映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

裏ゾッキ

2022年04月22日 | 映画(あ行)

悲喜こもごものドキュメンタリー

* * * * * * * * * * * *

先に「ゾッキ」を見たわけですが、
こちらは、竹中直人さん、山田隆之さん、斎藤工さんがメガホンを取り、
大橋裕之さんの短編漫画を実写化した、その映画「ゾッキ」の
製作から公開までを追ったドキュメンタリーです。

そもそもは、愛知県蒲郡市の人々が映画誘致の活動を始めました。
それから8年後の2020年1月、ついに「ゾッキ」製作決定となったのです。
有志による誘致プロジェクトは、市も巻き込んで
市民総出で作品を全面バックアップする一大プロジェクトへ。

蒲郡市は原作者・大橋裕之さんの出身地。
監督もなじみの深い人気俳優。
出演者も豪華で、これで盛り上がらないわけがありません。

いわゆる撮影のメイキングシーンだけではなくて、
実現に向けて熱が上がっていくプロジェクトに関わる人々の
働きや言葉が収録されているところがミソです。

私が一番好きだった「伴くん」のエピソードの撮影風景が紹介されていましたが、
これがなかなか衝撃的。
冬のさなか、学生服の九条ジョーさんが雨に打たれてぬれそぼるシーン。
寒くて、冷たくて、九条さんは凍えて心折れそうになっていました。
それが一発でOKにはならずに何度も何度も・・・。
ちなみにこのエピソードの監督は斎藤工さんで、
この過酷なシーンをあえて設定を変えようともせず貫く。
鬼、鬼!!
俳優さんはこんな理不尽で過酷な撮影も耐えねばならない。
大変なお仕事ですね・・・。

それから、ほんの少しですがピエール瀧さんの出演シーンがあります。
本作が氏の復帰第一作なのだそうで。
だから見物の人混みに紛れて週刊誌の記者などがやってくるに違いない、
そう読んだスタッフは、厳重な警備体制を敷きます。

また、町でこの撮影が人気になりすぎて、見物人が多く集まるようになってしまった。
それで、撮影画面に見物人が映り込んでしまうことも多々。

色々とやっかいな問題も起こるものなんですね。

さてこれらの進行が2020年の2月くらい。
新型コロナウイルスがじわじわと感染拡大し始めた頃。
でもまだ人々はマスクをつけながらも普通に動いていました。
それで、無事クランクアップ。
よかった、よかった・・・。

ところが3月、第一回の緊急事態宣言がでます。
人々の動きはストップ。
映画館も休館するほどの・・・。
結局完成披露の会も延期して後日行うことに。
協賛してくれた様々な飲食店も経営が苦しくて大変そうです。
まさか、こんなところでプロジェクトの番狂わせがあるとは・・・。

というような悲喜こもごものドキュメンタリー。
むしろ本編より面白かったかも・・・。

ぜひ本編と合わせてご覧ください。

 

<WOWOW視聴にて>

「裏ゾッキ」

2021年/日本/116分

監督:篠原利恵

出演:竹中直人、山田孝之、斎藤工

 

町おこし度★★★★☆

満足度★★★★☆

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