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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ポスター犬13

2013年01月11日 | 工房『たんぽぽ』
すみません・・・また犬ではなくて・・・



ペンギンでした。
近頃ちょっと犬に飽きてます。





「ドリームハウス」は、ダニエル・クレイグ出演のサイコ・スリラーで
ぜひ見たいと思っていたのですが
あっという間に夜の回しかなくなってしまい、
見そこねました。
早く、DVDで出ないかな。




というわけで、北極コンビ、いや、南極コンビ・・・?
しまった!
よく考えてみたら、シロクマとペンギンが一緒に住んでいるのはあり得ない!

札幌の動物園ってことで
ご勘弁を・・・
しかし本当に、シロクマやペンギンがそこらを歩いていてもおかしくないくらい
冷え込んでいる昨今の札幌です。

「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」 赤川次郎他

2013年01月09日 | 本(ミステリ)
それぞれの金田一

金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲 (角川文庫)
赤川 次郎,有栖川 有栖,小川 勝己,京極 夏彦,柴田 よしき,服部 まゆみ,菅 浩江,栗本 薫,北森 鴻
角川書店(角川グループパブリッシング)


            * * * * * * * * *

横溝正史生誕110周年記念ということで、
金田一耕助に関連した豪華執筆陣のオマージュ作品集。
京極夏彦、有栖川有栖、北森鴻、栗本薫、柴田よしき
・・・などなど。
すごく贅沢なラインナップです!
金田一耕助の登場の仕方もそれぞれです。

金田一耕助活躍の時代そのままに真正面から取り組んだもの、
時代を少しずらして、老いてなおカクシャクとした金田一像を描いたもの。
近田一耕助や、金田耕一、
錦田コンビや、"金""田""一"トリオという風に名前にこだわったもの・・・。
それぞれですが、金田一耕助を皆さんが愛してやまないことが伝わります。


私が好きだったのは・・・

「ナマ猫邸事件」 北森 鴻
「クビのない死体」事件を描いていますが、
そもそもこの事件の動機がふるっているのです。
探偵役は近田一耕助。
しかし、その姿は金田一耕助とは全く異なっていて、
迷彩服の上下に黒いサングラス、おまけにスキンヘッド!!
これはもう、元作を忘れてこのユーモアを楽しむしかありません!


「雪花 散り花」菅 浩江
時は現在。
金田一探偵事務所と掲げた看板のもとにいるのは
留学生キム、パソコンを通じてしか登場しない田(デン)、そして一(ニノマエ)のトリオ。
すなわち三人揃って金田一。
ですが、彼らは金田一耕助にふさわしい事件しか扱わないと豪語しております。
まさに現代的展開ですが、
舞台を京都としたことでレトロな事件背景を用意。
パズル的なダイイングメッセージとわらべうたの見立ても登場。
読み応えのある一策となっています。
このトリオがいいですよね。
シリーズとして、もっと読んでみたい気がします。


「松竹梅」服部まゆみ
時は昭和40年。
少し老いた金田一耕助その人と、
警察を引退した等々力元警部が登場。
風邪をひいて訪れた医院で、歌舞伎の切符をいただくことからストーリーは始まります。
双子の老女と、嫁、医師の愛人・・・
いかにもな登場人物たちと、歌舞伎座で起こる殺人事件。
それらしい雰囲気で楽しめました。


「金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲」赤川次郎他 角川文庫

満足度★★★★☆

ホビット 思いがけない冒険

2013年01月08日 | 映画(は行)
またひとつの冒険の旅が始まった



            * * * * * * * * *


「ロード・オブ・ザ・リング」の前章というべきこの作品。
単なる前日譚かと思えばこれがまた、
「ロード・オブ・ザ・リング」と同じく3部作の予定で、今作はその第1部となります。
「ロード・オブ・ザ・リング」の3部が制作されたのが2003年。
・・・となればもう10年も前になるんですか?? 
ついこの間見たような気がしていましたが。
あの時もCGの素晴らしさに目を見張ったものですが、
今作は更に3Dとなっています。
なるほどそういうところでは時の流れを感じますね。
でも私は今作2Dで見ました。
でも2Dで良かったと思いました。
2Dでも十分に「高さ」は感じられましたので・・・。
このシリーズ、やたらと高いところに登ったり、崖やら吊り橋から落ちそうになったり、するじゃありませんか。
おそらくはじめから3Dを意識したカメラワークなのでしょう。
こういう場所の苦手な私ですので、2Dで十分です。
これ以上リアルなら耐えられない・・・。



