「超」入門 失敗の本質

2012-05-25 | 
「超」入門 失敗の本質 日本軍と現代日本に共通する23の組織的ジレンマ
鈴木博毅
ダイヤモンド社


1980年代に書かれた、「失敗の本質」という本を、現代日本・特に企業での組織の問題に重ねて解説した本です。
そもそも、「失敗の本質」、という本は、太平洋戦争時の日本軍の組織論を分析した本。実は今回読んだ本を読む前に挑戦しようと思ったのですが、最後まで行き着かないな。。と、感じたため、先にこちらの解説本に手を伸ばしました。

日本軍がなぜ負けたか、という点を、圧倒的物量・だとか、軍部の暴走、だとか、漠然とした理由に求めず、組織論から検証した上で、今・日本企業が世界中でなぜ苦戦しているか、を分析しています。

頭でわかっていて、肌で感じていても説明できないことって良くありますが、この本は、私が常日頃感じている日本的な企業体質について、明確な言葉で表してくれています。
そして私の過去の体験に当てはめると、非常にしっくりくる、というか、あのときの会社の判断は、こういった日本的気質から来ているのか。。と、妙に納得してしまいました。

分析の一例。
アメリカはレーダー開発を必死に行い、それが現場で多いに役立ったが、日本はレーダーの開発自体をバカにし、そんなものが使えるわけがない、と、現場がこういった新しいものを全く受け入れなかった。
→ 今までの成功体験の「型」のみを伝承し、成功した「本質」が、組織自体に伝承されていない。幹部が「知らない」というだけで、現場の能力を蔑視してはならない。現場の自主性・独立性を尊重することは、能力を最大限に引き出すことになる。

日本は、局地敗戦の責任をとらなければならない幹部が、「敵討ちさせてください」という願いを請け、再度前線で指揮をとり、更なる敗戦を繰り返した。無能・無謀でも、勇壮で大言壮語し、やる気を見せるなら罪に問わない体質
→ 信賞必罰ではない人事は責任の所在を曖昧にする。人事や評価制度は会社の価値観の社員へのメッセージでもあり、それ次第で現場のやる気が大きく殺がれ、脱力感・無力感を有むこととなる

アメリカは敵・味方の行動を分析し、勝利へ繋がる効果的な戦略を選ぼうとする。
日本は、経験からの偶然の気づきから指標を発見し、成功体験のコピーのみで突き進もうとする。(成功の本質を理解していない)

などなど。。

現場と上層部の乖離や、日本的精神論、更には技を究極まで研ぎ澄ませる日本的な技術革新が、実際のマーケットとどのように乖離しているか、という話しなどは、軍隊も日本企業も全く同じ行動パターンに陥っているようです。
なるほど言われてみれば、どの会社も似たりよったりの内部的問題を抱えているものです。

組織・特に大きな組織にお勤めの方にお勧めの本です。







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