真のレジスタンスとは
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パントマイムの神様と言われたフランスのアーティスト、マルセル・マルソーが
第二次世界大戦中ユダヤ人孤児を123名救ったエピソードの映画化です。
1938年、フランス。
アーティストを夢見る青年、マルセル(ジェシー・アイゼンバーグ)。
兄アランや従兄弟ジョルジュ、そして密かに思いを寄せるエマらと共に、
ナチスに親を殺されたユダヤ人の子どもたちの世話をしています。
彼はパントマイムを通して、子どもたちの笑顔を取り戻します。
1942年、ドイツ軍がフランス全土を占領。
子どもたちの身にも危険が迫ってきます。
マルセルは子どもたちを安全なスイスへ逃がすため、アルプス越えを決意します。
マルセル自身もユダヤ人で、本来は別の名前だったものを、
フランス風にマルセル・マルソーと変えたのですね。
マルセル・マルソーは、私は名前を知っているくらいのところでしたが、
ナチス占領下のフランスでこんな活動をしていたなんて、ちっとも知りませんでした。
フランスからアルプスを越えてスイスに入るという、
こんなドラマは他にも多いですが、
いづれにしてもその緊迫感はハンパありません。
マルセルは子どもたちに緊急時のためにといって、訓練を積んでいて、
木に登り身を潜めるやり方もその一つ。
木になりきること。
多少見えていてもかまわない。
木の一部として同化すること・・・。
この訓練が役に立つ日が来るとは・・・。
しかし本当にドキドキします。
ナチスの目的はユダヤ人を絶滅させること。
ならば、一人でも多くユダヤ人の命を救うことこそが真のレジスタンス・・・、
そう言って、小手先の襲撃や目先の復讐心にはやらないようにしたやり方こそが、
まさしく沈黙のレジスタンスですね。
ジェシー・アイゼンバーグのパントマイムシーンがいくつかありますが、
その表現力がハンパなく素晴らしくて、なんだか泣きそうでした。
<WOWOW視聴にて>
「沈黙のレジスタンス ユダヤ人孤児を救った芸術家」
2020年/アメリカ・イギリス・ドイツ/120分
監督:ジョナタン・ヤクボウィッツ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クレマンス・ポエジー、マティアス・シュバイクホファー、フェリックス・モアティ
緊迫度★★★★★
残忍度★★★★☆
満足度★★★★.5
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