さて、前置きが長くなりました。
今作はホビットのビルボ・バギンズが主人公。
「ロード・オブ・ザ・リング」のおよそ60年前の物語です。
ドラゴンに支配されたエレボールのドワーフ王国の再建をかけた冒険の旅が始まります。
ある日突然、魔法使いである灰色のガンダルフが
13人のドワーフをひき連れて、ビルボを誘いに来るのです。
ビルボはこの平和なホビット庄を離れ、命がけの旅に出るなどとんでもないと思うのですが、
ガンダルフの強い誘いと、ほんのちょっぴりの冒険心で、同行を決意。
・・・しかし実はとんでもない決断ではありました!

道中には強烈な障害が次から次へと立ちふさがります。
険しい山の道。
恐ろしいオークやゴラムたち。
13人のドワーフ達は、見かけは粗野ですが、
周囲への目配りや結束力がすばらしい。
ただ一人ホビットのビルボを案じ、危機にはちゃんと助けてくれます。
戦う技も力も持たないビルボは、
皆の足手まといになるのでは・・・とついてきたことを後悔し、
またドワーフのリーダーであるトーリンも、そのように思っている様子・・・。
けれども、ビルボの知恵や機転が、彼らの中でも必要な武器となっていくわけですね。
誰しも、与えられた役割がある。
うん。
ファンタジーには不可欠な要素です。



一番の見所はゴブリンの住むトンネル。
スリリングな高低自在のアクション、まさに息をもつけないという感じ。
そしてあの気色悪いゴラムとビルボがなぞなぞ対決。
ゴラムの気色悪さはまた一段とパワーアップしていましたね・・・。
途中で立ち寄るエルフの里は、やはり美しく、オアシスです。
もっともドワーフたちは野菜や果物しか出てこない食卓に、物足りなさそうでしたが・・・。



兎にも角にも、ビルボはあの「ロード・オブ・ザ・リング」の発端となる指輪を手に入れ、
彼ら一行はようやくエレボールに近づいた
・・・というところで今作は終わりです。
170分もあったとは思えないくらい、全然気が抜けませんでした・・・。
ニュージーランドでロケをしたという雄大な風景もすばらしい。
けれど物足りないのは、
アラゴルン(ビゴ・モーテンセン)やレゴラス(オーランド・ブルーム)のような、
ときめくキャラがいないこと・・・。
なんだかむさ苦しいんですよねえ・・・。
でもやはり続きは絶対見ようという気にはなりました。
シリーズ物でも途中でどうでも良くなってしまうこともあるのです。
トワイライトシリーズとか・・・。
(これは途中で見るのをやめてしまった・・・。)

スリル・アクション★★★★★
満足度★★★★☆

少年は残酷な弓を射る

2013年01月07日 | 映画(さ行)
ひたすら母親の関心を引きたいだけ・・・



            * * * * * * * * *

これはなかなかの衝撃作品でした。
自由奔放な作家だったエバ(ティルダ・スウィントン)は、
妊娠を機にキャリアを捨て、母親に専念することにします。
しかし生まれた息子ケビンは、泣きわめくばかりで全くなつく様子がない。
その後成長していくケビンですが、
常にエバには敵意丸出しで反抗的。
そしてついに彼が16歳の時に大きな事件が起こります。



冒頭は、みすぼらしい家に一人暮らし、
ご近所から憎まれており、
華々しいキャリアがありながら旅行会社の事務員のバイトに甘んじているという
エバの姿が描写されます。
断片的な過去の思い出がフラッシュバックのようにうつしだされ、
次第に彼女の今の境遇の意味がわかってきます。



