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青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。写真はおおめ、文章はこいめ、コメントはすくなめ。

武甲梅見候

2019年03月13日 20時00分00秒 | 秩父鉄道

(秩父の街を静々と@影森~御花畑間)

石灰石を満載にしたヲキ車を牽き連ねて、御花畑の駅の手前の坂道を降りて来るデキ102。「だんござか」と呼ばれる坂道の踏切から。秩父夜祭では、この坂道を勇壮に山車が登って行く姿が一番のクライマックスなのだとか。手前の線路は、西武秩父駅の構内と御花畑の駅を結ぶ連絡線。西武線内からの長瀞・三峰口行きの列車は手前の横瀬の駅で4両ずつに分割され、長瀞方面への乗り入れ列車は西武秩父の駅には寄らず直接この連絡線を通って御花畑の駅に直行します。


桜にはまだまだ遠い秩父路でしたが、私が行った際にはちょうど梅が見頃でした。梅の花を横目に、三ヶ尻の工場を目指す鉱石列車。現在の秩父鉄道では影森からの三輪鉱山の石灰石と、武州原谷で積む叶山鉱山(群馬県)の石灰石と、二つの鉱山から採掘された石灰石を輸送しておりますが、三輪鉱山(武甲山)からの石灰石の方がややクリーム色を帯びているのだとか。


この「だんござか」の踏切からほど近い場所にあるのが、秩父名物「珍達そば」。秩父名物ってーと「わらじカツ」だとか「豚みそ」だとか「ホルモン」だとかのいわゆるB級グルメが幅を利かせていますが、この「珍達そば」もご興味あればぜひ食べていただきたいご当地ラーメン。豚バラと大量のネギを炒めてしょうゆ味のとろみスープに合わせたのが、細打ちのムニュムニュしたストレート麺にどっさり。香り付けのゴマ油の香りが立っていて、これはメシにも合うラーメンですねえ。ごちそうさまでした。
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還暦過ぎなお溌剌と

2019年03月11日 22時00分00秒 | 秩父鉄道

(三輪坂ダッシュ@影森~三輪鉱山間)

影森から三輪の鉱山までは20‰の断続的な登り坂。空車とは言え、デキが20両を超えるヲキ車を牽き上げて行くのはなかなかの迫力であります。冬の時期は両パン上げて走るのが通例なんですが、2月も終わりの頃でしたんで三輪鉱山の2便を引っ張って来たデキ303は片パンでやって来ました。ムムムッ(片パンでもデキはデキだけど、やっぱり両パンがいいよね派のココロの葛藤の唸り声)。


気を取り直して第3便。お。今度は最古参のデキ102が牽いてきました。切妻顔のデキ102。デキ100の系列では松尾鉱山からやって来たヒサシ付きのデキ108が人気ですけど、ペタンコの表情が国鉄でいうとEF15っぽさを感じる秩父生え抜きのデキ100番台も好み。小学校の頃、二ヶ領用水で釣りをしてると、101系のカナリアイエローに混じってたまーにEF15が牽いた石灰石列車が通り過ぎて行ったものだ。


手前に引きつけてもう一枚。デキ102は昭和29年日立製作所製造の、御年65歳の大ベテラン…なのだが、津軽で御年90を超える電機を見て来てしまっているだけに何というかまだまだお若いですネ、と言った感じだ(笑)。実際、塗装なんかもきれいに塗られているし、パンタ周りから流れた油染み一つないし、身なりが整っているせいでそんなにくたびれたような感じもしないのだ。JR貨物のカマなんか、新しくてもエライ汚い使われ方してるのいっぱいあるのにね。

むしろ、言っちゃあナンだが秩父は旅客に使ってる電車の方がよっぽど汚いような気が…(え)。
特に東急から持って来たステンレス車、窓とか車体にレールの鉄粉がこびり付いてるざますよッ!(小姑的モノ言い)。
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鉱山鉄道の情景

2019年03月10日 17時00分00秒 | 秩父鉄道

(三輪線詣で@影森・湯乃澤橋)

長々とお付き合いいただきました津軽の旅から、場面はがらりと変わって早春の秩父路へ。秩父のデキが両パンで走る冬の期間のうちにお目にかかっときたかったのと、そういや最近本線貨物ばっかり撮影していて影森の三輪鉱山に行ってなかったなあと思いましてね。家から青梅~名栗~山伏峠経由で影森まで2時間半、撮影場所の影森の跨道橋に到着したところ、踏切の看板に最新の三輪線の時刻表が貼ってあった。警報機のない4種踏切、札所巡りのお客さんへの道案内も兼ねた、地元のファンの方の作品のようです。ご丁寧な案内痛み入るところであります。


