青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

一葉毎の一期一会 ~辺境のR352 Part2~

2008年10月20日 22時22分16秒 | 日常

(画像:会津そば)

新そばの時期ですねえ。
特に東日本の山間部はそばが名物の所が少なくないですが、ここ奥会津もそばは美味しい。
「アサギ大根」と言う辛い辛い大根の絞り汁を入れてすするのが会津流なんだそうです。
ここのそばにはアサギ大根が付いてなくてちと残念だが、大盛りにたっぷりの野菜天がついて700円。
そばは太めで、ツルツルと言うよりブリブリとして、しっかりした口ざわりと噛みごたえがありました。

その1 会越国境

    

R352は奥只見湖から離れ、しばらくはやや平坦な地帯を進む。途中には赤岩平、下折立と一応名前が付いた集落もあるみたいですが、前述の通り集落として機能はしていないですね。僅かに季節営業の山小屋兼喫茶店みたいなのはあったけどね。帰宅して知ったのだが、この辺りは1960年代までは集落として機能しており、学校などもあったらしい。福島県の檜枝岐村の子供と、新潟県旧湯之谷村(現在の魚沼市)の子供が通う、行政を股にかけた珍しい分校だったのだとか。
道は特に前触れもなくしばらく寄り添っていた只見川の源流を渡ると、ここからは福島県の檜枝岐村。この橋が県境。金泉橋と言う小さな橋です。めぼしいポイントと言うポイントもない道の一区切りと言う感じの場所なので、道行く車のだいたいが何となく車から降りては、果てしなく続く山道の中で小休止を取っている。檜枝岐方面から下ってきたキャンパーの記念撮影などを頼まれつつ、赤い橋の欄干に捕まって大きく深呼吸。アホみたいに青い空だ。尾瀬を源流とする只見川の流れは極めて清冽で、瀬を噛み岩を漱ぎ流れる。そのまま飲んだってうまかろうね。

その2 尾瀬御池口へ

   

金泉橋からはさらにしばらく小沢平、砂子平と言う山間の平坦地を行く。耕されているのは僅かな耕地のみで、あとは荒れ放題。ほとんどがススキの野原に還りかけている。耕地の向こうには雑木林が続いているが、やはり高度が上がってきたのか白樺の木なんかが混じり始めている感じ。車窓右前には尾瀬の秀峰・燧ケ岳(2346m)の姿もチラッと見えた。
道はその燧ケ岳の北側の裾に取り付くように最後の登りにかかる。この辺りがR352の中で一番酷かなあと言う感じで、断続的な急勾配と急ヘアピンが続く。山の風に舞った落ち葉が路面を覆い、パリパリサクサクとタイヤの落ち葉踏み。落ち葉の下に隠れた側溝があったりするので気が抜けない。ソニー損保のCMじゃねえが、もしもし?脱輪してしまって…って電話したところで携帯通じねえんだよ!(笑)。つか、奥只見に入ってからソフトバンクの携帯は全く用を成さない。大湯温泉からかれこれ3時間圏外になったままだ。やっぱ辺境はドコモか。
何となく登り切ったかな、と言う感じで視界が晴れ、山には針葉樹の茶色が目立つようになった頃突然青看が現れて尾瀬御池口に到着。ここで尾瀬散策へ向かうハイカーは強制バス乗り換えで沼山峠へ向かうのだ。上高地方式やね。沼山峠から尾瀬は徒歩一時間。大きくキレイなロッジがあり、トイレでも借りようかなと思ったのだがロッジのスペースに入るだけでも駐車場の無粋な遮断棒。「一日2,000円」と言う阿鼻叫喚。トイレも借りれませんかそうですか。

その3 君が美しすぎて

    

