映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ゾッキ

2022年04月21日 | 映画(さ行)

チョッピリへんてこな日常

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大橋裕之さんのコミック初作品集「ゾッキA」、「ゾッキB」を実写映画化したもの。
愛知県蒲郡市を舞台として、複数のエピソードが混ざっています。
ごく普通のようでいて、チョッピリへんてこな人々がおりなす日常。
そして、彼らに訪れる少し不思議な奇跡。

チャリンコに寝袋だけをくくりつけて、あてのない旅に出た男(松田龍平)。
ちょっぴりステキなロードムービーを期待したけれど、
ほのぼののエピソードはありつつも、あっけなくも帰ってきたりする。

レンタルビデオのバイトをしている青年(鈴木福)は、
毎日毎日同じような日常を繰り返しているけれど、
ふと変わったことをしてみたくなり・・・。



一番印象的なエピソードは、牧田(森優作)と伴くん(九条ジョー)。
伴くんは牧田に姉がいると聞き、会ったこともないのに次第に彼女に恋い焦がれていきます。
ついには牧田に、
「姉ちゃんのパンティを5万円で売ってくれ」
と言ったりする。
しかし実は牧田に姉などいないのです。
居もしない人物に恋い焦がれるという、
このおかしな話の行き着く先がまた、常軌を逸していて・・・。
傑作です。

大橋裕之さんは、アニメ「音楽」の原作を書いた方でもありますね。
すごくユニークなこの本、読んでみたくなってしまいました。

ちなみに題名の「ゾッキ」は、書籍関係の業界用語。
新刊で販売された書籍が一定期間を経ても売れずに残った場合に、
出版社が定価の拘束を外すことができて、小売店側で自由に価格を設定できるのですね。
そんな、一度も読者の手に渡っていない新本で、
ワゴンセールなどにまわされるものをゾッキ本という、と。
著者が自身の本を自嘲的に「ゾッキ」と呼んだもののようです。

実にユニークな作品なのですが、実はその成り立ちがさらにユニーク。
と、その話は「裏ゾッキ」で。

 

<WOWOW視聴にて>

監督:竹中直人、山田孝之、斎藤工

原作:大橋裕之

脚本:倉持裕

出演:吉岡里帆、鈴木福、森優作、九条ジョー、松田龍平、竹原ピストル

 

ユニーク度★★★★★

日常逸脱度★★★★☆

満足度★★★.5

 



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