しかし、こんなことがあるでしょうか。
実の親子でありながら、こんなにも気持ちも愛情も通わない母と息子。
・・・と自分で投げかけた問いでありながら、
私はやはり『確かにある』とうなずいてしまうのです。
今作は「息子のためにキャリアを捨てなければならなかった」という思いが、
どこか彼女の息子への態度がよそよそしくなってしまっていた、
と読み取ることもできると思います。
でも、母親は子どもを無条件に愛せるのか。
生まれた時からすぐに慈愛が湧き出るのか・・・といえば、
私はそうではないと思うのです。
だっていきなり小さな命を守らなければならない立場に立たされるのですよ。
愛情というより、不安の方が大きいということもあるのでは・・・。
だからこそ、育児ノイローゼなどというものもあります。
血が繋がっていれば愛情があるなんていうのは幻想。
言葉をかけ、言葉が戻ってくる。
笑顔を向け、笑顔が返ってくる。
そういうことで愛情は育っていくのではないかな。
でもそれが得られなかったエバを、私は責めることができません。



しかしエバは、そうした自分の育児が、
息子を愛し続けられなかった自分が、
悪かったのかとひたすら自責の念に駆られているのです。
一方、ケビンの気持ちというのは非常にわかりやすい。
とにかく彼は母親の関心を引きたい。
ずっと、ただただそれだけなんですね。
でもその行動が「悪意」としか受け取れないところに問題があるし、
実際、行きすぎてしまうわけです。
あんたはハスミンかい、と言いたくなる。
が、ハスミンは人と共感を持てないというところが問題でしたが、
ケビンの場合は、母親しか見えていないし、
その思いはひたすら一方通行。
母親の困った顔だけが彼の喜びになってしまっているのが問題。
父親にはふつうにいい子なのがまた、憎らしい・・・。



一応“母親”の立場でもある私には、
胸の痛む衝撃作でした。
この愛らしく、長じては美しい顔で悪意を向けられたら、
実際辛いし、怖いですよね・・・。

少年は残酷な弓を射る [DVD]
ティルダ・スウィントン,エズラ・ミラー,ジョン・C・ライリー
東宝


監督:リン・ラムジー
出演:ティルダ・スウィントン、ジョン・C・ライリー、エズラ・ミラー
理不尽度★★★★☆
満足度★★★☆☆


今度から映画作品にも評価を試みる事にしました。
全く個人的な好き嫌いですので、あまりあてにしませんように。
★5つで満点です。
できるだけよいところを見たいので、満足度の他にいろいろな観点を加えます。
今回の「理不尽度」・・・などのように。
まあ、ユーモアとして受け止めていただければ幸いです。
(たんぽぽ)

「追想五断章」 米澤穂信

2013年01月05日 | 本(ミステリ)
青春のさかりを過ぎて方向を見失った時に・・・

追想五断章 (集英社文庫)
米澤 穂信
集英社


            * * * * * * * * *

大学を休学し、おじの古書店に居候する菅生(すごう)芳光。
ある女性から、死んだ父親が書いた5つのリドルストーリーを探して欲しいという依頼を受けます。
リドルストーリーというのは、結末のない物語。
例えば、主人公が最後にひとつの決断を迫られる。
片方は自分の破滅。
もう片方は愛する家族の破滅。
さあ、主人公はどちらの行動を選ぶのか。
・・・そういうところで物語は途切れていて、
後は読者の想像に任せるというものです。


作家でもない彼女の父が、物語を残したわけは・・・、
20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」。
彼はその容疑者としてマスコミを賑わせ、世間からの非難を浴びたのです。
その心中を著すために密かに書かれたストーリー。
・・・そこで私たちはあの事件を思い起こしますね。
海外で妻を殺害された悲劇の男性が、
次には殺人犯としてマスコミが非難を浴びせかけたという。
まあ、この事件がヒントであることは間違いないと思いますが、
だからといって深い意味はないようです。


