自立を願う、明治の女性たち
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「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの役目」と語る校長巌本善治のもと、
北村透谷や島崎藤村、勝海舟の義理の娘クララ・ホイットニーらが教師を務め、
女子教育の向上を掲げた明治女学校。
念願叶って学び舎の一員となった星りょう(後の相馬黒光)は、
校長の妻で翻訳家・作家として活躍する若松賎子、従妹の佐々城信子、
作家の樋口一葉、翻訳家の瀬沼夏葉をはじめ、自
分らしく生きたいと願い、葛藤する新時代の女性たちと心を通わせていく―。
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実在の人物、相馬黒光の半生を描く物語ですが、
彼女が関わった多くの女性たちの人生をも描き出します。
といっても実のところ私は相馬黒光のことは全然知りませんでした。
簡単には・・・
相馬 黒光(そうま こっこう、1876年9月12日 - 1955年3月2日)は、
夫の相馬愛蔵とともに新宿中村屋を起こした実業家、社会事業家である。
旧姓は星、本名は良(りょう)。
1876年と言えば、明治9年。
こんな時代に考えられないくらいに、りょうは先進的な女子教育を受け、
今も名の残る作家たちと出会います。
その多くは恋愛がらみ。
男も女も、報われぬ恋に身を焦がし、はかなく自死したり心中したり・・・
確かにそんな作家は多いかも。
そして特に女性は、婚約を破棄したり、結婚して浮気をしたりが発覚すれば、世間は大騒ぎ。
身持ちの悪い女とか毒婦とか言われてしまいます・・・。
そんな中でも、自分の意思を通した女性たちの群像が描かれます。
そして、りょうはこれらの女性たちを見ながら、
こんな愚かな恋はすまいと思い、人に薦められるままに実業家と結婚するわけですが、
決して完璧な結婚ではない・・・。
それでも、彼女は自分の考えをしっかり持ち、
中村屋で文化サロンのようなものを開いたりします。
明治期で活躍した女性の一人。
作りようでは、朝ドラにできるかも・・・。
さて、本作は葉室麟氏には珍しく女性を主人公とした、しかも明治期の物語。
でも、たぎる女性の心理を描くには少し上品過ぎるような気もしました。
武士の品格ではない物語は、やや勝手が違ったかな?
図書館蔵書にて
「蝶のゆくへ」葉室麟 集英社
満足度★★★☆☆
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