女の物語

* * * * * * * * * *
17世紀イタリアの民話集「ペンタメローネ 五日物語」の中から
3つの物語を選び一編の物語として再構成したもの。
後にシャルル・ペローやグリム兄弟に取り上げられた物語の原形とも言えるとのこと。
ということで、河合隼雄さんを読んだ私としてはなかなか興味深いところです。
3つの物語を一つにしたといっても、やはり舞台は3つに別れていまして、
それぞれの国に交流があって、何かお祝い事や弔事があったりしたときには、王様が招かれたりする、
それくらいのつながりです。
それぞれ、女性の「性(さが)」について語っています。
ロングトレリスの国では、王妃が不妊に悩んでおり、
魔法使いに「海の怪物の心臓を食べると良い」と言われたのです。
勇敢な王が海底へ潜りますが怪物と刺し違えて亡くなってしまいます。

しかし、魔法使いの言葉通り、息子が生まれますが・・・。
正直、ここの話が一番わかりにくい。
(と言うより、私にとって理解しにくい)
つまりは「母性」についてなのでしょう。
我が子を大切に思うあまりに、抱え込み、支配しようとする母。
そして、もう片方には自由をもとめて心が分裂してしまっている息子・・・
とかなんとか・・・? 解釈するとすれば・・・。

ストロングクリフの国王は好色な遊び人。

ある日美しい歌声を耳にしただけで、その女性に恋をしてしまいます。
しかしその歌声の主はとんでもない老婆。
姉妹で貧しく暮らしていたのですが、戸口の向こうに現れた国王の求愛にビックリ。
この玉の輿のチャンスをのがしてなるものかと、必死で若返ろうとしますが・・・。

若さと美しさ・・・。
確かに女性にとっては永遠に保っていたいもの・・・。
そしてそれはかなり露骨に生=性でもあるようです。

そしてハイヒルズ国。
早く城の外に出て外の世界を見てみたいというお姫様がいます。
父である国王は、つまらない問題を出し、
その答えを言い当てた者に娘を嫁がせると宣言しました。
そして、その答えを言い当てたのが、岩山に住む化物のような男。

映画では「鬼」と訳していましたが、
西洋に「鬼」はいませんし、性質も違うので、若干、訳としてはどうなのか?
と思うところではあります。
映画の解説では「オーガ」とあります。
よくわからないけれど、そのほうが良いかも。
まあ、それはともかく、グリム童話等にもよくあるパターンですね。
父親が無理やり異形の者と娘との結婚を決めてしまう。
でも私たちが知っている物語では、その異形の者は
結局うるわしい王子様だったりするわけですが、本作では違うのですよ!
怪物は怪物のまま。
怪物に陵辱されてしまうお姫様・・・
う~む、深刻です。
そしてまたこれが思いもよらない結末。
いやこれは、現代的。
そんなことありですか、と思う。
(これが原作通りというならかなり凄い)
河合隼雄先生的に言うとこれは「父の娘」の物語ですよね。
娘は自分の父親を尊敬し敬愛し、父の望むようにありたいと思う。
ところがある時突然に、その父から結婚せよといわれてしまう。
これまでの生活がきっぱりと分断されてしまうのです。
本作では、その先は父も誰も頼りにならないから、
自分の運命は自分で切り開くしかないのだ・・・と言っているわけで。
ひゃー、厳しい。
「五日物語 3つの王国と3人の女」
2015年/イタリア・フランス/133分
監督:マッテオ・ガローネ
出演:サルマ・ハエック、バンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、シャーリー・ヘンダーソン、ヘイリー・カーミッシェル
物語の原形度★★★★☆
満足度★★★.5

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17世紀イタリアの民話集「ペンタメローネ 五日物語」の中から
3つの物語を選び一編の物語として再構成したもの。
後にシャルル・ペローやグリム兄弟に取り上げられた物語の原形とも言えるとのこと。
ということで、河合隼雄さんを読んだ私としてはなかなか興味深いところです。
3つの物語を一つにしたといっても、やはり舞台は3つに別れていまして、
それぞれの国に交流があって、何かお祝い事や弔事があったりしたときには、王様が招かれたりする、
それくらいのつながりです。
それぞれ、女性の「性(さが)」について語っています。
ロングトレリスの国では、王妃が不妊に悩んでおり、
魔法使いに「海の怪物の心臓を食べると良い」と言われたのです。
勇敢な王が海底へ潜りますが怪物と刺し違えて亡くなってしまいます。

しかし、魔法使いの言葉通り、息子が生まれますが・・・。
正直、ここの話が一番わかりにくい。
(と言うより、私にとって理解しにくい)
つまりは「母性」についてなのでしょう。
我が子を大切に思うあまりに、抱え込み、支配しようとする母。
そして、もう片方には自由をもとめて心が分裂してしまっている息子・・・
とかなんとか・・・? 解釈するとすれば・・・。

ストロングクリフの国王は好色な遊び人。

ある日美しい歌声を耳にしただけで、その女性に恋をしてしまいます。
しかしその歌声の主はとんでもない老婆。
姉妹で貧しく暮らしていたのですが、戸口の向こうに現れた国王の求愛にビックリ。
この玉の輿のチャンスをのがしてなるものかと、必死で若返ろうとしますが・・・。

若さと美しさ・・・。
確かに女性にとっては永遠に保っていたいもの・・・。
そしてそれはかなり露骨に生=性でもあるようです。

そしてハイヒルズ国。
早く城の外に出て外の世界を見てみたいというお姫様がいます。
父である国王は、つまらない問題を出し、
その答えを言い当てた者に娘を嫁がせると宣言しました。
そして、その答えを言い当てたのが、岩山に住む化物のような男。

映画では「鬼」と訳していましたが、
西洋に「鬼」はいませんし、性質も違うので、若干、訳としてはどうなのか?
と思うところではあります。
映画の解説では「オーガ」とあります。
よくわからないけれど、そのほうが良いかも。
まあ、それはともかく、グリム童話等にもよくあるパターンですね。
父親が無理やり異形の者と娘との結婚を決めてしまう。
でも私たちが知っている物語では、その異形の者は
結局うるわしい王子様だったりするわけですが、本作では違うのですよ!
怪物は怪物のまま。
怪物に陵辱されてしまうお姫様・・・
う~む、深刻です。
そしてまたこれが思いもよらない結末。
いやこれは、現代的。
そんなことありですか、と思う。
(これが原作通りというならかなり凄い)
河合隼雄先生的に言うとこれは「父の娘」の物語ですよね。
娘は自分の父親を尊敬し敬愛し、父の望むようにありたいと思う。
ところがある時突然に、その父から結婚せよといわれてしまう。
これまでの生活がきっぱりと分断されてしまうのです。
本作では、その先は父も誰も頼りにならないから、
自分の運命は自分で切り開くしかないのだ・・・と言っているわけで。
ひゃー、厳しい。
「五日物語 3つの王国と3人の女」
2015年/イタリア・フランス/133分
監督:マッテオ・ガローネ
出演:サルマ・ハエック、バンサン・カッセル、トビー・ジョーンズ、シャーリー・ヘンダーソン、ヘイリー・カーミッシェル
物語の原形度★★★★☆
満足度★★★.5