【おさびし十首選 かばん3月号①】
春がすみ世界同時さみしい春の日に車道の上をビニール傘は(山下一路)
「かなしゅうて悲しゅうて」強炭酸ふき出してるマッコウクジラ(山下一路)
コンビニの袋の底に匙ふたつあとから気づく好意のような(漕戸もり)
ひまわりの前に立ちつくして母が叱るいちばん好きな弟(土井礼一郎)
じやがいもの芽をくりくりと摘んでゆく素敵な母でゐるはむづかし(大黒千加)
逃げ水の背中にかつて鳴っていたマリンバ 敵でも撃てばかなしい(桐谷麻ゆき)
さびしさを勇気と勘違いするとよいでしょう 長い雨に素潜り(桐谷麻ゆき)
冷えた胸に触覚だけがとめどなくあなたがわたしの皮膚だったのだ(桐谷麻ゆき)
大切に焼いたお好み焼きにすぐ情がうつるし一緒に住んでる(戸田響子)
死者からの文をながめる冬たけて死者への文を出すポストなし(佐藤弓生)
春がすみ世界同時さみしい春の日に車道の上をビニール傘は(山下一路)
「かなしゅうて悲しゅうて」強炭酸ふき出してるマッコウクジラ(山下一路)
コンビニの袋の底に匙ふたつあとから気づく好意のような(漕戸もり)
ひまわりの前に立ちつくして母が叱るいちばん好きな弟(土井礼一郎)
じやがいもの芽をくりくりと摘んでゆく素敵な母でゐるはむづかし(大黒千加)
逃げ水の背中にかつて鳴っていたマリンバ 敵でも撃てばかなしい(桐谷麻ゆき)
さびしさを勇気と勘違いするとよいでしょう 長い雨に素潜り(桐谷麻ゆき)
冷えた胸に触覚だけがとめどなくあなたがわたしの皮膚だったのだ(桐谷麻ゆき)
大切に焼いたお好み焼きにすぐ情がうつるし一緒に住んでる(戸田響子)
死者からの文をながめる冬たけて死者への文を出すポストなし(佐藤弓生)