さて本作、なんと自宅にこの5つのリドルストーリーの結末が書き残され、残っていた・・・ということで、
これではリドルストーリーの意味がありません。
でも、私にはちょっと読めてしまいました。
実は5つのストーリーに結びつく結末は、一つだけではないのではないかと。
組み合わせで結末が変わる。
これは少し洒落ています。


この物語は、物語の謎をたどるミステリでもありますが、
青春の盛りを過ぎて方向を見失った菅生の、再生の物語でもあります。
哀切感ただよい、ちょっぴり苦い大人の味。


「追想五断章」 米澤穂信 集英社文庫
満足度★★★☆☆

シェフ! 三ツ星レストランの舞台裏へようこそ

2013年01月04日 | 映画(さ行)
美味しいコメディをボナペティ 



            * * * * * * * * *

20年間三ツ星評価を守りぬいたパリの高級レストラン「カルゴ・ラガルド」。
そのベテランシェフであるアレクサンドル(ジャン・レノ)は、
スランプで新しいメニューが思いつきません。
そろそろまた新しい評価の時期というのに、
周りからは古くさい料理と囁かれ・・・。
そんな所へ天才的な舌を持つ若手、ジャッキー・ボノ(ミカエル・ユーン)がやって来ました。
彼は腕はいいのですが、あまりにもこだわりが強すぎるあまり周囲と合わず、
いくつものレストランを転々としていたのです。
そんなところで同居している女性が妊娠。
彼はやむなく生活のため壁塗りのバイトをしていたのです。
その時に知り合った老人施設のド素人調理人たちを引き連れ、
カルゴ・ラガルドの星3つを守ろうとする美味しいコメディ。





高級三ツ星レストランもいいですが、
老人施設の調理もいいですよね。
始め老人たちはいつもの食事がいいと、
ジャッキーの料理は見ただけで拒否していたのですが、
ひとたびそれを口にするとすっかり虜になってしまいます。
無論、予算に限りがあり、高級食材などは望めませんが、
ハレの食事の場よりも日々、日常の食事のほうがむしろ大事にも思えます。
まあ、ジャッキーはそれでは満足できないというわけ・・・。





ジャン・レノでなければ見なかったと思いますが、
まあ、実際お気楽な作品なので、暇つぶしには良いかも知れません。
作中に登場した“分子料理”って、よくわかりませんでしたが、
実際こういうのあるのでしょうか? 
赤ちゃんの離乳食ならよさそうですけどね・・・・。



「シェフ! 三星レストランの舞台裏へようこそ」
2012年/フランス・スペイン/85分
監督・脚本:ダニエル・コーエン
出演:ジャン・レノ、ミカエル・ユーン

レ・ミゼラブル(1997)

2013年01月03日 | 映画(ら行)
今にしてみれば豪華俳優陣。一見の価値あり。

            * * * * * * * * *
 
1997年版、ミュージカルではない「レ・ミゼラブル」です。
実は私、これは公開時に見ていたのですが、
ストーリーはほとんど忘れていたおかげで(?)、
先のミュージカル版も、非常に楽しんで見ることができました。
それで、なんでまたこちらを見る気になったかといえば・・・。
当時、まともに映画を見ることがほとんどなく、
俳優さんの名前も何もわかっていなかったのですが、
いま、確かめてみるとジャン・バルジャンにリーアム・ニーソン。
ジャベール警部にジェフリー・ラッシュ、
フォンテーヌにユマ・サーマンですよ!! 
ね、見てみたくなるでしょう?


おそらくこちらのほうが原作に忠実だと思われるのですが、
その違いなどを少々・・・。

幼いコゼットをあずかっていたあの業突張りの夫婦は、
ミュージカル版では何度も登場しましたがこちらでは一度だけ。
確かにミュージカルでは彼らの存在が狂言回し的にふるっていましたけれど。
だからなのか、こちらにはマリウスに片思いの娘、エポニーヌは登場しません。
幼いコゼットを連れたジャン・バルジャンは、
パリの修道院で働いて10年を密かに過ごします。
それというのも、あの馬車の下敷きになっていた男がバルジャンのツテでここで働いており、
彼を頼ってきたのですね。
このへんがちゃんと伏線になっているのがいいな。
通行証がないため、パリの街にまともな手段では入ることができないバルジャンは、
パリを囲む城壁によじ登り、
修道院の屋根に飛び移るというアクションシーンあり。
トム・クーパー監督、はあえてそういうシーンを避けましたかね。


