映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

探偵ミタライの事件簿 星籠(せいろ)の海

2016年06月18日 | 映画(た行)
こんなはずでは・・・



* * * * * * * * * *

島田荘司ミステリを愛し、またその中でも御手洗潔シリーズの大ファンである私は、
本作を楽しみにしていました。
ところが・・・、どうやったらこんなに面白くなくなるんだっ!
というくらいに悲惨な作品と、私には思えてしまいました。


瀬戸内海の小さな島に半年間で6体もの身元不明死体が流れ着いた、
ということに興味を持ったミタライ(玉木宏)は、現地に赴きますが、
その死体が広島県福山市から流されたこと突き止めます。
その後も幾つか不可解な事件が続きますが、
ミタライが絡みあう事件の真実を探っていきます・・・。



すみません、まともにあらすじをお話する気にもならず・・・。
と言うかこれ、原作は上下2巻のかなりのボリュームのものなんですよ。
それを無理やり2時間足らずにしようとするから、
まるでダイジェスト版みたいになってしまっている。
まともに描こうとしたら、「64」ではないけれど、前後編が必要です。
こんなに端折ってしまうから“人物”が全く描かれておらず、
誰に感情移入すべきなのかもわからない。
おまけに、ミタライが言葉だけで長々と状況を説明するシーンには、眠気がさしてしまう。
…私、一応玉木宏さんのファンではあるのですが、
これでは彼の魅力も何もあったものではない。



そうそう、最大の失敗は「石岡くん」を登場させなかったことです。
(声だけ出てきたけど)。
本作のパイロット作品的に以前TVドラマ特番で
ミタライシリーズが放映されました。
それにはちゃんと石岡くんが登場し、まずまずの掛け合いをやっていました。
この時の石岡くんは堂本光一さんで、
昔からの御手洗シリーズファンとしては違和感もありましたが、
でもそう悪くはないかとも思ったのです。
だからこの映画にも当然出てくるものと思ったのですが、
なんで出ないことにしちゃったのでしょう??? 
この二人が出てくるからこそ面白いのに、なんで広瀬アリスなんでしょうかねー。
男二人では花がない?
イヤイヤ、今時、イケメン男子の二人の掛け合いのほうが
女子には絶対受けるのに。
しかも広瀬アリスはキャンキャンとうるさいし。



星籠の歴史に絡む謎の部分も、ほんの付け足し的扱いで、
意味がよくわからない方もいたのでは・・・? 
原作には少年が登場していて、この鞆の浦の美しい海と、
星籠という言葉の意味を実感させてくれるのですが・・・。
また、ラストの御手洗が船を追うシーンは、
原作ではシリーズでもまれなスペクタクルシーンなのですが、
映画にしたほうが、全然スペクタクルじゃなくなってしまっているというのも皮肉です。



ミステリに興味がある方はこんな映画を見てはいけません。
是非、本の方を読んでください。
玉木宏か広瀬アリスがよほど見たいという方は仕方ないですけどね。


原作→「星籠の海」

「探偵ミタライの事件簿 星籠の海」
2016年/日本/107分
監督:和泉聖治
原作:島田荘司
出演:玉木宏、広瀬アリス、石田ひかり、要潤、谷村美月

満足度★★☆☆☆


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