦い」なんて言葉を思い出したw
断崖の上から落ちてくる何本もの沢筋は、この手の道にはお約束の路上河川となって奥只見湖に注いでいる。道はこの部分に段差があったりして多少神経を使う程度。基本的に銀山平から雨池橋にかけては起伏も少なく、それなりに道は狭いが離合困難と言う感じもしない。ちょうど何年か前にハギーさんと行ったR425(尾鷲~上北山)みたいな雰囲気。あそこも池原ダムの淵を延々と走らされるし。

その5 漆黒の湖

   

画面左が雨池橋。ここまでは中ノ岐川が作った谷の淵を走って来たが、この橋を渡ってからはまた次の谷筋へ向けての尾根越えとなる。細越山(1070m)と言う山を越えて行くのだが、尾根へのアタックを開始すると左下に奥只見湖の湖面が遠く離れて行く。途中の俯瞰ポイントから見た奥只見湖は、谷に墨汁を流したかのように黒々とつややかだ。その湖面に空の青さが鏡のように映っている。この景色で見えているのは奥只見湖の支流谷の一部だけだと考えると、どんだけ大きいんだって感じなんだが。尾根越えを果たし恋ノ岐川と言う沢筋を越えると、銀山平からの遊覧船が到着する船着場がある。ようやくここでR352は奥只見湖と別れ会越の県境を目指すのだが…つか、まだ県変わってなかったんかよw

船着場からしばらくは平地が続き(写真最右)集落らしき?ものも人家もあるのだが、打ち捨てられた山里と言う感じでどうも定住はしてないみたいですね。まあ冬季は道路が閉鎖するし、何しろ自然が強烈過ぎて文明が霞んでしまいそうな感じの辺境地帯ですから暮らして行けないでしょう。農作業をしている人は通いなんじゃないかと思う。通うのも大変そうだがなあ。

続く。

コメント
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