今作の方では特にマリウスが裕福なところの出であるとの説明はありません。
(そもそも学生なので、当時としては皆身分の高いところの子息と思われますね。)
だから命を取り留めて、裕福な実家に帰るというところまでの描写はなし。
・・・まあ、このほうが後味はよろしい。


などなど・・・、
ミュージカルはストーリーも荒削りですが、
もう少しじっくり見てみたい方はこちらもおススメです。


ところで私、どうしても“ジャベール警部”だか“ジェラード警部”だか、
こんぐらかってわからなくなってしまうのです。
そもそもジェラード警部って誰だっけ・・・?
というと、これがあの「逃亡者」を執拗に追う刑事の名前ですね。
主人公を冷酷に追い詰める役ということで、
似たようなイメージの名前にしたのでしょう。
そのおかげで私は未だに混乱しております・・・。
そのジェラードがジェラールになってみたりして・・・。

レ・ミゼラブル [Blu-ray]
リーアム・ニーソン,ジェフリー・ラッシュ,ユマ・サーマン,クレア・デインズ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


レ・ミゼラブル [DVD]
リーアム・ニーソン,ジェフリー・ラッシュ,ユマ・サーマン,クレア・デインズ
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


「レ・ミゼラブル」
1997年/アメリカ/133分
監督:ビレ・アウグスト
原作:ヴィクトル・ユーゴー
出演:リーアム・ニーソン、ジェフリー・ラッシュ、ユマ・サーマン、クレア・デインズ、ハンス・マ

「ナイト・ストーム」 サラ・パレツキー 

2013年01月02日 | 本(ミステリ)
V・I最後の事件・・・!?

ナイト・ストーム〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕 (V・I・ウォーショースキー)
山本 やよい
早川書房


            * * * * * * * * * 

V・I・ウォーショースキーシリーズ最新刊です。
ある夏の嵐の夜、冒険好きの女の子たちが、
墓地で「ヴァンパイア」ごっこをするために親に内緒で集まりました。
ヴィクは従姉妹のペトラに頼まれ、彼女たちを探しに行きます。
ところがそこで、少女たちばかりでなく男性の死体まで発見してしまいます。
ヴィクは少女たちにかかる嫌疑をはらすため、この殺人事件を探り始めます。
また一方、ヴィクの旧友レイドンから至急の呼び出しがあったのですが、
遅れてようやくたどり着いたヴィクが見つけたのは、
バルコニーから転落し、意識不明となった彼女の姿。
どうやら誰かに突き落とされたようなのです。
ヴィクはその犯人探しにも乗り出しますが、
調べるうちに先の殺人事件とレイドンの事件につながりが見えてきます。
いったい誰が、何のために・・・。


いつもながらエネルギッシュで切れの良いヴィクの行動に胸のすく思いがします。
ところで、本巻の章立て、
最後の方に「V・I最後の事件」というのがあるんです。
まさか、ヴィクが引退してしまうとか、いなくなってしまうとか・・・? 
気になりますよね。
ネタばらしはやめておきますが、
いつも自らの体を張って捜査にのぞむヴィクの心意気。
だからかっこ良くて、大好きです。


今作でも社会を鋭く追求する場面はありまして、
リトアニアでのナチのユダヤ人迫害事情、
精神薄弱者への差別など・・・、
ヴィクが胸を痛めるところでもあります。


お馴染みの登場人物たちも元気ですよ。
医師である親友のロティ。
従姉妹のペトラ。(彼女もだいぶ分別を身につけたようです。)
よき隣人のミスタ・コントレーラス。
ペピーとミッチの愛らしい2匹。
今作には、別れた夫、ディック・ヤーボローも登場。
彼はリッチな弁護士で、
あのまま結婚していれば、今頃は裕福なマダム・・・と、
ヴィクはちらっと思ったりします。
まあでも、無理無理。
全然合わない、どうして結婚したのかも謎ですね・・・。
それよりも、ヴィクにとって癒しの存在、ジェイクとは
今作も仲良しのままなのでホッとしました。
ヴィクの男性遍歴からすると、いつかだめになるのでは・・・?
などと私は思ってしまうわけですが・・・。