尾瀬御池口を過ぎると道は2車線に広がり、サミットを越えた道は快走路となる。下手をするとスピードが出過ぎてしまうので、エンジンブレーキを多用しつつクリアー。あ、運転のスタイルとして私はオートマの車でもやたらセカンドやローを使いEBを効かすんですが皆さんはどうでしょうか。ブレーキを踏み込んだ時のガクッと言う衝撃が嫌いなんですけどね。パッドも減るし。信号で止まる時もEBを充分効かせてから最後にフットブレーキで停める感じ。元々乗ってたアコードはD→D3→2→Lと4段マチックになってて良かった。
檜枝岐村の中心部へ下る途中にある「モーカケの滝」。峠を越えて水系は只見川から檜枝岐川に移っているが、その支流であるモーカケ沢にかかる滝のようです。裾広がりの「裳をかけた」ような滝だからモーカケの滝。なるほどね。展望台では地元の写真愛好家諸氏が撮影大会。滝もいいけど、展望台付近の柔らかい秋の木漏れ日に映える紅葉は…見事としか言いようがないっすなあ。

その4 一期一会

   

福島県南会津郡檜枝岐村。平家の落人伝説が残る本州有数の辺境地域でありましょう。とにかくどこから来るにも果てしなく遠い感じがする。鉄道へ乗るには会津田島へ60km、只見へ50kmくらいなもんだろうか。ただ、そんな辺境の特別豪雪地帯と言う事で公共投資がすさまじいようで、道の具合はすこぶるよろしい(と言うか南会津全体がかなり道はいいと思う)。町並みも開発された尾瀬檜枝岐温泉を中心に各戸に温泉が引かれ、割合とパリッとした観光村落と言う感じです。思ったより鄙びてない(笑)。「檜枝岐の裁ちそば」と言えばそば通を唸らせる一品だとの事で食ってみたかったのだが、時間が早過ぎて店が開いてなかったwこのために「うどん・そば板」とかまで行ったのに…人生で初めて行ったぞwwちなみに檜枝岐村、そばが名物なせいなのか「大根卸」と言う集落がある。ワサビとネギもいいけど、いいそばだとおろしそばの方が美味しいと思うのです。

「峠周辺の紅葉は見事!」と言うツリマプの誘い文句に乗せられて、檜枝岐の集落からR352を折れて木賊温泉へ向かう林道に入る。林道と言えども全線2車線のきれいな道で、まあ仰るとおり紅葉は相変わらず見事でありました。つか、他に言う事はないんかい(笑)。つか、紅葉と一口に言っても時間による光の加減によって見え方が変わるし、赤と黄色の混じり方も場所によって違うし、それに常緑樹が入ってたりすると紅葉がより引き立ったりする。場所によって同じものがない。一葉ごとに一期一会だと思うですよ。
個人的には午前8~10時くらいの朝の爽やかな光線で、青空をキャンバスに、黄色と赤は1:1くらいで、その中に常緑樹の緑が入ってるのが一番美しいんじゃないかと。右から2番目のような感じかな。道は峠を小さなトンネルで越えると木賊温泉へ下りて行き、「歓満の滝」を見学。落差は少ないが、なかなか水量の豊かな滝を見つつR352の既消化区間にぶつかりここでフィニッシュ。一応これにてミッション完了。お疲れさまでした。

奥只見&奥会津の紅葉、素晴らしいです。
2年前に鳴子の紅葉を見た時に「これ以上の紅葉はないだろう」と思ったんだけどね。
それに匹敵するくらいのインパクトはあった。物量的にはこちらの方が上かもしんないね。
鳴子は鳴子峡周辺のピンポイントだけど、こちらは延々と70kmくらい見頃が断続的に続くからねえ…
こんな道なかなかないだろw大湯温泉から数えて5時間くらい紅葉見っぱなしだったぞw
もう2年くらい紅葉見なくてもいいんじゃねーかと(笑)。

時間は午前11時。
一応ミッションは終了したのだが…
せっかくここまで出張ったのでもーちっと遊んでこっと。
奥会津おかわり。

続く。

コメント
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