映画と本の『たんぽぽ館』

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コッホ先生と僕らの革命

2012年11月24日 | 映画(か行)
子供たちを変えた、サッカー



            * * * * * * * * *

ドイツでサッカーの父といわれる
コンラート・コッホの実話をもとにしたストーリーです。
19世紀末、第一次対戦前、反英感情が高まる帝国主義のドイツ。
英国留学から帰ってきたコンラート・コッホが、
英語教師としてある名門校に赴任してきます。
教室の子供たちは、それまでの教育が物を言ってか、
イギリスや英語への偏見に満ちています。
そのため、彼は授業に英国で親しんだサッカーを取り入れてみます。

当時のドイツは体操が一般的なスポーツで、勝敗を競う球技はなかったんですね。
子供たちは次第にサッカーの虜になっていきますが、
そのことが一部の親には受け入れられない。
サッカーは「反社会的スポーツ」と決めつけ、
やがて、コッホ先生の退職や生徒の退学問題にまで発展していきますが・・・。



ドイツでサッカーがそんな扱いを受けていたなどと、
今となっては信じられない気がします。
全く意味のない、ムダな禁止事項・・・。
けれど世の中にはこういうことはよくあるわけです。
何もドイツに限ったことではありません。
規律でガチガチにした軍隊のような学校の様子は、
私たちのイメージする旧ドイツそのものでした。
が、ドイツのこういう状況は、実際にはまだしばらくつづくわけです・・・。



そんな中では、やはり子供たちにも歪みが生じるのです。
特待生のような扱いで、下層階級の子がいるのですが、
彼はいじめを受けているのです。
彼をいじめるのは、父親の考えを鵜呑みにして威張るだけの子。
父親が偉大すぎて自信の持てない子・・・。
そんな子どもたちがサッカーをはじめて、どんどん変わっていく様。
これがとても気持ちいい。
やっぱり子どもはいいですよね。
心が柔軟で、しなやか。
今はひねこびていても、まだまだまっすぐのびる可能性に満ちている。
いつしかチームワークと友情でつながっていくのです。



作中とラストに流れる「蛍の光」の歌。
これはもともとスコットランドの曲なのですね。
日本の優等生的訳詞よりはもっと、酒場で友と別れを惜しむという
勇壮な感じがある歌です。
コッホ先生が歌うにはピッタリの曲。
なかなかいいなあ・・・。

ということで、非常に見た後の感じが良い、
満足感のある作品なのでした。

2011年/ドイツ/114分
監督: セバスチャン・グロブラー
出演:ダニエル・ブリュール、ブルクハルト・クラウスナー、ユストゥス・フォン・ドーナニー、トマス・ティーマ



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2 コメント

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偏見 (こに)
2012-11-26 22:48:06
この頃はまだまだ偏見に満ち満ちた時代だったのですよねぇ。
オフサイドについて使用人だった女性が上手に説明するところが気に入りました。
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Unknown (たんぽぽ)
2012-11-27 20:26:56
>こにさま
オフサイドは、私も未だによくわかっていないのですが
作中の説明で、なるほど~と思いました。
スポーツは皆の心を一つにします。
けれど、逆に言うと行き過ぎたナショナリズムを煽ることにもなりかねませんよね。
そういうところは注意しつつも・・・
楽しめる作品でした。
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