「ナイト・ストーム」サラ・パレツキー ハヤカワ文庫 
満足度★★★★☆

もうひとりのシェイクスピア

2013年01月01日 | 映画(ま行)
本当は、シェイクスピアは別人!!



            * * * * * * * * *
 
16世紀に活躍したウィリアム・シェイクスイアの作品は多々あれど、
彼自身の個人情報や記録は全くといっていいくらい残っていないのだそうです。
そこで、本当は誰か別人がシェイクスピアの名を語り執筆していたのではないか、
という歴史ミステリとなり、諸説語られているのだとか。
今作はその中でも有力なオックスフォード伯エドワード説から想像をふくらませたストーリー。
実のところ、誰がシェイクスピアでもいいじゃない
・・・という事でもありますが、
ここにエリザベス女王がからんでくるので、俄然面白くなってきます。



若きエドワードは才気あふれる貴公子。
とくに戯曲や詩の才に溢れています。
これを演じるのがジェイミー・キャンベル・バウアー。
・・・素敵です!
その彼がなんとエリザベス女王と愛人関係になってしまう。
さらに女王が妊娠・出産というすごい話になっていきます。
一応、処女王ということになっていますからね・・・。
まあ、それやこれやでエドワード(熟年版はリス・エバンス)は、
隠遁生活を余儀なくされてしまいます。
戯曲などを著すことのみが生きがいとなりますが、
それを実名で世に出すことができないという境遇になってしまうのです。
この一人の男の数奇な生涯といいますか悲哀が、
華々しくもてはやされるシェイクスピア作品と皮肉な裏表を構成。
愛と陰謀。
光と影。
いかにもシェイクスピアを愛する人が作ったと感じられる、
なかなか見応えのある作品でした。



一方、シェイクスピアを語る男は、実は文字もろくに読めない下卑たヤツで、
事実をバラずぞとエドワードを脅迫したりもするのです。
この裏表もまた強烈な皮肉。
それからエリザベス女王を演じるのはバネッサ・レッドグレープですが、
若きエリザベス女王を演じるのは彼女の実の娘ジョエリー・リチャードソン。
道理で違和感が全然ないと思いました。
こういう起用はいいですね。


今作の監督は、「インディペンス・デイ」や「デイ・アフター・トゥモロー」など
パニック映画で知られるローランド・エメリッヒ、というのも実に意外です。
16世紀のロンドンの街並みはCGということで、
そういうところに、これまでの経験を活かすことができたということなのでしょう。
確かに、その当時の時代背景が実にリアルです。
シェイクスピア初期のささやかな劇場の様子が伺えてとても興味深く見ました。



冒頭、現代のロンドンが映し出され、
英国の誇るシェイクスピア俳優、デレク・ジャコビの朗々とした前語りが始まります。
演劇好きの方はたまらないかも。

「もう一人のシェイクスピア」
2011年/アメリカ/129分
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:リス・エバンス、バネッサ・レッドグレープ、ジョエリー・リチャードソン、ゼイビア・サミュエル、ジェイミー・キャンベル・バウアー

2013年 あけましておめでとうございます

2013年01月01日 | 工房『たんぽぽ』


何やらバタバタしているうちに年が明けました。
今年は巳年ですね。
チクチクっとへびさんを作ってみました。

今年も楽しい映画と本ををたくさん見ていきたいと思います。
どうぞ今年もよろしくお願い致します。

お正月は自宅でのんびり過ごしております。
つい食べ過ぎ、飲み過ぎになってしまうので
困りますが・・・
ゆっくり本を読みDVDをみて、充電したいと思います!