三輪鉱山の朝は、前の日の夜に影森の駅まで戻された返空の2列車が、8時~10時くらいにかけてそれぞれヤマに鉱石を積みに行くところから始まります。これは結構昔っから変わってないような気がする。踏切の脇に陣を構えて構図を整え、今日は第1便がヤマから降りて来るところからスタート。カーブの向こうから鉱石を満載にしたヲキ車を牽いて、重厚な吊り掛け音とともに坂を下って来るデキ105。秩父のデキはいつも手入れが行き届いてピカピカなのがホント気持ち良い。


エンジン音を山に響かせて、空車のヲキをホッパーに引き入れるDL。三輪鉱山のいつもの風景です。イギリスに産業革命をもたらした蒸気機関の発明は、石炭の燃料ニーズを拡大させ、石炭の積み出しのために蒸気機関を用いた鉄道が敷設されて行きました。こと日本でも、筑豊や北海道の炭田地帯には明治初期から官営による鉄道の敷設が強力に推進されたように、今日における鉄道の発展において「鉱山鉄道」というものは、ある意味鉄道の原点と言えます。

日本では石炭と石灰石が鉄道における鉱山輸送の中核を成してきましたが、先日、長年に亘って石炭輸送の灯火を繋げて来た釧路の太平洋石炭販売輸送がとうとう運行の休止を決めてしまいました。この三輪線の風景は、平成も終わろうとする現在においてもなお、鉱山と鉄道との関わりを確かめられる、未来に残したい鉄道情景だと思います。
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眼福茶釜

2018年02月14日 22時17分08秒 | 秩父鉄道

(チョコ色のデキ505@武川駅)

バレンタインデーらしく、チョコ色(茶色?)の電気機関車を。スカイブルーのカラーリングが中心の秩父デキですが、光沢のある丹色のデキ201、チョコバナナこと黄色に茶帯のデキ502、そしてこのチョコ色のデキ505は秩父のカマの中でのレアキャラと言えるのではないでしょうか。この日はヒサシガマが東武の甲種に入り、デキ201が貨物の本務機に入り、そしてデキ505まで運用に入っていたというネタガマ愛好家万々歳の一日でありました。


操車係さんが手旗を使っての入換風景。秩父のカマはデッキがある分まだバランスは取りやすそうですけども、生身の体で鋼鉄の塊に捕まって旗を振っているのですから簡単そうに見えていつ事故があってもおかしくない危険な仕事だよなあ。落ちて轢かれでもしたら一巻の終わり。趣味としてレンズを受けさせていただいていることに感謝せにゃならない、まさしく身を挺しての仕事です。


前日夜に武州原谷から7108レで送り込まれてきたヲキを継走して、デキ505が7004レとして三ヶ尻の工場へ鉱石を運び込みます。あと一区間なんだから前の日に運び込んでおけばいいじゃないかと思わなくもないのですが、そこは工場の操業時間とか機関士さんの行路とか諸事情があるのでしょう。秩鉄貨物の運用を見ていると、影森留置はあっても三ヶ尻留置はないようなので。


デキ201とデキ505がともに運用に就いていたために、この日は茶釜系のデキ両機が和銅黒谷で交換するシーンなども見られました。


有効長の長い副本線に7404レを待たせ、返空の7005レがゆっくりと和銅黒谷駅を通過して行きます。駅横の踏切には、子供に貨物列車を見せに来たらしいお母さんが散歩に来ていて、小さい子がしきりに手を振っていました。貨物の和銅黒谷交換というのはダイヤ的に結構あるのだけど、201と505の交換シーンと言うのはなかなか珍しいものを見たなあと言う感じ。いつもの風景の中の、今日はちょっと特別なスペシャル・デイなのであります。
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こっそり愛でる希少価値

2018年02月10日 23時00分00秒 | 秩父鉄道

(石炭ホキ三ヶ尻便@デキ103)

扇町から熊タまでは20両。そして熊タで10両ずつに切り分け、一旦武川に引き込んでから三ヶ尻の熊谷工場へ届けられるホキ10000による石炭便。この日の担当はデキ103。ヒサシガマ(デキ108)来い!と思っていたのですが、どうやら松尾のヒサシは甲種輸送の任に就いているようです。


何度も書きますけど、秩父鉄道の機関車たちはまず間違いなくピカピカに磨き上げられていて、すこぶる丁寧に扱われているところが良い。青空の下の空色の機関車、裾をキリっと締めるホワイトのラインもいいアクセント。ブリルのエッセンスを残した古典的な棒台枠の台車もポイント高いですね。


武川を出発して、三ヶ尻線への渡り線へ進入する704レ。ホキ10000という私有貨車が使われている事と、日本唯一の「石炭列車」である事。その希少価値は高いはずですが、どうにもその存在は地味。でも、地味でいいんです。北関東の冬の青空の下で繰り広げられる私鉄のD級電機と大柄な私有貨車の組み合わせを愛でる楽しみは、こんな記事で大きな声で語らなくても、好きな人がひっそり楽しんでいればいいと思います(笑)。
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