暗殺者への道
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日本未公開作品ながら、ジュード・ロウ出演に惹かれて拝見。
3年前、愛する家族を飛行機事故で失ったステファニー(ブレイク・ライブリー)。
そのため生きる気力を失い、ドラッグと売春で廃人寸前となってしまっています。
そんな彼女が、飛行機事故は単なる事故ではなく、
何者かによって仕組まれたものであることを知らされます。
彼女は元MI6のボイド(ジュード・ロウ)に厳しい訓練を受け、
戦闘能力を身につけ、犯人への復讐を誓います。
ごく平凡な穏やかな日常の中で成長していたステファニー。
そんな彼女がボロボロになり廃人同様になっている。
ブレイク・ライブリーの汚れ役、やつれようがなかなかリアルです。
こんな死んだも同様の女が、真相を知りたいばかりに
人里離れたボイドの元を、一縷の望みにすがって訪ねてくるのです。
しかし、ボイドの態度はいかにも辛辣。
そのあまりにも冷たい態度に、ステファニーは憎しみの炎を燃やして立ち向かっていく。
このヒリヒリした師弟関係が見所と言えましょう。
ステファニーは一応及第点の技量を身につけるのですが、
だがしかし、どうしても人を殺すことにためらいを憶えてしまう。
それがネックで、なかなか自分のすべきことを果たせないのです。
その優しさというか、人間性というか、そこを突き破るまでの物語でもある。
ではありながら、どうもそこのところがまどろっこしいというか、
アホのように見えてしまうのですね。
まさに命がけで訓練に励んで、そのあたりで覚悟はできていなかったのか。
昨今、テレビドラマや映画でクールな女スパイやら殺人者があふれているので、
今さらこんな「ためらい」を見せられても、なんだかなあ・・・としか感じない。
というのはこちらの心が殺伐としすぎなのかもしれませんけれどね。
いっそ、人を殺さないことで自分らしさを見出すと言う話ならそれでいい。
でも結局そうじゃない。
だからちょっと、なんか残念な感じのする作品でした。
ボイドがステファニーに自分の呼吸と銃の引き金を引くときのリズムの合わせ方を教えるシーンがあるのです。
「心臓の音はドラム、呼吸の音はベース」と。
これが題名の由来。
でも原作の「堕天使の報復」の方がしっくりきます・・・。
<Amazonプライムビデオにて>
「リズム・セクション」
2020年/イギリス・アメリカ、スペイン/109分
監督:リード・モラーノ
原作:マーク・バーネル「堕天使の報復」
出演:ブレイク・ライブリー、ジュード・ロウ、スターリング・K・ブラウン
暗殺者への成長度★★★☆☆
満足度★★★☆☆
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