最高で最悪のシーン
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ユリア(レナーテ・レインスベ)は、30歳。
医師になろうとしていましたが、気が変わって心理学を学び、
そしてまた次には写真家になろうと思っていて、
未だに人生の方向性が定まりません。
そんな彼女は今、年上の恋人・アクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と一緒に暮らしています。
アクセルは最近しきりと身を固めたがっている様子。
ある夜、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、
若く魅力的なアイヴィン(ハーバート・ノードラム)に出会います。
ほどなくユリヤはアクセルと別れ、新しいアイヴィンとの恋愛に身を委ねますが・・・。
新しい恋にのめり込んで行くユリヤの映像がユニーク。
アクセルの家で、パチンと電気のスイッチを入れると、回りの何もかもが停止。
時間が止まった街をユリヤは軽やかに走り抜けて、アイヴィンの元へ・・・。
自分の欲望にまことに正直に、無邪気に笑みを浮かべて
「最高」の気分で、新しい恋人の元へ向かうユリヤ。
この高揚感が、とても印象的なシーンで表わされているわけです。
けれど実は、その行為は身勝手で、愚かで、「最悪」。
そうした反面的なメッセージを含んだシーンだったのかなあ・・・と思います。
オバサン的視点で見れば、アクセルはパートナーとして最高に思えるのですけどねえ・・・。
ユリヤは本当のことが見えていない。
彼女が大人になるためには、大きな試練が必要だったということか。
なんて言うと、まるでアクセルが踏み台になったみたい。
どうにも、この方が気の毒です・・・。
<シアターキノにて>
「わたしは最悪。」
2021年/ノルウェー・フランス・スウェーデン・デンマーク/128分
監督:ヨアキム・トリアー
出演:レナーテ・レインスベ、アンデルシュ・ダニエルセン・リー、ハーバート・ノードラム
最悪の行為度★★★★★
満足度★★★.5
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